僕の世界からサッカーが消えた。
多くの人の想いを胸に
ピッチで躍動する選手達。
歓声が渦巻くスタジアム。
サッカーというスポーツを通して
多くの人が集まり、熱くなり、感動する。
しかし、
今は寂しい世界が広がっている。
雨が降り頻る4月下旬のある朝。
現代と同じように
季節も移り変わろうとしている。
ベッドの上にいた僕は
ふと携帯を手に取り
今の気持ちを書いてみた。
時は遡ること1か月前。
少しずつ恐怖の輪郭を表し始めた
コロナウイルス。
最初は「こんなの大丈夫だろ〜笑」と
どれだけの人が思ったのか。
気づけば
活気溢れた場所は殺風景した場所に。
人との関わりが減り
自宅で過ごす日々が続いている。
まさか
プロ1年目のこの時期に
サッカーができなくなるとは
思ってもみなかった。
サッカーがない生活は小学2年生ぶり。
友達と遊ぶことよりも
ただひたすらに
ボールを蹴ることに夢中になっていた。
その溢れんばかりの好奇心と向上心は
今でも変わらず持っている。
しかし、その楽しさを
一瞬にして奪われてしまった。
果たして
今後この世界はどうなってしまうのか?
そう思っている人も多いことだろう。
Jリーグの中止の可能性だってあるし、
場合によっては
1年以上これまでのように
サッカーができないかもしれない。
「寂しい。」「つまらない。」
そんな言葉がふと頭をよぎる。
ウイルスが蔓延することなく
これまで通りこの世界にサッカーがあれば
週末の一大イベントとして
多くの人を熱狂させ
感動させることができていたはず。
その体験に救われる人もいることだろう。
僕は今年から
プロサッカー選手として
これまで以上にそれを体現しなくては
いけない存在になった。
そのためにも
来る日も来る日も時間とお金を投資して
最高の準備をすることに努めてきた。
しかし、
今はその準備を形にする場所がないのだ。
サッカーがない世界。
それは
ポカンと胸に穴が開いたような感覚すら覚える。
ある意味この状況は
僕がサッカー選手を引退した時の映像と
重なるのかもしれないと思うようになった。
「サッカーを辞めたらこんな感じなのかな?」
サッカーがない人生なんて
想像したことがなかった。
「やりたいことが分からない」
「何をしたらいいのか分からない」
そんな悩みを持っている人の気持ちが
少し分かったような気がする。
早く数ヶ月前のように
思いっきりサッカーがしたい。
早く監督やチームメイト、
ファンの方々と喜びを分かち合いたい。
しかし、
そう強く思っても
目の前の現実が変わることはなかった。
でも、
変えられることだってある。
それは自分の行動。
「あれこれ考えていてもしょうがないし
無駄にしていい時間なんてない。」
改めてそう自分に言い聞かせた。
モチベーションではなく
習慣を大事にしてきた僕にとっては、
環境が変わっても
やるべきこと変わらない。
いつかくる再開に向けて
最高の準備をすること。
そして、
不安を感じている人々にとっての
目標であり希望のような
選手・人間になるために積み重ねること。
そう湧き出る情熱を胸に、
携帯を置いて
僕はベッドから起きた。
ブラウブリッツ秋田 No.10 下澤悠太
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