同時に複数のことをしないようになった
時間というのは常に足りないもので、やりたいことは山程あるのに足りないし特になくても足りないものだ。
その時間をうまくやりくりしようと、20代の頃は趣味や勉強など色々なものを詰め込む生活をしていた。当時はいわゆるライフハックブームや勝間和代を始めとした自己啓発系のブームが起きており、私はカツマーではなかったものそれら系の影響を少なからず受け、「効率化」「やりたいことリスト」みたいなことをやっていた時期があった。
その中で時間を有効に使うことを目的としてよくやっていたのが同時に複数のことをやることである。例えばこんなことをしていた。
・料理をしながら外国語のリスニング
・洗濯物を畳んだりアイロンかけながら録画したニュースを見る
・部屋の掃除をしながら、頭の中で一人二役でスピーキングの練習
・ジョギングをしながらオーディオブック
他にもいろいろやっていたと思うが、同時にできそうなことは色々試してみた。その時はそれはそれで良かったのだろう。やってたころはそれなりに身についてるので完全に否定はしない。しかし今思うと、いろいろ詰め込みすぎたのかなと思う。
当時を思い出そうにも、タスクに追われている感じがしていたかどうか、実際に心に余裕があったかなかったは思い出せない。
ただはっきり言えることは、休みの日の昼間になにもしないで1時間ぼーっと外を眺めていることなんてしなかったことは言い切れる。何かをしていないと不安で不安で仕方なかった。
さて本題。
ここ数年は同時に複数のことをしないようになった。もちろん時間はいくらでも欲しいしやりたいことが多いのは変わらない。むしろ歳を重ねれば重ねるほどやりたいことは増えていき、また時間も少なくなっていく。
それでも同時に複数のことはしなくなった。ただ一つ、その時していることに集中する。集中できずに雑念とか考えとか始まった場合は頭が勝手に行う考え事に任せる。
今これを書いている時は音楽もかけていない。TVもつけていない。聞こえてくるのは鳥の鳴き声とこの文章を打ち込むキーボードの音、近くを通る子供の声などである。
掃除をする時は掃除に集中し、アイロンをかける時はアイロンをかけることに集中する。あれもこれもと欲張らず、一つ一つの行いを大切にする。
そうやって毎日のちょっとしたことを丁寧に行うことを習慣にしていくうちに心にゆとりが生まれ、日々の生活がより豊かになってくると感じるようになった。