人の話を聞いてる風で聞いてない人についての仮説
たまに出会う聞き上手風の人の話。
「風」としたのは本当に聞いているのか疑わしいからだ。
その時は「ふんふんナルホド」「へぇ~!すごいですね!!」「さすがですね!!」などと、聞き方教室帰りさながらのリアクションをしてくる人がいる。
さらには聞き方の教科書のお手本みたいに質問上手でもあり、こちらの話したことにくいついて話題を広げてくる。
初対面の時は会話慣れした人だなと感心したものの、何度か会ううちに違和感を覚えるようになる。
そう、このような人たちは別の日に会った時でも同じ質問をし同じリアクションをするのだ。
もちろん、私も人との会話を全て記憶している訳ではないので、同じ質問をすることもあるし、同じことを言う場合もある。
しかし、最低限その人間を代表する要素である、フルネーム、職業、出身地、趣味といったものは忘れることはない。
だが聞き上手風の人たちは覚えていない。何一つ覚えていない。「どんな仕事してますか?」と会う度に聞いてくる。
ドラクエじゃあるまいし毎週、毎月転職なんてしない。仮に転職(転社)が多い人でも年に何回も「職種」が変わることは少ない。
それなのに聞いてくる。
そして初めて聞いた風のリアクションをし、前と同じように「○○のお仕事って××のイメージですよね」などと返してくる。
ふと思う。「目の前にいるこれはボット」だろうか。
そこでイタズラ心に火がつく。前会ったときと同じ話ししたらどうなるのだろうか。
そして試してみる。やはり同じリアクションをされる。同じ返答をされる。
そして「私もなんですけど~」と始まるのだが、やっぱり前と全く同じ話である。
もしかしたら私は、彼ら彼女らに試されているのかもしれない。
「またこの人同じことを喋っているよ、しょうがない初めて聞くフリをしてやるか」みたいに。
しかしそんな風には見えない。こちらが喋ってる時のリアクションはとても演技には見えない。
今度は違うイタズラを仕掛ける。前に話したのとは別の架空の設定(悪く言えば嘘)を言ってみる。
特に疑われることもなく、似たようなリアクションをされる。
何なのだろう・・・。
そこで仮説を立てた。
この人達はその瞬間では本当に聞いている。しかしその場で消化し何も残さない。
彼ら彼女らにとって会話の目的は他者を知ることではなく、言葉のキャッチボールであると仮定する。だから話の内容を覚える必要はない。
こう言ったらああ言う、こう来たらこうリアクションを取る。ただそれだけ。
そう、こういう人たちは悪気はない。なら仕方ない・・・。
・・・訳がない。
何度も何度も同じ話をするこっちの身にもなってほしいと。
私は覚えるまでもない取るに足らない人物なのかと。
また一つ疑問に思う。仮にこのような人たち同士で会話した場合はどう繰り広げられるのか。
少なくとも言えるのは、アレクサとグーグルアシスタントが会話するみたいな面白い展開にはならないということだ。