東京思い出川柳 その②

原宿の美容師さんが船橋へ

原宿で髪を切っていた。どのくらいだったかな、一年くらいかな。
友達に教えてもらったアプリは、練習の為のカットモデルを探している美容師さんとそのモデルになりたい利用者を繋ぐサービスを提供していて、それでもって大変親切で何もかもが超ナイスな一人の原宿の美容師さんと知り合った訳である。あのアプリまだあるのかな。
それまでの自分はほぼ毎回の様に違う美容室へ行っていた時期もあるくらいで、なかなかの美容室迷子だった。別にそうしたかった訳じゃないのにそんな調子だったのには幾つか理由があるけど、何より一番決定的だったのは美容師の方々となかなかいい人間関係を築けなかったことだ。まあ十中八九、人当たりは良いくせにまあまあ神経質な自分の性格ゆえだったと思うけど。
そんなこんなで時は流れ、原宿の美容室にもだいぶ通い慣れたある日その美容師さんから
「とどろきさん、自分実は来月、オープニングのスタッフで船橋の新しい店舗に移るんですよ〜」
との報告。
純粋に彼のキャリアアップを心から喜ぶ一方で、あぁもう原宿で髪切れなくなるのか、とも思った。要するに、自分という人間が根本的にダサいから、「原宿(というオシャレ?な街)で髪を切っている自分」というのが重要だったのだ。イモくさい田舎もん丸出し。その思想がクソダサいわ。
ただ前述の様に、それまでバッチリ気の合う美容師さんとなかなか巡り会えずに沢山のサロンを転々としていた自分にとって、その美容師さんとの繋がりの方がそんなことよりもやはり遥かに大事だった。なので割と二つ返事で
「あーそうなんすね、船橋行きますよ!」
ってな感じで答えた。
ていうかそもそも当時住んでいた場所から船橋ってそこまで遠くなかったし、俺フットワーク軽めだし、ぶっちゃけ何の問題も無かった。
それ以降も自分が海外に出てしまうまで、ずっとその方にお世話になった。
飲もう飲もうと言いながら結局実現出来なかった事だけが悔やまれるので、次の一時帰国の際に必ずや。

泥酔し号泣徘徊錦糸町

基本的に情緒不安定なスタイルでこの世をずっと生き延びてきたんですが、当時は特にエクストリームでした。
個人的にモヤモヤすることがあって、酒飲むたんびに泣くみたいな。マジでやばいよねこれ。書いてて我ながらドン引き。一緒に飲んでくれていた友人達には本当に感謝しかありません。
その日は連日の錦糸町での公演終わりで、同期の仲良し何人かと打ち上げ的に飲んでいました。
めっちゃくちゃ飲み過ぎたみたいな感じも無かったんだけど、やっぱり終盤めっちゃ乱れて、最後どんな感じで別れたかもあんまりよく覚えていない。
もうとにかく涙と嗚咽が止まらなくて、文字通りワンワン泣きました。叫んでたレベル。感情失禁。
そして何故かじっとしていることもできず錦糸町の街をぐるっと徘徊。男性が一人声出して泣きながら街をウロウロしているんです。もう色々アウト。
そしてなんと驚くべき事にそんな自分の様子を見かねた友人の一人が何も言わずに後をついて来てくれていたのだ。え、聖人?徳積みすぎじゃね?
泥酔し我を失った自分を心配し徘徊に付き添ってくれたのだ。そんな状況絶対恥ずかしかったと思うし、俺だったら絶対そんなやつ見捨てて帰るわ。
感謝の言葉もありません。本当にすいませんでした。
幸い、それ以降酒を飲んで泣くことは無くなった。今まで本当に沢山のもの(有形無形問わず)を飲みの席で失ってきました。しかしここ数年の飲酒時のパフォーマンスは大変安定しているので、みなさんお願いだからこれからも僕とお酒を飲んで下さい、お願いします。

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