④集中力がエンドレスに続く条件とは?(4-1)
前回の記事
前回までの①〜③の記事で整理したことをザックリまとめると以下のような内容になります。
・そもそも陸上や水泳といった”競走”競技と、サッカーといった”闘争”競技では求められる集中状態が違う。
・サッカー中に求められる適切な集中状態は、世間一般的に言われるような周囲の状況や騒音などが全く気にならない状態(内的集中)よりも、むしろ周囲の何気ない動きや音に気づける状態(外的集中)。
・その状態を作るために意識した方がいいことと取り組みについて
とはいえ、どれだけサッカーにおける適切な集中状態を頭で理解したとしても、実際にそれを体現できるかどうかは別の話。
集中力は繊細で、日々過ごす中でも「今日は集中できたな!」と思う日もあれば、「今日は全く試合に集中できなかった…」と感じる日があると思います。
ということで!
・そもそも人が集中できている時の脳や身体はどのような状態なのか?
という問いを紐解いていくことで、「自発的にその時の状況に合わせて適切な集中状態に入れる技術を身につけよう!」という実践的な内容を④の記事で書いていきたいと思います。
これを整理したことによって、自分自身もかなり再現性を持って適切な集中状態で試合に臨めるようになってきた感覚があります!
✔集中力がエンドレスに続く条件とは?
いきなりですが、1つ質問です。
そもそも、集中力の持続時間に限界はあると思いますか?
Google先生に聞いてみたところ『集中力の平均の持続時間は50分ほど』と書かれていました。
とはいえ、実際のところ50分も集中できない時なんてたくさんありますし、注意散漫で数分も集中力が維持できない時もあったりすると思います。
しかしながら、、、
例えば人の命を預かるドクターは、ときに10時間を超える手術に挑むことがあるそうです。(もちろん小休止を挟みながらだと思いますが)
それこそ映画館で2時間ほどの映像を見ている時に、その途中で「うわぁ集中が切れてきた。。もう限界の〇〇分が経ったのか。。」みたいに途切れちゃうことってあまり多くはないと思います。
このような事例で発揮されている集中力というのは、世間的に言われている限度のある集中とはかけ離れているようにも感じます。
このように適切な条件を整えることができれば、爆発的な集中力を発揮する可能性を人間は秘めているそうなんです。
では、その集中力がエンドレスに続く条件とはなんなのでしょうか?
結論としては『心理的安全性が保たれている状態』とのことです。
最近よく耳にすることも多くなっていると思いますが、具体的には以下の通り。
これをサッカーで考えると、失敗を恐れずにチャレンジできたり、周囲の反応や目が気にならずにサッカーに100%集中できるような状態が心理的安全性が保たれている状態だと思います。
なぜ心理的安全性が大事なのか
『Foucus 4つの集中』の著者でもある青砥さんは、集中力を極限までに高めていくには、以下の2つの脳の状態を同時に発揮できている状態が大切だと考えているそうです。
✔︎凛とした脳の状態
→自制心が働き、落ち着いた心
✔︎激しく燃える脳の状態
→強い願望や好奇心とともに駆け抜ける心
簡単にいうと『サッカーをする上でワクワク・ドキドキしながら、リラックスもできている状態の時に集中力は最大化する』ということになると思います。
これまでの経験を思い返してみても、高い集中力を発揮できたと感じた試合は以下のような特徴があるように感じています。
・適度な緊張感を感じつつも、サッカーを楽しめている
・「やってやるぞ!」といった気持ちを適度に持っているけど、無駄に気持ちがたかぶりすぎず、周囲を見渡し冷静に判断ができるぐらいリラックスもできている
etc…
そして、この2つの脳の状態を土台として支えているのが『心理的安全性』なんだそうです。
それもそのはずで、逆に「ミスしたらどうしよう…」といった不安やプレッシャーを過度に感じているような”心理的危険性の状態”でプレーをしていると、ワクワクもリラックスもしづらいですよね。(つまり集中力が発揮されづらい)
また、心理的危険性を感じている状態だと、集中力が低下するだけでなく、頭が回らなくなったり、感情のコントロールも難しくなるそうです。
「監督に怒られたらどうしよう…」
「ボール受けるのが怖い…」
というように心がモヤモヤしている状態で試合に臨んでしまっていると、
地に足がついていなくてふわふわしたような感覚を持ったり、頭が真っ白になったり、サッカーに思うように集中できなかったりと、自分らしく伸び伸びプレーできない経験している選手は少なくないと思います。
つまり、大前提として脳が安心している状態にないと、人は最高の集中力を発揮することが難しいということになります。
だからこそ、サッカーにおける適切な集中状態(外的集中)に入るためには、まず大前提として”心理的安全性が保たれている状態を構築しなければいけない”ということになると思います。
Q.ではどうやって心理的安全性が保たれた状態を作るのか?
この問いを整理していくためには、
「あなたを心理的危険性の状態にしている原因は何か?」
という観点から整理することが大切だと考えています。
様々な要因があると思いますが、以下のようなことで多いイメージがあります。
・過度にミスや失敗を恐れている
・失敗した先の周囲の反応に恐れを抱いている
・「ここでチャンスを掴まないとやばい。」といった分岐点のような状況
・怪我を抱えている時 etc…
そして、事前にこのような要因が起きてしまった時の対処法を持っていたり、そもそもこの要因が起こらないような状態を作っておくことで、自らの心理的安全性を保ちやすくなると思います。
例えば『過度にミスや失敗を恐れている』ということに関して。
昔の僕は完璧主義のような人間だったこともあり、ミスを極度に嫌っていました。
ただ、今は抜本的に捉え方が変わり、ミスや失敗によって心理的な悪影響を受けることがかなり減りましたし、「むしろサッカーはミスがあった方が面白いんじゃない?」ぐらいのスタンスでいたりもします。
その他にも自分が心理的安全性を保つために意識して取り組んでいることはたくさんあるので、別の記事で整理していきたいと思います!
まとめ
今回の話の要点をまとめると以下のようになります。
・『心理的安全性』が保たれていれば、集中力の持続時間に限界はない。
逆に保たれていなければ、人は集中することが難しい。
・集中力が最大化している時の状態は『ワクワク・ドキドキしながら、リラックスもできている時』。
・この2つの脳の状態を支えているのが『心理的安全性』。
・サッカーにおける適切な集中状態に入るためには、まずは『心理的安全性の状態でいること(構築すること)』が大事。
次回の記事からは集中力が最大化している時の状態(ワクワク・ドキドキしながら、リラックスもできている)についてより具体的に整理していきたいと思います。
そこでポイントとなるのは『自律神経』と『神経伝達物質』。
・自律神経→集中時の”身体の状態”について大きく関わっている
・神経伝達物質→集中時の”脳の状態”について大きく関わっている
というようなイメージです。
(実際はどちらもお互いに影響し合っていますが、分かりやすくこのように分けてみました。)
まずは『自律神経』に着目し、人が集中できている時の体の状態はどのようになっているのか?という観点から整理していきたいと思います。