酩酊
僕ァもう駄目だ。手が震えっちまうもんで、真面に字も書けやしない。其れどころか自分が何を話してるのかさえ自分で分からなくなる始末。然しな、不思議な事に何だか長い間此処にいる気がする。アレ、他の人はどこ行っちまったんだろ。最後に会ったのはいつだっけな。
やや!ご無沙汰じゃないか、〇〇君!!何だいね、何も言わずに出て行っちまうんだから、僕の所為だったら言っておくんな。大声で君を呼び戻したんだけれど、君がプイってするもんだから放っておこうと思ったのサ。まま、其れより今日ときたらご機嫌じゃないか、莞爾して頰が赫くなってるぞ。差し当たり飲み過ぎたに違いない。
辺りが暗くなって来たなァ。日が出たと思ったら、直ぐに夜を叩きつけられちゃ堪んねぇな。僕ぁ一体どれくらいここに居るんだろう。んん、此処がホッとする場所だから長く居れるんだ。程よく酔って、考えんでいい事を殊更悩まず、浮浮した雲の上に居る気分だ。
僕ぁ駄目だいね。へへへ、自分を傷つけて喜んでらい。この身体とこの心がくっついたり離れたり、もう繋ぎ止めて置く必要も無い気がする。元々、そうだったんさ。誰か無理矢理くっつけようとしてさ。
ベッドサイドモニターからは遅い脈が刻まれている。