21 缶詰

第1話「01 鍵」

前話「20 祭りのあと」


 今はこんなに種類があるんですね。
 便利ですよね。一品にもなりますし、ちょっとしたスパイスにもなる。

 ツナ缶って、昔からあるでしょう?
 あれを開けたら、あの子はいつも、どこで眠っていても、キッチンまで走ってきました。

 自分のごはんだと思って来ていたみたいです。
 缶詰のごはんはウェットタイプですから、ドライフードよりごちそうなんですよ。

 持ち上がったプルタブが切る、あのやわらかい金属音。中身がツナでもコーンでも、あの音がすればちょこんと座っていました。
 あんまりにも恨めしそうな顔をするものですから、ちょっとだけだからね、と言って、ツナを分けていました。

 よく食べる子でした。


第22話「22 泣き笑い」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?