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ぬけぬけ病
私はぬけぬけ病で悩んでいた時、誰かと共感することや症状などを共有することでとても救われたと感じた。逆にもちろんなったことない人からすれば意味の分からない症状ですから、理解を示されず突っぱねられ悲しい思いをしたこともあった。
悩んでいる人の少しでも救いになればいいと思うし、悩んでいない人でも私の記事を通してこういう人が世の中にはいるんだと少しでも理解を示してくれると嬉しい。
「ぬけぬけ病」とは
ぬけぬけ病というのは俗語で、「特異動作性局所ジストニア病」という名称の病気である。走っている時に急に脚に力が入らなくなる、固まる、引っ張られる?ような感覚があったり症状は様々である。
明確な原因、治療法、共によく分かっていない。そのため精神的な問題と片付けられることも多いのだとか。
闘い。
私が初めて違和感を感じたのは2年の夏。夏帰省前から強度の高い練習だと少し右脚に抜ける感覚があり、単にきついだけで何も問題ないと思っていた。しかし夏帰省を境にジョグでも違和感があり、これは明らかにおかしいと感じた。
夏帰省後の朝の集団走では抜ける症状に加え、右大腿直筋あたりに痛みがありそれ以降しばらく走練習をやめた。後に分かったが、この痛みは力が入らないことによる代償動作であった。これが長いぬけぬけ病との戦いの始まりだった。
右大腿直筋の痛みはストレッチや治療ですぐ良くなった。これで走れると思ったが、走り方が思い出せない。走ろうとしても右脚が前に出てこないし、蹴れない。すごい不思議な感覚だった。気持ち悪いしまるで自分の脚ではないみたいなそんな感覚だった。
トレーナーからは部分的な体幹トレーニングや臀部や股関節付近のトレーニングを行うことで改善するかもしれないという助言を受け、ひたすら補強を取り組んだ。なかなか良い感覚は掴めないものの少しずつ改善してきている感覚があった。しかし走るとダメ。結局前の動きに戻ってしまう。
復活の兆し。
補強をはじめてから3週間ほどでジョグができるようになってきた。依然として嫌な感覚はあるものの、少しずつ補強が走る動作に繋がっていくイメージができていた。
そこからは補強を継続しながら走るボリュームや質を少しずつ上げていった。発症から約3ヶ月弱ほどでポイント練習ができるまでには戻すことが出来た。
それ以降も右脚に若干の問題は抱えながらもほぼ発症前と同様レベルには走れるようになり、11月の記録会ではベストに近い記録で走ることも出来た。大晦日の3000トライアルでは8'29の大幅ベスト。その時は練習の流れもきつかったため、ここでのベストは大きな自信になった。
ぬけぬけは完治したと、私はそう思った。というかもはや忘れかけていた。しかし悪夢は終わらなかった。
再来。
2年のトラックシーズンが終わりロードシーズンへ。当時は深く考えていなかったが、よく考えれば「右脚だけ」痛いなんて言うことがざらにあった。
しかし大きく支障が出ていたわけではなかったため練習を継続。ポイント練習で離れることが前に比べ多かったがただ調子が悪いだけくらいに思っていた。
時は飛び、5月後半。少し嫌な感覚が戻ってきていた。ポイント練習の中でもロングインターバルやペース走になると後半急に脚がもつれ力が入らなくなることがあった。そしてそれは記録会で顕著に出た。
東海大記録会10000m。人生初のトラックの10000mで緊張していた。3000まではとても楽にいけていたが、3000をすぎると急に集団から離れてしまった。自分でも何が起きたのか分からない。ただあるのは、右脚に力が入らないということだけだった。それに加え段々視界もあやふやになり、ゴール後はフラフラだった。気温も相まって脱水を起こしてしまった。
当時はこれは脱水だけだと思っていたがここら辺から完全に症状が戻ってくることになる。それ以降はロングのポイント練習だと力が入らなくなるのでショートのポイント練習で繋ぐことになった。距離走は特に問題なくできていたためやっていた。
しかし夏が近づくにつれ次第にショートのポイントも距離走もどっちも力が入らなくなってしまった。幸い今回はジョグができなくなるまでには至らなかった。
終わらない
夏は全体とは合流せず、ほぼ各自でジョグやロングジョグをやって過ごした。というのもペースさえ上げなければ変な感覚はあれど走ること自体はできたからだ。
なんどかポイントを試し、複数回目でようやく嫌な感覚はあれど、完遂するまでに戻すことが出来た。これで昨年のように上手く戻せるだろうと思った。
しかし今回はそうはいかず、選手を引退した今でも症状は続いている。秋頃にはぬけぬけの影響か足の甲の痛みにずっと悩まされ、おかしな走り方でずっと走っていた。
ジョグや距離走はできてもロングインターバルやペース走ができることはなかった。ジョグや距離走も結局のところずっと変な感覚はあったわけで問題なくできたというと語弊はある。
試合でも当然のごとく抜けがでて、まともな走りはできず。シーズン最後の法大記録会をもって選手を引退した。
その後
私の場合、主な症状は通年で特に変わることもなく強度が高い練習では全く力が入らない、強度が低くても力が入りずらく、右脚が上手く使えない感覚があるというものだった。
選手引退後もたまに走っているがまだ抜ける感覚がある。ぬけぬけ病は痛くもなんともない。でもだからとてつもなく不快だ。走るのが好きな私にとって苦痛でしかない。
明確な原因は分かっていないが、原因の一因として考えられるのは2年の春に患った鼠径部痛だ。ずっと痛みを抱えたまま走ってしまいそこから身体は徐々に壊れていった。
これはひっそり書いているものだからあまり多くの人の目には入らないと思うがこれを見た人にはとにかく無理をしないでほしいと思う。脚が痛い中走っていいことなどない。痛いなら休んで治す。そうでなければ身体は壊る。
壊れてから待っているものは本当の地獄。助かるうちに助かってほしい。
選手は引退したし、まだぬけぬけ病の症状はあるがマネージャーとして引退後に、地元の駅伝やマラソン大会には出ようと思っているため、またいつか全力で走ることが出来る日がくると信じて、ボチボチ走ろうと思う。
P.s
岡本のおかげもあり、選手引退後は前向きな気持ちでマネージャー活動に取り組めています。丸亀、神奈川と例年になく良い結果を残してくれてとても嬉しいですし、このチームの雰囲気で1年通してやっていけるようサポートしていきます!
#陸上競技 #長距離 #ぬけぬけ病 #特異動作性局所ジストニア