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命の逆算
東出昌大のドキュメンタリー映画『WILL』を観てきた。不倫報道から数年経って、自給自足のようなアウトドア生活をしていることで注目された東出昌大が、最近はじめたYouTubeをみた。それが今回映画を観にきたキッカケだった。
YouTube一本目から本当に衝撃的。観てもらえれば同じ感想をもつと思うんだけど、内臓えぐり出された状態の鴨の羽をむしって、自分で捌いて食べるという30分強。すごく残酷な映像に思いながらも、気づけば釘付けになっていた。多少後味が悪かったが、観終わって気づいた。
そういえばこないだ鴨せいろ食べたな。
よくよく考えてみれば、残酷なことにすら気づけていない(気づかないふりをしている)自分が一番残酷なんじゃないかと思った。
もう少し考えてゆっくり考えたいな、と思ったらドキュメンタリー映画が公開されているという。これは観に行くしかないと思い、鑑賞。
シアターが2つしかない「Jack&Betty」という関内近くの小さな映画館でレイトショーを観てきた。受付で買えば酒類の持ち込みが可能だという。その事実に上がったテンションと勢いで買った800円のクラフトビール。トイレに2回も行った。
映画の感想に戻ると、まずとても観てよかったと思った。面白いというより、きちんと心に残そうと思える映画だった。
東出昌大が狩猟をする映像が何度かあった。猟銃を持って雪積もる森に入る。そのワンシーンで撃たれて倒れた鹿を、森の隙間から子鹿が見ている場面があった。重くて持ち帰るのが難しいため、その場で腹を切り、内臓を川で洗い、処理をして持ち帰る。
どう感じていいか分からないような映像が、繰り返された。そのどれもが調理されていくと、いつもテーブルの上でみる料理でしか無かった。
僕らの生活が、命が失われる瞬間と隣り合わせていないだけで、確かに僕らは命を奪っている。
『命とは、命を食べるもののことだ』
映画の中に出てきた猟師が口にした言葉が、映画のために飾られた言葉ではないことは、明らかだった。殺しちゃいけないという倫理は簡単に裏切られる。その矛盾こそリアルだと感じる。
今日も食べているこの肉は、辿っていくと生きていたんだという当たり前の事実から目を背けてはいけない。ビーガンのように食べない選択をする。それも一つの向き合い方だと思う。でも自分は、インスタントに手に入る食べ物にも、きちんと命を感じて生きたい。
今日学んだことは二つ。
①食べ物を逆算した先に、確かに命があること。
②映画を見るときはビールを飲まないこと。