台北が好きで嫌い 〜台湾旅行前半編〜
僕の2020年はLCC特有の重量超過料金でお金を取ろうとする魂胆が見え見えの重量制限と葛藤して荷物を詰めながら始まった。
2019年の夏以来半年ぶり、二度目の台湾旅行だ。
僕個人としては特に台湾に思い入れはないから特段何とも思わないのだが、母親と妹が台湾が好きなこともあり気付くと年始は台湾で過ごす事になっていた。贅沢だとか恵まれてるとかそういう話は一回頭によぎった上で敢えて触れないで置いておく。
そんなこんなしているうちに僕の姿は成田空港にあった。成田空港にはカナダに留学して以来頻繁にお世話になっているのだが、その中でほぼルーティン化してしまっていることがある。それは、わざわざ荷物が少なくなった手荷物検査後の出発ロビーにある本屋で雑誌を買うことだ。
別に買わなかったところで機内エンターテインメントであったり、iPhoneに予めNetflixでダウンロードしておいた映画なりドラマを見れば良いのだが、小生、暇さえあれば本屋に入ってしまう故に今回もやむなく(?)本屋へ立ち寄った。
話が一瞬変わるのだが、月に1度程度行く決まった床屋では施術中にiPadが渡され(もう半年以上切ってもらっているのに一向に理容師さんと仲良くならない)、電子書籍が読めるのだが、そこで毎度決まって「BRUTUS」と「Wired」を読むのだが、2020年最初の号の BRUTUSの特集が「危険な読書2020」であったこともあり、タイミングを見つけて買いたいと思っていた。
そんな僕にとって、BRUTUSを空港の書店で購入するということはもはや必然であっただろう。何もなかったかのように当たり前にBRUTUSを購入し、マンゴーで有名な国に今から行くというのに「マンゴーパッションティーフラペチーノ」をスタバで購入し搭乗ゲートへ向かった。
そうこうしているうちに飛行機に搭乗。離着陸合わせて3時間弱の短めなフライトでできることはそう多くない。ということでBRUTUSを舐めるように読み、気になった本をiPhoneに入れているEvernoteにまるで朝の満員電車でその混雑を気気にもとめずに単語帳との世界に没入している高校生かのような集中力で書き留めた。そうこうしていると早くも1時間近くが経ち、安定飛行状態に移行したので母親と共に台湾ビールを飲み、寝た。
またまたそうこうしていると機内が揺れ始めたのでいよいよ着陸かと思うと恐らく空港の混雑か何かで着陸を2度か3度待たされて上昇と下降を繰り返していた。
アルコールを入れていた事もあって若干の気持ち悪さは感じていたがなんとか着陸し、案の定台湾人に間違われ台湾パスポート用のゲートに通されかけるというもはや恒例の行事を終え、MRT(東京モノレール的なそれ)で台北駅へ移動した。台北市内の全ての鉄道では飲食が禁止で、乾く喉を我慢するのに必死だった。
初日は空港からホテルへ移動し、ホテルで母親が日本語なんだか英語なんだかよく分からない言語を使って初日の夜と2日目の夕食を予約して夕食を食べに行って終わった。
なかなか台湾がどうだ台北がどうだと感じることなく初日は終わったが、やはり台北市内には大日本帝国の影が色濃く残っている。
2日目、最近どうもいろいろな場面で老化を感じる父親とテンションが高めで厄介な母親とそれを醒めた目で見ている妹とは別行動で台北市立動物園へ行った。
動物園の規模は半端じゃなく、上野動物園が約14haであるのに対し、10倍以上の165haを誇る。
デカい。デカすぎる。
凄いのは規模だけではない。入園料はわずかに60元、日本円にしてなんと180円程度。それもEasyCardと呼ばれる関東で言うSuica的な交通カードで入ることができる。(このEasyCardは公共交通機関だけでなく、市内殆どの施設やコンビニ、自販機で使えるが、唯一の欠点はクレジットカードからのチャージが出来ない点である。)
動物園に来た目的は2つ。ゴリラとパンダを見るため。どちらも上野動物園で見ればいいでしょうと。いやいや、台北で見ることに意味がある。と、それっぽいことを言ってみるが、当日まで予定を決めなかった結果、母親と妹の行き先の途中にたまたま動物園があったから行ったまでである。
園内には多くの日本人観光客がいた。触るなとわざわざ目の前に日本語で書かれているのになぜか動物に触れるお年寄りやフラッシュ禁止と書いてあるすぐ横でフラッシュ撮影をする子連れのお父さん、気持ちよさそうに寝ているオランウータンの展示窓をこれでもかと叩く子どもとそれを何故か笑って見ている親…
あれ、動物園って何が展示されているんだっけ?と考えながら、もし誰かに話しかけられたら日本人とは答えないつもりで園内を回っているとお目当ての1つ、パンダ館へ着いた。
残念ながら台湾でもパンダの繁殖には成功していないようで、親中派政権であった2008年頃に中国から譲り受けたらしく、イケてる私立大にあるクリエイティブなんちゃらみたいな名前のついた建物のようなかっこいい箱にそのパンダはいた。
が、残念ながらパンダも年末年始は休業中なのか隠れるように眠っていた。
恐らく園内で最も日本人の人口密度が高かったであろうパンダ感を足早に出て散策していると最後の最後にゴリラさんがお出ましになった。
あれ?
タイミングが悪かったのかゴリラも影と同化して殆ど見えない穴に入ってこちらを凝視していただけだった。もう少し元気なとこ見せてくれや…と上京した孫の元気な顔を見ることが楽しみで仕方ない実家のおばあちゃんが言いそうなことを言ってみる。
結局、目当てにしていたパンダもゴリラも半ば休業状態で唯一しっかり楽しめたところと言うと年始から下半身も元気なライオンのオスとメスだけだった。
そうして午前中を過ごし、昼過ぎからは台北観光あるあるスポット、「台北101」へ行った。
高層の展望台あるあるの「高いのは場所だけじゃなくて入場料も」を難なくクリアし、当たり前のようにお布施すると5・6年前まで世界最速だったエレベーターで99階の展望台へ。エレベーターを出ると、すぐに大きく「LOVE」と書かれた文字が。東京タワー然り、さっぽろテレビ塔然り、高いところに来ると人は愛を感じたがるのか愛を叫びたくなるのか、そう書かれていた。実際、お土産コーナーには「I love you」と書かれた台北101のマスコットキャラクターが色違いの2つのキーホルダーで売られており、それを見た時には彼女を思い出さずにはいられなかった。(触ってみると安っぽいプラスチックで作られていたので渡して壊れたんじゃ縁起が悪いなと思い買わなかったが。)まあなんでこんあところに1人で来てしまったのかと後悔もしたが、気になる景色を見る。
うん。
正直、特別おお!と言うほどの興奮はなかった。が、台北の近代的な建物と汚めの集合住宅が隣接する感じを地上からでなく俯瞰で見れたことが嬉しかった。そして最近ハマっている街づくりゲームへのアイデアをもらった。
そんな景色を凌いで僕の記憶に深く留まっているのはマンゴーなんちゃらだ。
マンゴーアイスに、カットマンゴー、マンゴーシャーベットで構成される「それ」はマンゴー好きのためのだけのマンゴーの暴力だ。
美味しい…
が、しかし。カップルやら団体でぎっしりの展望台でただ1人で観光するだけでなく、可愛らしいマンゴーなんちゃらを食べた自分を褒めたい。
ネタにしてインスタのストーリーに載せようと必死に撮った一枚。
そうして観光を終え、地上を見ると選挙シーズンということもあり(?)台湾共産党の党員らしきやる気なさそうなおっさんがいたり、同じく何らかの党の党員が座禅していたりとカオスだったが、それには程々に関心を向けつつ最近日本でも名前を聞く誠品信義店へと向かった。
店内の2フロアを占める誠品書店はまさに台湾版蔦屋書店。本だけでなく、おしゃれな雑貨店も入っている。中国語が分からないなりに頑張って台湾の現代建築に関する本を2冊買った。
こうして僕の台湾旅行前半戦が終了した。本当はその後家族と前日に予約した店で夕食を食べるのだが、特段書くような話はなかったのと、酔ってべらべら話す僕に彼女のあれやこれやを聞かれたことくらいしか特段なかったので割愛する。
1日目・2日目となかなか僕らしい旅をしてみたが。やはり台北は東京にはない良さがある。僕は大陸系の美女が異常に好きだ。もちろん、逃げ恥で有名なガッキーだって、最近パンテーンのCMがめちゃめちゃ可愛い有村架純も、紅白も出てたTWICEのナヨンだって、最近めちゃめちゃダサい動画を投稿してる今春開校の大学(ダサい動画はこっち)と同じ名前の歌手IUだって可愛いが、ファン・ビンビンとか、最近世界一美しい顔に選ばれたTWICEのツウィに比べればあまり大したことはない。日本でも韓流メイクは流行ってるが、どちらかというとよりクールビューティーな印象が強い中華系メイクは圧巻だ。ちなみに、誠品信義店のカスタマーサービスセンターには背の高い美人しかいなかった。
それはそうと、タイトルに書いたような「嫌い」な部分にはあまり触れていないが、良くも悪くも日本文化の影響が強い印象がある。盲目的な信者では決してないが、もしかしたら日本人としては喜んだほうがいいのかもしれないが、あまりしっくりこない。台湾なり台北は日本とか東京と比べてもクールな土地だと思うのになぁ。ベストセラーが樹木希林さんの本だったり、「東大生がなんちゃら」と書かれた帯のついてる本が平積みでいっぱい売られてたりとか。まだまだ日本に追いつけ追い越せなのか。はたまた全然違うのか。そこまで文化に詳しいわけではないのでよく分からないがそんな印象を持った。
後半ではよりアカデミックな側面に触れていきたい。