"日和"ってまるっこくて可愛いですよね。

秋が近づいてきました。学生の皆さんは運動会や文化祭の時期ですかね。こうした行事の当日、雲1つない空を見ると「今日は運動会日和だねぇ」なんてつい呟いてしまいます。穏やかで、ほっと気が休まりませんか?なんとなく丸みを帯びているように見える字面だったり、"小春日和"といった言葉の印象があるためでしょう。

そんな時にふと思い浮かんだこと。

「"日和"の"より"ってなんでこの字なんだ…?」

"和"を"より"と読む時をこのほかに知りません。何かの当て字なのか、字に何か由来があるのか。改めて考えると可愛らしくて好きな熟語だったので、調べてみました。

調べる前の予想

日和を、"日"と"和"に分けて考えてみました。

"日"
→これはそのまま"日差し"だったり"お日様"の意味じゃないでしょうか?

"和"
→こちらがわからない。ただ、"バランス"とか"調和"といった印象があります。

「調和の取れた日差し」ってこと…?まぁ行楽日和などの言葉の印象とは近い気がしますよね。何と調和が取れているのかはわかりませんが。あ!暑くもなく、寒くもない。我々人間が快適に感じる状態の日差しとしてバランスが取れいている、とすれば日和の柔らかい印象ともあっている気がします!

ただ、なぜ"和"を"より"と読むかは全くわからない。多分当て字でしょう。

うーん、国語をちゃんと勉強してこなかったのでまともなアイデアがでてきませんね。

とりあえず辞書で調べてみた

ひ‐より【日‐和】 の解説
1 空模様。天気。
2 晴れたよい天気。晴天。また、なにかをするのに、ちょうどよい天気。
3 物事の成り行き。雲行き。形勢。
〜goo 国語辞書より

もともと持っていた疑問はどちらかというと"日和"の語源なので、ここでは解決していません。ただ、面白い気づきが1つ。"日和"って第一義は"空模様"や"天気"なんですね!字の印象で快適な晴天のことだけを指しているのかと思っていました。元はそういった意味で使われていたんでしょうかね?

日和の語源を探ってみる

日和の語源は「日寄り」です。
万葉の時代に柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)という歌人が詠んだ「飼飯(けひ)の海の 庭好くあらし刈薦(かりこも)の 乱れ出づ見ゆ 海人(あま)の釣船」という歌があります。当時は庭は海上を意味し、万葉仮名で「日和(にわ)」の字があてられていました。
ところが後世の人は「日和」を「日が穏やかだ」の意味と間違って解釈してしまい「ひより」と読みました。それがそのまま定着し、海上の天気を指す言葉から天気全般を指す言葉として定着していったそうです。

↓引用元の記事(この記事もどこかから引用しているそうですが)↓

なるほど、歌の解釈違いから出てきた言葉、ということなのでしょうか。また引用冒頭に日寄りとあるように、日和という字自体はやはり当て字(万葉仮名?)でした。

ちなみに、別記事も含めて読むと"日和"は特に海上の天気について表していたように見えます。「船を出航させるのに適した天気かどうかを観測すること」を"日和見"と言っていたそうです。"日和見主義"の語源はここなのでしょうね。

元々「日和見」とは天気の状況をうかがうことであり、江戸時代には各地の港近くには、小高い丘に日和見を行う場所があったそうです。
そこには十二支の方角石が置かれており、風の向き、雲の動き、潮の速さなどをおしはかり、航海する船のコースを検討することを「日和見」と言いました。

↓引用元の記事↓


では"日和"の語源となったようである"日寄り"の意味・由来はなんでしょうか?

日(よい天気)のほうへ片寄る意の「日寄り」からきた語。

↓引用元の記事↓

元々はこのような意味を持っていた"日寄り"という言葉があったのなら、柿ちゃんの日和(当時海上という意味を持つ"庭"のこと)をそう勘違いしてしまうのも無理なさそうです。"和"の読み方にも一応"より"が入っているのでなおさらです。

調べてみて

"日和"という言葉自体は、歌の解釈違いから生まれたようでした。語源がかなり古いので完全に信じ込むのは良くなさそうですが。

"日和"の大元を辿ると、"日寄り"という言葉に行き着きます。その言葉自体に"いい天気"という意味合いが含まれているように見えますね。"日和"もこの意味を引き継いでいる部分もあるのでしょう。

また、言葉としてできた順序を見ると"日寄り"→"日和"のようですが、今は前者を使う方はほとんどいません。細かいところは分かりませんが、江戸時代には日常的に港町などで"日和見"を行なっていたために、より身近な言葉になったのが"日和"だったのかもしれません。単に現象としての"日寄り"よりも仕事としての"日和見"の印象が強くなっていくのは自然なことに思えますね。

個人的には"日和"の丸くて可愛い印象が好きなので、なんの意味もない当て字だったのは少し残念な気もします。というより、「"日"と"和"に分けて…」などの予想になんの意味もなかったことの方が残念ですかね(笑) "日"という字自体に、"いい天気"という意味があるところだけかすっていました。


ふと思い立って"日和"を調べてみましたが、語源を探るのは意外と面白いですね。特にポジティブな意味合いを持つ言葉を中心に今後も調べていきたいと思います。

では、また。

イライラを我慢しないようにね!