「虹色のチョーク」を読んで
こんにちは。yutoriです。
お読みいただき、ありがとうございます。
今年の24時間テレビ。
スペシャルドラマで取り上げられたのが、日本理化学工業株式会社のお話でした。
知的障害のある方が働きやすくする工夫をして、積極的に雇用をされている会社です。
福祉業界では有名な会社だと思います。
私は詳しく知らなかったのですが、ドラマの告知を見た事をきっかけに、「虹色のチョーク」という本を読みました。
知的障害のある方を雇用する経緯、実際に働かれている方とご家族の話などが書かれています。
臨床心理士・公認心理師の立場で読むのも勉強になる一冊です。
お話の中に「4つの幸せ」と「福祉」について書かれている部分があり、心に留めておきたいなと思いましたので記してみます。
①人間の4つの幸せ
これは、日本理化学工業株式会社へ知的障がいのある方の雇用を始めた大山泰弘さんが、とある住職さんからお聞きになったお話です。
人間の究極の幸せとは
曰く、物やお金をもらうことが人としての幸せではない。
1.人に愛されること
2.人に褒められること
3.人の役に立つこと
4.人から必要とされること
この中で人に愛されること以外の3つは、働くことで得られる幸せです。
仕事をせず、のんびり過ごすことが幸せのように見えるかもしれません。
でも、責任を持って仕事をして、認められ、褒められることが、さらに大きな幸せなのです。
だから、障がいをお持ちの方も、自身に合った方法で働くことが人生を豊かにすると言うことができます。
②福祉の意味
大山さんが調べたところによると、「福」と「祉」の文字には次のような意味があるそうです。
福…「神様が人間が生きていくうえで食べていくのに困らない幸せ」を与えてくださっていることを表す。
祉…「神様が人間の心に留まって、心を幸せにする」ことを表す。
つまり、人間の幸せとは「物に不自由しない幸せと心が満たされる幸せ」の二つが必要ということです。
障害のある方、高齢者、児童の生活を助けるというだけでなく、もっと広義に福祉を考えてもいいのなもしれないなと感じました。
4つの幸せは、家庭内では全て満たす事ができますね。
これが満たされている子どもは、きっと心も体も健康で、いろいろな事を頑張る事ができそうだなと感じました。
毎日の生活で、「大好き」「ありがとう」「頑張ったね」を言葉で伝えながら過ごせたらいいなと思います。
福祉の「祉」の部分。
臨床心理士・公認心理師が手助けできそうなところは、ここかなと思います。
クライエントさんに対して、具体的に金銭的な問題解決を手伝ったり、衣食住を整えたりするのは、基本的に私達の仕事ではありません。
もちろんお話の中で、そういう困り事が聞かれれば、それを助けてくれる機関を紹介する事はあります。でも、それが主ではない。
心にある不安や葛藤、何か心に引っかかっている過去の事などを、気持ちを共有しながら、一緒に整理して、少しずつ過ごしやすい心にしていく事ができたらいいのだと考えています。
そして、クライエントさんが幸せに気づいて、心に留まってくれたらと思いました。
この本を読んで、新しい気づきを得られたように思うので、さらに家庭も仕事も大切にしていきたいなと思います。
最後に、知的障害のある方の雇用の話に戻ります。
何度か知能検査を担当させてもらったお子さんが、今年度で高等部を卒業します。
先日、農業関係の仕事に就職が決まっている事を聞きました。
私は数年に一回しか会うだけの立場だったけれど、とても嬉しかったです。
過去の検査所見を振り返りながら思い出すと、その子の成長がとてもよく感じられました。
立派に仕事も見つけていて、きっと素晴らしい仕事をするんだろうなと期待もさせてくれます。
その子も、幸せを感じながら働ける事を祈るばかりです。