東京思い出川柳 その④
断然犬派である。
ただ犬派の人間の中では比較的猫も愛せるバランスタイプである。もっと言うと動物全般割と好き。
ただやはりあの犬という動物、とりわけ大きめのワンワンに対する僕の愛はスカイツリーより高く隅田川より深い。(そこは東京湾だろ。)
なんなのあの動物は。本当に。
ただただ愛くるしい。
あの少し臭いのもいいよね。ワンワン臭。
自分が大きめのワンワンに対して偏愛を持つ最大の理由は、ギューっと体全体で抱きしめることが可能なあのサイズ感にある。
彼らと向かい合い、体制を低くしてワンワン氏の顎を自分の肩に乗せる様にしてハグし両腕で彼らのボディを優しく包み込む。はい。愉悦。
温かい。
柔らかい。
ちょっとくさい。
ありがとう、生まれて来てくれて。
彼らを抱きしめた瞬間、脳内には幸せホルモンオキシトシンがこれでもかッ!と分泌され、その瞬間だけは日々の雑多なストレス要因もたちどころに頭から消え去る。
彼らの毛むくじゃらのボディに顔をうずめ、深く息を吸い込んだ日にはそれはもうマリ◯ァナなんて目じゃないレベルの多幸感に包まれること請け合いである。知らんけど。
さてそんな犬好き轟木青年がまだ二十歳手前くらいの頃、諸用があってその日は東府中にいた。
友人と二人で歩いていると、向こうの横断歩道を白い大きな生き物が歩いているのが見えた。
え、、、?
飼い主の男性がリードを引き歩いている。
え、ちょっと待って、、?
いや、確かにそれはありふれた光景なのだ。
そうそれはごくごく普通の、犬の散歩の様子。
そのワンワンがめちゃくちゃデッカいことを除いてね!!!
いやー本当びっくりしました。
目を疑いましたね。
友人と一緒に大興奮。
だってめっちゃ大きいんだもん。
前述の通り私は犬に関しては大きければ大きいほど性癖を刺激されるので、すぐさま駆け寄って飼い主さんに話しかけました。
許可を得て、ゆっくり触る。
フカフカ。
この世の真理レベルのフカフカ。
ありがとう、生まれて来てくれて。
ありがとう、俺と同じタイミングで東府中をお散歩してくれていて。
「なんていう犬種ですか?」
とか
「何歳ですか?」
みたいなまぁそういうありがちな質問も勿論したけど、それに対する飼い主さんからの答えなぞ全くもって覚えてはいない。
今自分の目の前にいる存在から放たれる視覚情報があまりにも多過ぎてそれどころではなかったのだ。
そして正味一分にも満たないそのふれあい時間の中で僕は確信した。
小型乃至は中型犬に比べてはるかに嵩むエサ代、老犬になった際の介護の負担等、大型犬を飼うというのは非常に大変なことなのにも関わらず、こんな大きなワンワンを飼う決断をしたこの飼い主さん。
そうだ。
きっと俺と似た性癖の持ち主なんだ。
絶対そうだ。
興奮気味の俺の質問にクールな感じで答えてたけど、お家に帰ったら絶対思う存分この大きなモフモフをやりたい放題してるんだ。
人には見せられないような顔して、このワンワンと絶対あんなことやこんなことしてるんだよ。
くそぉ!
俺だって...!
はい。
もう、本当にごめんなさい。
反省しているので許して下さい。
我ながら筆致がキモすぎる。
でも、東府中で大きい犬に会った、という出来事だけでこんなにも下らない文章を延々と膨らませた努力だけは認めてほしいです。
ベーキングパウダー。ベーキングパウダー轟木。
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