ハイワイヤ『トラ』上演台本


〜公演名〜


ハイワイヤ新作公演
『トラ』
作・演出 高畑裕太

[登場人物]

・ヤマダ
イジメられっ子。中学時代に経験した様々な出来事を境に引きこもり、夜な夜な自身のニコ生チャンネルで、自らが受けた「イジメ」や「家庭内暴力・虐待(本人曰く)」などの鬱憤を吐き散らす日々を送る。
・ハナエ
ヤマダとシオリの母親。シングルマザー。ヤマダが引きこもり始めてから自身の子育てに引け目を感じる様になる。
・シオリ
ヤマダの一個上の姉。小さい頃から母に「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」と言われて以来、自分の意見を押し殺してしまいがちな習慣が根付く。
・スズキ
ヤマダの同級生。イジメの首謀者。優等生で、先生や生徒、地元の住民からの信頼も厚い。卒業後は都内有数トップレベルの学力を誇る高校に進学するが、中学とは比べものにならないレベルの高さに打ちひしがれ、学業も部活も中々成果が出なかった。
・シンタロウ
ヤマダの同級生。学年一のおもしろ番長。スズキとは小学校の時からの幼馴染で、自分たちがイジメを働いていた自覚は無く、単純にそういうノリの遊びだと思っていた。サクラコの事が中学の時からずっと好き。先天性の学習障害がある。
・サクラコ
シオリの同級生。天然の気がある。高校に上がってから周りの開放的なノリについていけなくなり、結局卒業まで上手く馴染めず、シオリとばかり遊んでいた。
・シゲアキ
サクラコのパパ。家族の温かい笑顔と生活のために、日々元気良く働いている。情に熱い男である。
・ミエコ
サクラコのママ。いつも穏やかでニコニコしていている。ご近所付き合いが上手い世渡り上手。表には出さないが、やかましくも深い優しさを持つシゲアキを誰よりも信頼している。後、結婚するなら「浮気をしなくて飽きない男」が良かったので、本音の本音を言うと、結婚に至った決め手はそこ。
・マサル
ヤマダの同級生。体格も良くスポーツも万能だが、よく大人に怒られていて、その度に胃を痛めている。現在はプロキックボクサーをしつつ、居酒屋でバイトしている。
・山名先生
体育教師。生徒の事をすぐに「お前ら」と呼びたがる。佐藤先生をよく飲みに誘うが、毎回体よく断られている。せめて住所だけでも知りたくて、一度こっそり家まで尾けていこうとした所をシンタロウに発見された事があり、言い触らされていないかが凄く心配。
・佐藤先生
養護教論。関西出身。生徒から凄く好かれていて本人にもその意識はある。人から何かを求められる事を嫌いではないが、相手が生理的に受け付けられなかったり、いきすぎた要求をされると一気に冷めてしまうタイプ。30代の時に一度結婚したが、相手の浮気により離婚。裁判の手続きをかなりスムーズに行って莫大な慰謝料を手にする。担当弁護士からも「凄いですね」と、引きつり気味の顔で誉められる。
・道行く人
主婦。晩ご飯の献立を毎日考えるのにいい加減疲れてきた。
・生徒達
ヤマダが通っていた中学校の生徒達。基本的に皆真面目でスクスク育つ。
・宅間P
元バナナテレビのプロデューサー。現在はフリー。自身のYouTubeチャンネル「TAKUROCKTV」が大バズりしている。NHKの司会や、CMにカメオ出演などもしている超敏腕プロデューサー。
・萬津D
かなり前時代的なテレビマン。舐められたくない一心で、何もしてないのに「オォイ!そこ気をつけろよ!バカヤロウ!」と、ただ広い空間を歩いてるだけの現場ADを怒鳴りつけたりしている。芸人たちの間で密かに可愛いと噂されている。
・トラ
ヤマダの心に生じたコンプレックスが具現化したもの。


[配役]※2023年度初演

ヤマダ…大河日氣
ハナエ…木村望子
シオリ…武田紗保
スズキ…佛淵和哉
シンタロウ…田中廉
サクラコ…大熊花名実
トラ・山名先生・シゲアキ・マサル・宅間P…村岡哲至
佐藤先生・道行く人・ミエコ・萬津D…西村由花


【staff】

作・演出:高畑裕太
舞台美術:袴田長武
舞台監督:澤井克幸
照明:國吉博文
音響プランナー:香田泉(零’s Record)
音響オペレーター:井戸みつき(劇団ネコ脱出)
スチール、記録写真:阿部裕介(YARD)
記録映像:阿部拓歩(阿部写真館)
演出助手:森菜摘(演劇ユニット『あやとり』)
演出補佐:金定和沙
制作:横井佑輔(Play Plan)
宣伝美術:茶谷果倫(ハイワイヤ)
制作助手:茶谷果倫・藤井みゆき
制作補佐:石井光子(ハイワイヤ)
楽曲製作:wahei
企画・製作:ハイワイヤ
協力:LOT STAFFS/jungle/柿喰う客/青年団/Victor Music Arts


プロローグ

ここから先は

46,259字

¥ 1,000

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?