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【マシュマロ回答 #0001】 科学的思考を学ぶ上でおすすめの本がありましたら教えていただきたいです。

はじめに

こんにちは。える訪問看護ステーションの米元です。私が利用しているマシュマロという匿名のメッセージを受け取ることができるサービスに、上記の質問が届きましたのでこちらで回答します。

科学的思考を構成する知識のとても広い領域に及びます。簡単に思いつく範囲でも、論理学、統計学、科学史、科学哲学などの分野があり、個々の領域で膨大な量の研究がなされています。

個人的にとても好きな領域に関する質問内容でしたので、複数の書籍を紹介させていただきます。長く私の発信を見ていただいている方には「また同じ書籍を紹介して…」と思われそうですが、そうそう推し本とは増えないものですし、よく勉強していたあの頃の書籍しか、胸を張って紹介できないんだ、という内心の事象もあります。なお、どの分野も独学しただけの素人ですので、あくまで参考程度にしていただければ幸いです。

論理学

論理学は、命題や概念間の関係性を明確にし、その結合や区別を分析する学問です。つまり「考え方の正しいルール」あるいは「正しい考え方のルール」を学ぶことができます。それは主に、真実の価値や命題の妥当性を評価するための方法論という形で探求され、正しい推論の形式や、誤謬を避けるための原則に関する研究が行われています。この学問の核となるのは、演繹法と帰納法などの推論方法です。これらの方法を通じて、情報や命題を正確に、そして論理的に解釈・結合する技術が磨かれます。論理学といえば野矢茂樹先生です。全く勉強をしたことがない場合、少し勉強するだけでこれまでの認識の方法がガラッと変わるので面白いです。

実験設計(研究デザイン)

科学的研究における仮説の検証や新しい知識の獲得を目的とした実験の策定方法を分野手順、対象などを明確にし、得られるデータの信頼性や妥当性を確保します。つまり、科学的な疑問を解決するための「実験の作り方」を学ぶものです。適切な実験設計を通じて、外部からのノイズや偏りを最小限に抑え、真の因果関係や関連性を明らかにすることが可能となります。私へ質問を送ってくださる方はおそらく医療従事者の方でしょうから、医学的研究に関連する実験設計の書籍を紹介します。


統計学
統計学は、データの収集、分析、解釈を行う学問です。得られた大量のデータから意味のある一般的な結論を導き出すことを主な目的とし、確率論に基づいてデータの振る舞いやパターンを評価します。統計的手法を用いることで、データ内の隠れた傾向や関連性を明らかにすることで、「俺の経験からいうと〜」というバイアス(認識の偏り)を補正することができます。なお、経験に頼ることが一概に悪いことではないことを申し添えておきます。

批判的思考

批判的思考は、情報や命題の真偽を評価し、論理的・客観的な判断を下す能力を指します。情報の源や根拠を問い直し、その妥当性や信頼性を検証します。偏見や先入観を排除し、複数の視点から事実を考察することで、より深い理解や正確な結論を導き出します。この領域も勉強をしたことがあるかどうかで認識の仕方がめちゃくちゃ変わるので、ちょっと勉強してみることをおすすめします。

科学史と科学哲学

科学史と哲学は、科学の進化とその背後にある思考の枠組みを研究します。科学史は、過去の発見や変遷を通じて、現代の科学的知識の起源を理解する手助けとなります。哲学は、科学の基本的な原則や方法論、そしてその限界を考察します。これらの領域は、科学的思考の深化や発展に寄与します。ひとまず戸田山先生の本を読んでみてください。

知識の体系化

これは、既存の情報や知識を整理し、関連する要素を連携させるプロセスです。単なる情報の収集だけでなく、それを構造化し、意味のある知識のフレームワークを作成します。これにより、知識のアクセスや応用が容易になります。最後の『独学大全』はもう少し広い範囲で知を身につける技法のセットが示されており、ものすごくおすすめの書籍です。

さいごに

思いつくままに書きました。望まれている領域の書籍の提示ができていなかったら申し訳ないです。それでも、提示した書籍はどれもとても面白く、興味深い読書体験ができることうけあいです。どれか一冊でもお手にとっていただけると嬉しいです。

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