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僕はケイスケホンダになれなかった

初ゴールを上げたのは、約1ヶ月前の話し。
やっと初ゴールを決めれて、全身全霊で嬉しかったのを覚えている。でも、僕の目標は得点王になる事で、この1点で満足してる暇はなかった。その日は喜び切って、次の日からは、2点、3点目を決める為に、また新しい一歩を踏み出した。


そして、あっという間に時は過ぎ、2点目を決める事が出来ないまま2ヶ月が経過した。

一点でも、一点でも多く取りたい。
これだけは言える。ゴールを取るためだけに生活している。

最近は毎試合、残り10分ぐいの出場。一点でも多く取りたい自分には、難しい状況ではある。

だけど、それが点を取れない理由にはならない。

1分でも多くプレーしたくて、練習では絶対に気を落とさずに、毎日が勝負だと思ってプレーしている。

だから、練習で点を決めれなかったら、めっちゃ悔しいし、練習で点を決めたらめっちゃ嬉しい。
それは試合の時と同じな訳はないが、試合のそれと同じぐらいの喜びを感じる。

そして、今日の試合。いつも通り残り10分ぐらいで出番が回ってきた。スコアは1-2で負けている。絶対に点を決める。

いつも通りやけど、毎試合、毎試合、新品の気持ち、本気の気持ちで、その瞬間を迎える。

中学の時も、高校の時も、大学の時も、いつも途中交代で結果を残して、状況を打開してきた。だから、今日も過去の自分に誇りを持って、自分ならやれると信じている。

また、途中交代での出場はスタートから試合に出るよりも難しいと感じる。約10分でこれまでのサッカー人生の全てを表現しないといけないから。90分あっても表現し切られへんのに、10分で...。そう思うと、100m走の選手は約9〜10秒で競技人生の全てを表現している。本当に凄い世界だと思う。

そして、試合時間残り10分で出場してから約10分が経過し、ロスタイムに突入した時だ。味方からロングボールが飛んできて、ヘディングしようとしたところ、相手に後ろから押され、ホイッスルが鳴った。PKを獲得したのだ。
俺は真っ先にボールを取りに行き、俺が蹴ると言い張った。だが、チームで蹴る人は決まっていた。でも、俺がPKを獲得したし、一点でも多く取りたいんだと伝えた。5分くらいは揉めた。

最終的に、コーチの指示もあり、PKを譲る事にした。そして、点が入った。2-2だ。そこに喜びはなかった。

そのまま試合は終了し、チームは0-2から土壇場で2-2に追いついた。チームとしては、良い結果だったと思う。

でも、個人的には俺はPKを譲って良かったのかと頭の中で自問自答を繰り返していた。

サッカーで良い選手の条件。それは、チームを勝利に導ける選手だ。その点から逆算して考えると、PKを獲得して、別の選手がPKを蹴ったがチームは2-2で追い付いた。チームに貢献している。でもだ。俺だって、PKを蹴ったら決めていた。絶対に決めていた。

頭の中で、本田圭佑選手がACミラン時代にフリーキックを譲らず、そのままゴールを決めた映像がずっと流れていた。

俺は自分に負けたのか。

僕は本田圭佑選手に多大な影響を受けてきた。ケニアに来たのも、本田圭佑選手の思考に影響を受けたからだ。

そして、今日の試合で本田圭佑選手がフリーキックを譲らなかった時のシーンと似たような状況で、俺は譲ってしまった。本田圭佑選手にはなれなかった。本田圭佑選手なら、誰が何と言おうと蹴っていたと思う。

結果が全ての世界で、譲ってしまった。チームからは良くやったと評価された。でも、評価は記録にならない。結果しか、記録には残らない。

だから、俺のPK獲得は誰も知らない。思い出されない。そう思うと、何が何でも蹴るべきだった。悔しい。

皆んなどうせいつか死ぬし、忘れ去られるから。

まだまだ本田圭佑選手の背中は遠いと感じた。悲観的に捉えてるようで、楽観的なので、目標が遠ければ遠いほど、成長幅が大きいと言う事なので、新しい自分に出会えそうで楽しみです。

ケニアの理不尽な中で、もっと成長します。

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草場勇斗 | アフリカのケニアでプロ
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