牛角の食べ放題、女性半額で物議。に対する一次ソースを読んだ感想。
牛角の一件は、Xでの批判的なポストや、それに対するさらなる批判が起きている。
話として切り取ると、「平等の社会の中で、なぜ女性を優遇するのか」といった話のようだ。ただ、良し悪しはさておきさまざまな主張が出ているので、一括りにするのは難しい。
牛角がキャンペーンを行ったと言うことは、何らかの市場分析に基づいた打ち手なのだろう。記事にも、「食べ放題での注文量が、女性は男性に比べて肉4皿分少ないといった背景からスタート」との言及がある。
キャンペーンに至った牛角を取り巻く環境の仮説および打ち手として考えられるものとしては、以下がある。
焼肉屋は家族、カップル、男性の集団が多く訪れる傾向にある。しかし、女性一人または女性グループでの来店が少ない。これをテコ入れしたい。
統計的には女性が食べる量が少なく、その場合にどの程度の値段設定が適正かを把握したい。少なくとも半額にすることで来店が増えるかを検証したい。
ただし、牛角を運営しているコロワイドが、どういった意図でキャンペーンを開始したのかは推察するしかない。とはいえ、ある程度、報道発表資料から推察できることがあるかもしれない。
https://www.gyukaku.ne.jp/pdf/release_20240830.pdf
リリースを見ると、以下のことがわかる。
TOKYO GIRLS COLLECTIONに出展している。今回、これを記念したキャンペーンという建て付けである。
カップルや家族連れの来店を訴求している。
月・火・水・木曜日限定かつ、予約が必須である。
これを見ると、女性客の取り込みを意識しつつも、女性グループや女性単独での来店を意図しているわけではなさそうである。また、金土日を外していることからも、週末の家族やカップルが沢山来店するであろう時間帯においては、通常の価格が適正であり、下げる余地はないと捉えているように見える。
以上が正しいならば、「平日の空き席をどうやって埋めようか?」がスタート地点で、「カップルや家族連れを増やすにあたって、女性の食べ放題の値段を下げてはどうか」という発想に至ったのかもしれない。
家族連れにおいては「小学生半額」はすでに料金プランとして組み込まれているため、結果として女性半額が残った、とも考えられる。
ただ、冷静に考えた時、「女性半額」だから焼肉屋で食事をしよう、となるカップルがどれだけいるかは怪しいところである。
意図が報道発表通り「家族やカップルに対する誘引策」ならば、家族割とかカップル割とした方が率直に伝わりやすい。
男女平等やLGBTQ+に対して社会が敏感になっている中で、性別に対するプライシングをむやみにやる物ではないなというのを感じた一件である。
今後、シニア割など年齢の割引あたりも議論の的になるかもしれないしそうなると、企業は性別や年齢といった大まかな括りではなくよりデータ分析に根ざしたマーケティングをやるようになる、やらざるを得なくなるかもしれない。