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「ゼルダの伝説」英語版タイトルを分析してみたら、予想外の秀逸さだった
※この記事は「ゼルダの伝説 夢をみる島」のネタバレを含みます。もしよければ一度プレイしてから再度お越し頂けるとめちゃくちゃ嬉しいです。
前書き
ゼルダの伝説が好きです。
最初にプレイしたのは小学生のときで、初プレイ作品は時のオカリナでした
小学生なので自力でクリアは難しく、攻略本に頼り切りではあったものの、それでも一つずつ困難を乗り越えていく感覚が好きで、夢中でした。
こんなに好きなら誰かと語り合いたいんですが、なぜか僕の周りにはゼルダ好きが少ないので、話し相手がいないのが残念なところ。
みんなマリオやカービイはやってるんだけどね。
ただ、いざググってみるとアメリカ人はゼルダについてめちゃくちゃ語りまくっていることが分かりました。
例えば、ニンテンドーアメリカの公式You Tubeチャンネルでは関係者が好きなゼルダについてひたすら語り合っていたり、正直羨ましい。
なので、英語の勉強も兼ねてゼルダ情報はなるべく英語で収集することにしました。
その中で自然と英語版のゲームタイトルに触れるわけですが、日本語版タイトルとの違いが結構興味深いなと思ったので、考えたことをまとめてみました。
なお、前提として、タイトルは日本語版から英語版に翻訳された前提で考えています。ひょっとしたら開発時点で日本語版と英語版を同時に考えているかも知れないし、逆の順番(英語版から日本語版へ翻訳)かも知れないけど、日本のゲームなので日本語版→英語版と考えるが妥当かな、という感じ。
ゼルダの伝説英語タイトルの分類
ゼルダの伝説の英語タイトルと日本語タイトルの関係は、3つの種類に分かれると思います。ここでは、便宜的に以下のように名付けます。
①共通系
②直訳系
③意訳系
①共通系
これは、日本語版と英語版でタイトルが同じ場合を指します。分かりにくいですが、もともと日本語タイトルが英語(というか横文字)で、日本語タイトルはその英語をカタカナ表記しているだけのパターン。具体的には
ブレスオブザワイルド(英:Breath of the Wild)
スカイウォードソード(英:Skyward Sword)
などがあります。
ブレスオブザワイルドは、人によっては野生の息吹と呼ぶこともあるみたい。
公式タイトルが野生の息吹でも良い気がしますが、日本語にするかしないかはどうやって決めてるのかな。
余談ですが、ブレスオブザワイルドに関しては、他と比べて、そもそもタイトルが内容と密接に関係してない気がしますね。内容というより、どちらかと言えばゲームスタイルを表している感じ。
スカイウォードソードは、日本語の語呂的にもそのままなのは個人的には納得です。
②直訳系
文字通り、日本語タイトルをそのまま英語に直訳したタイトルのことです。
具体的には
時のオカリナ(英:Ocarina of Time)
ムジュラの仮面(英:Majora's Mask)
などがあります。
これはシンプルで分かりやすいですね。
③意訳系
意訳系とは、上記①②どちらにも当てはまらず、意訳していると思われるタイトルを指します。
具体的には
夢をみる島(英:Link's Awakening、直訳するとリンクの目覚め)
風のタクト(英:The Wind Waker、直訳すると風起こし?)
など。
こちらの③が、この記事の本題です。
というのも、意訳された英語版タイトルについて考えたら、英語版タイトルの奥深さを実感したから。
ここからは、なぜ意訳系タイトルが優れていると思うのか説明します。
英語版タイトルのおもしろさ〜夢をみる島、風のタクトの事例から〜
意訳系のタイトルをみると、日本語タイトルを見たときに得るであろう印象とは違う印象を与えるんだろうな、と思えるのが興味深いです。
また、印象だけではなく、実際にプレイしたときに抱く感想すら変えてしまうような、そんな影響力がタイトルにはあると思うのです。
特に夢をみる島の場合、英語タイトルを直訳すると「リンクの目覚め」になります。
プレイした方なら分かると思うんですが、これネタバレじゃないっ??大丈夫?と思えます。
(知らない方かつネタバレ気にしない人のために軽く解説。主人公のリンクはコホリント島という島を冒険するのですが、物語が進むに連れてコホリント島という存在そのものが、リンクの夢の中の存在であることが明らかになります。この「島そのものが架空の存在だった」というのは核心的な事実なので、ネタバレを心配しました。)
そもそも日本語版タイトルもネタバレかも知れないですが、「夢を見る島」ってよく考えると分かるようで分からないタイトルですよね。
島が夢を見る?夢が集まる島??みたいにいろんな解釈ができるタイトルなので、ネタバレになりそうでなりにくいとも言えるかなと。
物語のラストあたりでタイトルにある「夢」の意味を知る、という感じが多いかと勝手に思っています。(僕はそうでしたが、察しの良い人はもっと早く気づいてた?)
日本語の曖昧さをうまく使ったタイトルだと思います。
それに対して英語タイトルは、英語という言語の性格もあってか分かりやすいので、核心的な部分を直接言ってしまっている印象を受けました。
ただ、よく考えてみると、そうではないどころか、めちゃくちゃ秀逸なタイトルなんじゃないかと思えてきました。
なぜなら、リンクはゲームの中で「2回」目覚める(awake)から。
(厳密には夢のほこらを入れると3回ですが、夢のほこらはストーリーの核ではないと思ったのでカウントしませんでした)
1回目の目覚めは、物語冒頭、マリンとタリンの家での目覚め。
もし自分が英語版プレイヤーだったら
「目覚め(awakening)ってこういうことか!」と、この時点でタイトルの意味をスッキリと解釈した気分になることでしょう。
ただ、当然ゲームを進めて行くと、南の神殿あたりから物語の核心、すなわち「コホリント島は夢の存在である」という事実にじわじわと近づいて行きます。
おそらくこのあたりから、自分が英語版プレイヤーだったら、目覚め(awakening)の意味を誤解していたことを悟り始めるはずです。そしてその本当の意味の恐ろしさを目の当たりにして、
「やられた!」
と叫ぶことだろうと思います。
そして最後。風のさかなが起きて、リンクが本当に目覚めたところで、
「目覚め(awakening)ってこういうことかよ‥」
とじんわり余韻に浸るはずです。
何が言いたいかというと、Link's Awakeningというタイトルは、一度プレイヤーを(いい意味で)騙しに来ている気がするんですよね。
プレイする前と後で、タイトルの理解が異なる体験が得られると思うので、そういう意味で英語版プレイヤーが羨ましい。
叙述トリックってあるじゃないですか、僕はああいうのにまんまと騙されるのが好きなんですよ。
これは叙述トリックではないかもしれないけど、それでも自分だったら同じような騙され体験をするだろうと思います。
そんな体験を提供してくれるタイトル、めちゃくちゃ素敵だと思います!!
タイトル一つだけで語り過ぎかも知れませんが、たかがタイトル、されどタイトル。結構影響力があるものだとは思います。
別のゲーム「風のタクト」が発表されたとき、タクトっていうモノに馴染みがなさすぎて
「え、いやタクトって何?」
と思考停止してしまった思い出がありますw
内容が気になるけどそちらに行き着かないという。
そういう人多かったんじゃないだろうかと勝手に予想。
対して英語版タイトル(The Wind Waker)は、シンプルなので、おお、風を司る物語なんだな!くらいは想像できるので、こちらも良いタイトルだなと思います。
まとめ
当然ながら、ゲームタイトルは日本語から(もしくは英語から)翻訳されているわけですが、一言に翻訳と言っても、奥が深いなと思いました。
今回は夢をみる島と風のタクトしか例を挙げられませんでしたが、もっと他の作品についても、語学の側面から考察してみたいと思います。