うまいへた・良い悪い、写真。
こんにちは、三谷です。フリーランスフォトグラファーです。
写真がうまくなりたい。良い写真が撮りたい。
カメラを持って写真を撮る人の多くはきっとそう思っているはず。
もちろん私もその一人です。
ただこの、「写真がうまい」とか「良い写真」とか、それはいったいどういうことなのか…とよく考えます。
今回は、既にたくさんの場で議論されているこの「うまいへた・良い悪い写真論争」について、果敢にもそして無謀にも、私なりの考えを少し、書いてみようと思います。
うまい写真ってなんだ
「写真、うまいですね」
仕事で写真を撮っていれば、一度は言われるであろうこの言葉。
(私だって言われたことありますよっ…汗)
まぁプロとしては当然なのだと思います。
でも"うまい"…とはあまりにも抽象的ですよね。
うまい写真ってどんな写真なんでしょう。
私なりの考えは以下です。
・構図が整っている(三分割、日の丸、余白の扱い…など)
・露出があっている(適正もしくはイメージに合っている)
・ピントが合っている
・カメラ設定が適切
これらの要素を満たしている写真=うまい写真
要するにうまい…というのは主に技術面を評価するときの表現で、撮影技術が優れていることがうまい写真の前提にあるのだと考えます。
ヘタ…というとその反対ですね。
良い写真ってなんだ
次に良い写真について。
この"良い"写真というのがとても厄介だなぁと思います。
大前提として、写真の良い悪いというのは、撮影者ではなく、"鑑賞者が決める"ものだと思います。
そのため"良い"というのは鑑賞者の価値観に大きく左右される部分ですね。鑑賞者が良いと思えばどんな写真でも良い写真であって、そうでなければどんな写真でも良いとは評価されない(思われない)…。
「良い写真」はあくまでも鑑賞者の価値観に左右される…(だから写真の良い悪いなんてのはそもそも無いんですよ)と言うのが私なりの回答です。
なんかすみません。
4象限マトリクスで見てみる
うまいへた・良い悪いの簡易的な分布図を作ってみました。
これは絶対頭の悪いやつが作った4象限マトリクスですね。笑
(ちょっとやってみたかっただけなんです…。)
皆さんの写真はどのあたりに分布するのでしょうか。
おおまかに①~④の写真の特徴を説明してみたいと思います。
①うまくて良い写真
例:広告写真(大手企業とかハイブランドとかは特に)
これがまさにプロの仕事ですね。
プロフェッショナルフォトグラファーは皆、①の写真を撮るもしくは目指している、ということです。
撮影技術も伴いつつ、多くの人に心に届く(共感される)写真が①に分布されると思います。
②良いけど下手な写真(下手だけど良い写真)
例:(写真素人の)お父さんが撮る家族の写真、写るんですで撮る高校生活
写真が下手なのに、写真が良い…。
これはなかなか写真の深いところだと思います。これが"エモい"写真とい
うことでしょうか。
例えばお父さんが撮る家族写真。構図も整ってないし、ピントもボヤっとしてる…でもなんか良くない?みたいなことないですか?
撮り手の愛情が伝わったり、鑑賞者が被写体であると、その写真を見た瞬間にそのときの光景・会話までもが思い出せたりする。見ているだけでホッとするような写真。これは②に分布されると思います。
なので下手だからだめだなぁ~とかそういうことでは全くなくて。
ちょっと語弊があるかもしれませんが、多くの"写真家"は②であったり、②を狙っている…ということがあると思います。
これは、撮影技術がある程度身についてしまうと、「下手に戻れないことで苦しむ」みたいなことがあって…。
おそらく多くのフォトグラファーが経験する部分ではないでしょうか。
なので①と②を行き来できる人はめちゃくちゃすごいと思います。
写真家の上田義彦さん(急に超大御所)とかはそれができる印象ですね。(上田義彦さんは究極にうまいのですが、アンバランスで気の抜けた写真みたいなものも撮れるという意味で、最大級のリスペクトです。私もそうなりたい。)
③下手だし悪い
これはすみません、例が出しにくいです。苦笑
というか今時あんまりないかもですね。写真のことを少しでも学べば脱却できるような気がするので。
何が言いたいかというと、すごく雑に撮られた写真…ということですね。
この場合、写真にも被写体にもあまり興味が無い場合が多いので、「写っていればいい」くらいの写真かもしれません。
まぁそんな写真を評価されても…と撮影者は思うかもしれませんが…。
なので、「写真にも被写体にも興味がないときに撮る写真」というイメージです。
④うまいけど悪い
例:ボケに頼ったポートレート
例がなんか怒られそうですが。笑
これは意外とプロでも陥りがちなところかなと思います。
私自身もそうなっていないか…といつも気にしています。
例えば、写真でボケを作る=誰でもできる
ことなので、そういった"誰でもできる"部分で満足していそうな写真…をここでは悪いと言わせて頂きます。
写真を長くやっていると、だいたいこう撮ればこうでしょ…というのが分かってくるので、何も考えずともある程度"うまい"写真は撮れるようになります。
とりあえず三分割構図で被写体を配置して、前ボケや背景ボケを使ってそれっぽい雰囲気を出す…みたいな。これはありがちなんです。妥協にも近い。
もちろんそれが求められる仕事もあるので、その場合は問題ありませんが、満足してしまうのは危険です。というか一回はそのフェーズに入る人が多いと思うのですが、写真を成長させるためには絶対次のフェーズに行かねばなりません。
てなことで、「まぁボカしとけばいいっしょ」写真。
略して、「まーぼい写真」。…忘れてください。
④は一回は絶対入るフェーズだけど、そのうち別のフェーズにたどり着いたほうがいいぞ。という感じです。
改めてまとめてみる
ちょっと読みにくくなっちゃいましたね。
最後に改めてまとめてみます。
写真がうまいへた
・写真の撮影技術を評価する表現
・今時少しでも写真を学べば、ある程度の"うまい"まではすぐにいける
・ただ一度"うまい"に到達してしまうと、"へた"に戻ることが難しい
・うまいへたを行き来できる人はすごい
写真が良い悪い
・写真の良し悪しは鑑賞者が決めること
・そのため基本的には写真に良いも悪いもない
・たとえ撮影技術が伴っていなくても、鑑賞者が"良い"と感じる写真が"良い"写真
・とは言え、プロフェッショナルはより多くの人が"良い"と感じる写真を目指している(敢えての逆張り広告とかは除く)
てなわけで長くなりすみましたが、いかがでしょうか。
うまく言葉にできていない部分もありますが、自分なりの意見を書いてみました。
異論はもちろん認めます。笑
もし何かご意見やご感想などあれば頂けると嬉しいです!
それではまた次のnoteでお会いしましょう~。