アリスの旅立ち【2023総集編】
「この感情に 何と名前をつけようか」
2023年12月16日 夜
僕は、琵琶湖にいた
湖畔ではなく、文字通り、湖上に
"LES WORLD CRUISE"という、それまでLes Worldに関わった人たちが
一堂に集結する忘年会イベント
金曜日にフルタイムで働き、広島で大学の講習をうけ
数年ぶりの夜行バスに飛び乗って、向かう、京都へ、大津へ
今月って何月…?
「忘年会」なんていうわけだから、それは12月な訳で
今日は、クルーズから1週間過ぎた12月23日だから、あと1週間で今年も終わるみたいで
でも、気分はまだ9月くらい
それは、山の中でキラキラとしたイルミネーションがないからだろうか。
都会では、イルミネーションの木の下でカップルが歩いて
駅には大きなクリスマスツリーが飾られているのだろうか。
多分今年も、紅白を見ながら
「今年も終わるのかぁ」「こんな曲知らない」って
口に呟きながら、年越しするんだろう。
それでも、自然は、冬の訪れを確かに教えてくれている。
人生で初めて、車の窓が凍って仕事に遅刻した。
初めて雪の日に、高速道路に乗った。
雪の上を歩くとスニーカーに水が染み込んでくるから、長靴を買った。
車の雪をどかすためのスノーブラシも。
それまで朝シャワー派だったのに、そんなこと絶対にできない。
必ず寝る前に、湯船を溜めてお風呂に浸かるようにしている。
あと、灯油のファンヒーターを買った。エアコンとは大違い。
初めての事象に、戸惑いと学びを得ている。
船で風にあたりながら考える。
なぜ、人は時間を、自然を区切ることを思いついたのか。
「暦」がなければ、ここまで哀愁を覚えることもなかったのに。
変な焦りや迷いを持たなくていいのに。
「暦」がなければ、ここまで文明は発展しなかったんだろうけど。
年を重ねるごとに、子どもの頃の年末年始に対するワクワクは消え去っていく。
この言葉はきっとそう。
「この感情に なんて名前をつければいいんだろう」
「仕事」という壁
仕事で、初めての壁にたくさんぶち当たった。
ここまで、本当に本当に苦しかった。
何度「もう辞めてやる」と思ったことか。
だって、やることがないんだもん。
なぜこんなに放置されているのか。
なぜやることもないのに、ただただデスクに座ってないといけないのか。
自分の職場のはず。
なのに、自分の居場所がそこにはない感覚。
一応「新卒」だったはず。
大事な時期を、ここで過ごしていいの?
大学時代、かなり同年代の先を行っていたはず。
なんて、この考えがもう間違ってる。
SNSで流れてくる見ず知らずの人との比較。
あぁ、このまま路頭に迷っちゃうのかなぁ…。
ここまで育ててもらったのに申し訳ないなぁ…。
この先自分どうなっちゃうんだろう。
いろんな人の生き方を知ってるはずなのに、
一度脱落したらもう帰ってこれないって想いが日に日に増していった。
先輩方に相談して「もったいないね」って言葉をかけてもらうたびに、
あぁ、どうしたらいいんだろう…ってなって
ベッドからずーっと起き上がれない。
そんな心が愚弄されていた日々。
違う。
今まではただ、ずっと誰かが作ってくれた場で
自分の想いを発揮していただけだった。
誰かが、船を作ってくれて
その船を片付けたり、豪華にしたり
船の中ではしゃいでみたり
ユタラボで高校生向けの講座を運営してた
カタリバでマイプロのファシリをしてた(今もか)
でも、それは、結局誰かが作ってくれた箱庭の中で
ただただはしゃぎ回ってただけ
ただただ、疑うことなく箱庭の中で踊っていただけなんだ。
それは、さながら、何も知らない鳥籠のアリスのように。
あぁ、もう違うんだな。
僕は自分の船を作らなきゃいけないんだ。
船は、1人じゃ作れない。
出資してくれる人がいて、一緒に汗を流してくれる人がいて
それを使ってくれるお客さんがいて
初めて、成立する。
協働する相手が抱いている課題感を把握すること。
そこに、自分が抱いているモヤモヤも掛け合わせて、
できることを提案する。
それを叩いてもらって、修正して、また提案して。
それの繰り返し。
そして、そのために、相手と関係性を築くこと…
ふぁぁ、仕事ってこういうことか。
漫画とか、ドラマとかでよく
「あなただから…」というシーンを見てきたけど
それはこのことだったんだな。
大人の言葉で言えば、「企画」とか「提案」とか「営業」とか。
そんな言葉で表すんだろうか。
いや、それはきっと仕事だけじゃない。
他にも、何にも通ずること。
問題を探す
もう一つ、これまでと違うこと
これまで、問題は「与えられるもの」だった。
答えることが、求められていることがわかっていた。
「この企画を開催するまでの行程を可視化し、協働しながら行いなさい」
「生徒の学びを最大化するファシリテーションを考え、実践しなさい」
正解がある時も、ない時もあったけど
とにかく問題はそこにあった。
でも、今はまず問題が与えられていない。
自分で問題を探さなきゃいけない。
「この"まち"の教育をより魅力的にしなさい(ただし、形内容は問わないし、自分達は全然わかんないけどね☆)」みたいな?
しかも、答えることが求められているかもわからない。
「いやいや、少しは制限くれよ…」なんて思いながら
自分なりの回答を見つけ、提出してみる。
添削をもらって、現場で実践してフィードバックを受けて
さらに良い回答を探していく。
つくづく、自分はいい子であろうとしたんだろうな、と思う。
思い出される小学生の日々。
授業中に周りが騒がしくて、先生が怒って実験ができなくなったあの日。
回答を「提出」するってのがすごく自分にとって難しくて
それはきっと、周りからの声や視線を気にして
「なんて言われてしまうんだろう」と怯えているから。
間違ってる、と言われるのが怖いから。
ようやく一つ、形にできそうなことができてきた。
拙いかもしれないけど、よちよち歩きの自分が踏み出した最初の一歩。
今のこの気持ちはなんなんだろうか。
ふわふわ?もやもや?わくわく?
不安なの?葛藤してるの?楽しんでるの?
この感情は、何という名前なんだろう。
今年やりきれたこと
問題が大きく変わった
幸いなことに、この1年間たくさんの学びの機会を得ることができた。
今年、ただ一つこれだけはやれたと思うこと。
それは、たくさんたくさん学んだこと。
特に11月。
社教士講習の益田実習。
SCH西日本が行われた大崎上島訪問。
文科省研修で訪れたふたば未来学園。
どれも、自分にとって不可欠でかけがえのない時間だった。
特に、初めて訪れた大崎上島。
最後に残した言葉は、「この”生態系”を日本全国に…」というもの
目の前の生徒が、1人の人として地域に飛び込んでいる姿。
課程内(学校)を飛び越え、課程外(社会)にどんどん飛び込んでいく姿。
「次はこんなことがしてみたいんだ」と目を輝かせて、意志を持って語る姿みんな口にするのは、「”やりたい!”に挑戦しやすい場所」
それぞれに飛び出し、育つ。
それは文化であり「生態系」
『そうそう、この景色が見たくて、この仕事を志したんだった』
結局、社会教育が「この社会の基盤を形成している人々の関係を耕す営み」であるとするならば
僕らがやれることなんて、そんなに多くはなくて
「これあったらいいなぁ」って思うことに対して
まずは自分が繋がって
ゆるい繋がりを作りだして
そこで生まれたことを、面白がって、盛り立てる
たった、それだけのこと
今の願い、自分が人生で叶えたいことは
「すべての人が、自分の心のエンジンを駆動させて生きる状態を作ること」そして
「好きに生きる」に寄り添うこと
そのためには
多様な人と出会い、自分の琴線に触れるものに出会う機会を創ること
「やってみたい」と思ったことを一緒に面白がってやること
そんなことが大切なんだなって思うし
自分のやりたいことなんだろうなぁ…。
そうした仕組みは、一朝一夕にできるものじゃない。
今、先進と呼ばれている地域も、何年もかけて作り上げてきた。
お客様なんかじゃない。
もう自分は、その創り手にいる。
今まで、いろんな人から言われていた言葉がすとんと胸に落ちた。
学んだことが活かせるようになった。
うわぁ、こういうことだったのかぁ…。
なるほどなぁ…。
僕らは音楽に支えられて生きている
そうこうしているうちに、夜のクルーズは終わりを迎える。
最後は、国創りでやった"BIRTH"と
無人島でやった"人生最後の日"
「活かせたのか」
「諦めなかったのか」
「挑戦したのか」
「やり続けたのか」
「そして、今、幸せか」
ここで泣いちゃうのは、1年経っても変わらないらしい。
この1年で変わったこともたくさんある
自分が「好きだな」「愛おしいな」と思う人がどんどん増えて
そうした人たちと一緒に時間を過ごしたいと思うようになった。
一人で観光地をぶらぶら歩くより、友達とご飯食べたり、ボドゲしたり
そんな時間が愛おしく思うようになった。
カメラを持つようになりました。
大好きな人たちの写真を撮って、勝手にニヤけています笑
風景を撮るより、人を撮る方が好きなようです。
ネパールで歌った"Celebrate"という曲
孤児院の子どもたちと関わりながら、考えた自分なりの美しさ
まっすぐ、素直に生きる人生も美しいだろう
でも、悩んで、苦しんで、もがきながらも
前に一歩一歩踏み出していく姿
そんな姿に美しさを感じる自分
その場で出会ったMr.s Green Appleの『僕のこと』
聞いた時に涙したのは、初めてだったかもしれない
この1年は、自分にとって美しい1年であっただろうか
Mr.s Green Appleで言えば、『ケセラセラ』もよく聞いたなぁ…
スペイン語で「なんとかなるさ」の意味
少しでも、自分が実現したい世界に向けて
自分が成長していますように
そして、また来年も こうしてみんなと笑って語り合って
歌って踊れますように