上司よ、嫌われるな
「理想の上司ってどんな人?」という質問よりも、「嫌な上司ってどんな人?」という質問の方が多くの例が出せる気がしませんか?
自分を含めて今の世代って、同期などの”横”のつながりは重視しても、上司との”縦”のつながりに踏み込んだ関係は期待していないような気がするのです。だから、とりあえず面倒な上司だけは嫌という気持ちが強いのではないでしょうか。
結果的に私の個人的な考えは、上司の心構えは“好かれなくていい、嫌われるな”です。
嫌悪の感情が生まれると、あらゆる発言・指示が部下のストレスを生み出してしまい、何をしても不和が生まれます。
前職の経験ですが、大量の印刷済みのチェックシートで一部、年を跨いだので【2021年2022年】というように、取り消し線で書いていたら全部印刷からやり直させられたことがありました。ただ、この指示は自分が割と信頼している上司の指示だったので疑問にも思いません。しかし、これが嫌いな上司からの指示だったら絶対にストレス爆発するだろうなとふと考えました。
指示の内容は同じでも嫌いな人から言われると、「なんで自分がこんなことを…」「あの人は何も考えていない…」「説明不足だ…」とあらゆるネガティブ思考に繋がることに…。これは、自分の下積み時代の大きな気づきです。
この嫌悪の状態に陥るとそこからの脱却は非常に困難です。経験上、嫌いな上司を後で好きになるということは滅多にないと思います。ビジネス上の一般的な解決法はどちらかの異動でしょう。そのようなイベントが無い場合、半永久的に日々の業務の1つ1つでストレスが付きまとうわけです。このような事態は避けなければなりません。
だからこそ、まず上に立つものは嫌われない心掛けが大前提だと思うのです。
部下とうまく付き合う方法、どんなビジネス本にもまず書いてあるのは「人の話を遮るな。」「昔話をするな。」ですね。このNG行動に関して、身に覚えがあるのなら今すぐにやめるべきでしょう。
他によく目にするのは、自分の失敗談をオープンにして話す、褒めるときは「この間○○さんが褒めてたけど…」と客観的な要素を伝えると効果がある。あらゆる書籍で共通な内容が書いてあるので、定型的なテクニックはこの世に確立しているのでしょう。されど、このフレームワークに則って、良上司がこの世に量産されているわけではなさそうです。
部下と明るく積極的にコミュニケーションを取る上司こそ理想的だ。否定はしません。しかし、機嫌がいい時はいいけど、悪い時は悪いというのはいかがなものでしょう。
「話したいけど、今はいいタイミングじゃないな。」相談の度に上司に顔色をうかがうのは面倒です。その1ステップがあるだけで、組織の風通しが悪くなります。
部下から報告がでてこないので情報を自分から取りに行かないといけないと愚痴る人もいますが、その前に本当にいつも相談を受け入れる姿勢が安定しているのか考えたいところです。自分は明るく部下に喋りかけているという自負があっても、それは”時々”のことで、機嫌のムラを周りは面倒に感じているかもしれません。
相談したいときに相談できる。そのためには、どんな時も平常心でかつ公平的な態度でいられるというのは、時々、機嫌よく皆に話しかける人より部下は必要としているかもしれません。
もっと気を付けるべきことは、相手を絶対に否定しないことでしょう。少しでも気に食わないところや、回り道になりそうと思うところがあったら、どうしてその発想に至ったのかまで遡ってネチネチ追求する人がいますがご法度でしかありません。
ましてや、相手や自分のチームのことを考え、良かれと思って上司は意識せずにこのような発言をしている場合もあります。
自尊心が傷つけても反骨精神で成長すると主張する人もいるかもしれません。実際、昔はそうしたやり方が通用した時代はあったのでしょう。しかし、いつの時代もそうですが、”今の若いものは自分達と違う”のです。同じ理屈は通用しないことが当たり前だと思わないといけません。
ミスは簡潔に伝えて終える。追求しない。直してほしいところが出たら、こうしたほうがいいと”自分は”思うと伝える。そして、“自分が”何故その方がいいと思う理由を伝える。あくまで自分の考えとの相違を述べて、相手の考えが間違っているかのようには言わない。
「嫌われるな」と聞いて、部下に指導できなくなると考える人もいますが、結局、全部伝え方の問題でしかないはずです。それだけのはずなんです。
好かれなくていい、嫌われるな。
マイナスをプラスで補おうとするのではなく、マイナス、つまりNG行動を徹底的に無くす。ドライに聞こえますがこれが上司に今、求められているのではないかという個人の考えです。
自分ももちろん完璧な人間ではないので、まだまだ精進が必要ではあります。「仲良くしたいのは分かるけど、とりあえずアレやめてくれませんか?」と世の中の上司たちに一石を投じてみました。
皆さんはどのように考えるでしょうか?
このnoteを800文字程度にぎゅっと内容を凝縮した私のコラムが松浦機械製作所の広報誌、マツウラNEWS!にて掲載されております。
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