ちょっと思い出しただけ
人は映画を観るときにはきっと、劇的な結末を想像する。そして、フィクションには期待を込める。
観た後はどんな感情になるのだろうか、と。
その期待をいい意味で裏切るような作品だった。
今日観た映画はこれ!
『ちょっと思い出しただけ』という映画。
話題になってたから、観たいなと思ってやっと観れた。
この映画は、二人の関係の中で誕生日のたった1日だけを6年分遡り、ありのままに切り取った作品だ。
だから、感動的なエンディングもなければ、起承転結もない。
しかも、遡っていくので映画が進めば進むほど過去のエピソードになるし、時系列が切り替わるタイミングがあやふやなため、正直一瞬混乱する。
その必要以上に説明がないところが俺は好きだけど、難しい人には難しいと思う。
だから、簡単にはオススメできないかも。
この映画には何回も同じ場所が描かれる。
部屋、公園、バー、劇場、タクシー。
そのどれにも、作品が進むほどに二人の思い出が乗っかっていくので、観ていて切なくなる。
どのシーンも好きだったけど、俺が好きなのは二人で忍び込んだ水族館のところと、高円寺の高架下で二人で踊るところ。あとケーキ食べるシーン。観た人は分かると思う。
ただ幸せな二人のシーンどれもが結局は回想で、
微笑ましいのに切なかった。
それからこの作品を語る上で外せないのが、「クリープハイプ 」の存在。色んな場面でクリープハイプ の曲が使われるし、何なら尾崎世界観出てくるやん!って思った。
回想シーンの合図で使われる「ex.ダーリン」のイントロが二人の関係が過去のものでしかないことを伝えているようだった。
それから主題歌「ナイトオンザプラネット」。
元々普通にクリープハイプ が好きだから知っていて好きな曲だったけど、物語がそのまま歌詞になっていたことに驚いた。エンディング曲がないと成立しない映画のようにすら感じた。そんな感覚初めて。
とにかく素晴らしい映画でした!!
ただ、とりあえず観るかって気持ちで観るのはおすすめしません。一人で観た方がいいよ。