最近の記事

理想の暮らしを”試着する”北海道『中村屋』ステイで感じたこと。

いい宿に泊まることは、異なるライフスタイルを試着することである。数日間別の場所で暮らし方や生き方を試すことができる。北海道の小さな温泉街にある『中村屋』という宿は、理想の暮らしを夢想し、心のどこかに思い出として残り続ける宿だった。 かつて団体旅行最盛期の時代に、日本全国で団体受け入れに適合した大きな旅館やホテルが建てられた。中村屋もそのひとつで、時代と共に需要がなくなり、経営破たんした宿を現在の宿主が承継し、始めたような感じだったと思う。大工でもなかった宿主とその家族や仲間

    • 旅へと駆り立てる1冊の本

      海外へ旅することに憧れていた当時18歳の自分を、実際に旅人に変えたのが、石田ゆうすけさんの「行かずに死ねるか」だ。 この本は、30歳前後で安定したサラリーマン生活を離れ、自転車で約5年の世界一周に繰り出した作者のエッセイで本当に面白い。 気取らず、ダイレクトな文章なのに、著者の心情、登場人物、風景の描写が緻密で感情移入しやすく、本当に世界を自分も旅をしているような感覚が味わえるのはもちろんのこと、関西人丸出しな感じで終始笑えるのもいい。面白すぎて実家への帰省途中の電車の中で

      • フロムを読んでも「愛」はわからない

        Good Will Huntingという映画の中でロビン・ウィリアムスが演じるカウンセラーが主人公のウィルに「愛」を語るシーンがある。 「君は愛について聞かれたら、有名な本を引用をして、愛について語るだろう。しかし君は長年連れ添った病院の癌に侵される妻の手を握り一緒にいたことはない」 異常なIQを持つ天才としての頭脳を持ち、生き方に対してどんな選択をも取れる一方で、周囲に対して傲慢に振る舞うウィルに対し、カウンセラーが諭すように投げかけた言葉である。しばらく前に見た映画なので

        • 「やりたいこと」を選択するか「できることを増やす」を選択をするか

          学生や同い年くらいの社会人にキャリアの悩みを聞くことが増えたが、いつもなにがその人にとっていいかわからなくなってしまう。キャリア本やキャリア系の動画においては以下のような両側の意見がよく書かれている。 「まず一旦できることを増やして、その先にやりたいことを見つけていけばいい。やりたいことが見つかったときにそれができるリソースを自分の中に蓄えておくことが大切だ」 「我慢をするのはナンセンスだ。やりたくないことから徹底的に逃げて、やりたいことをやり続けることが大切だし、好きな

        理想の暮らしを”試着する”北海道『中村屋』ステイで感じたこと。

          自分が価値を発揮している瞬間について考える

          自分が最もパフォーマンスを発揮するタイミングはいつだろうか?先日サッカーを見ているときにふと思った。サッカー選手の仕事は本当にわかりやすい。FWであれば、試合の90分のなかで、ゴールを決める、もしくはアシストをする行動が最もパフォーマンスを発揮している時であり、ゴールを決めるために日々の練習をしている。パフォーマンスを発揮している時とそのためのトレーニングがわかりやすく、時間などリソースの使い方も明確である。 作家などもわかりやすい。村上春樹が最もパフォーマンスをあげている

          自分が価値を発揮している瞬間について考える

          比較社会のなかで自分らしく生きるために

          新卒で入社した人材の会社は比較の連続だった。まず入社の段階で学歴や面接の出来からランクがつけられ、全体の研修では何を基準にかわからないが、様々なランク付けをされ配属が決まり、部門の研修ではテレアポ数や訪問数がカウントされるようになった。部門に配属されたあとは毎月営業成績で順位が付けられ、営業成績が悪い人間は「最近入った新人よりも無能だ」とか「うだつが上がらない」など直接や陰で言われていた。 一方で営業成績上位の人は表彰され、「仕事ができる」とおだてられ、まるで他の人達とは人間

          比較社会のなかで自分らしく生きるために

          レンガを積むように生きること

          今思えばぼくが思春期を迎えたのは大学生の時だった。映画のInto the Wildに生き方の影響を受け、クーリエジャポンに載っている様々な起業家の言葉に影響を受けた。 もうすぐ32歳になるが「普通ではいられない。自分も世界を変え、ミッションに生きたい。社長になりたい。」という想いを漠然と心に残したままだ。こういった想いは自分を少しづつでも望む方向へ手を差し伸べるように生きるうえですごく大切なことだと思う。一方でこうした漠然とした理想を持つことはその理想に近づくということではな

          レンガを積むように生きること

          いろんな側面を持つのが人

          一緒に働く優秀で人格も優れている同僚、たまに電話する仲の良い友人に対して、「素敵ですね。」というような言葉を投げかけることがある。そうするとその同僚は友人は決まって「いやいや、そんなことないですよ」みたいな返答になる。自分もたまに誰かから良い部分を称賛したりしてもらうことがあるが、自分もまた「いやいやいや」みたいな謙遜をする。 そしてその謙遜は心からのもので、「称賛させれるほど立派な人間でもない」というふうに思っている。人によって受け取り方は様々だが、このように思って謙遜す

          いろんな側面を持つのが人

          他者への陰口が自分の人生に与える意外な影響

          会社で働いていたときに、よく仕事の合間の雑談や仕事終わりの居酒屋でご飯を食べているときに話すことは会社のこと、共通の同僚のことが多かった。いわいる噂話や、陰口ともとれることを自然と話していたり、社長や経営陣の批評めいたことを話して盛り上がっていた。また誰かについて面白おかしくイジり、ギリギリの切れ味での批判を楽しんでいた。たしかにそれは面白かったけれど、今振り返ればその場を離れたときは自然と自分がどう話されているか、どういじられているか気にしていたように思う。みんなの前で話す

          他者への陰口が自分の人生に与える意外な影響

          Follow your heart, anything else is secondary.

          何人かの大学の友人とご飯を食べに行ったとき「結婚できない。いい人に出会えないから紹介してほしい」という相談をされた。「どんな人がいいの?」と聞いたら、年収700万円以上、そして大阪か神戸の立地のいい場所に住んでいて、できれば車を持っていること、を条件に挙げていた。 この返答は日本の価値観を正直に表しているものだと思う。大きな会社で働いている、高い給与を稼いでいる、いい車に乗っていて、いい服を着ている。それは僕たち日本社会における見えない、でもはっきりとある基準であり、それに

          Follow your heart, anything else is secondary.

          「持っているもの」はそんなに重要じゃない

          東京で保険の営業マンに誘われて行った豪勢な誕生日会があった。高級寿司店を誰かが貸し切り、そのあとはBARみたいなところでパーティーが行われた。当時自分はこのままの自分をなんとか変えたい、人脈を作りたいという思いで、そういった機会には積極的に参加していた。 そこにいたのは、会社を5つ経営していたり、自分のBARやお店を持っている若くして「経営者」と名乗るような人たちだらけだった。大胆なお金の使い方のエピソードトークや、特に何をやっているかはわからないけど、経営者同士の会話に花

          「持っているもの」はそんなに重要じゃない

          「他人と比べる」を助長するTwitter

          TwitterやInstagramたまにFacebookを何気なく開いて見ることが習慣になっている。知り合いが何をしているのか、どんなことをしているのか、誰と一緒にいるのか、なんとなく気になってなんとなく画面を眺めてしまう。特に前職の人たちがどんなことをやっているのか、どんなプロジェクトをしているか気になって、気になるからミュートしているのに、わざわざ見に行ってしまう。そして残念なのが、他人の活躍や楽しそうにしている姿を見てがっかりしてしまうことがある。プロジェクトが素敵なも

          「他人と比べる」を助長するTwitter

          他者の言葉に人生を振り回されてはいけない

          大学最後の1年間、ほとんどの時間を上海でのインターンシップに費やした。インターン先の社長は自分や他のインターン、社員に理不尽なほど厳しく当たり、見下した。経験や知識のない自分や社員、他のインターン生に対して理不尽なほど厳しく当たり、さげずんだ。怒鳴られる、過去や人格の否定をされる言葉は日常茶飯事で、5分くらい土下座をさせられた社員もいた。しかしその社長は、上海で起業し全てを勝ち取った成功者のように振る舞い、実際当時の自分からはカリスマのように見えた。だからその社長のようになり

          他者の言葉に人生を振り回されてはいけない

          最高の旅の見つけ方 in イラン

          イランへの旅、心からオススメです!旅には様々な良い面があると思いますが、これまで見たことがない景色、文化、人に会い、自分の世界や視野を広げることができるというのが大きな魅力のひとつだと思います。 筆者はこれまで少なくとも20カ国以上を訪れましたが、良いい意味で最も期待を裏切られ、素敵な経験と新しいインスピレーションを与えてくれたのがイランでした。 なんとなく邪悪で危険なイメージをなぜかもってしまっていたイランは、行ってみると豊かな文化と宗教に紐づく壮大な建造物、素敵な工芸品

          最高の旅の見つけ方 in イラン