見出し画像

【AISTS #27】 22週目 社会学についての解釈と外出自粛による生活の変化 (2020/3/16-22)

新型コロナウイルスの影響で、今週から講義は全てオンラインとなりました。
スイスでは、昨日だけで感染者が1,000人以上増えて計7,000人を超え、死者80人(3月22日時点)となりました。
レストランやバーは営業停止、公共スペースで6人以上の集まりを禁止(罰金100フラン≒11,000円)といった措置が取られています。
帰国したクラスメイトもいますが、僕はローザンヌに残り、食料品の買い物とジョギング以外は自宅で過ごしています。体調は良好です。

社会学のオンライン講義

キャンパスの閉鎖に伴い、今週からオンラインでの講義となりました。
Microsoft Teams を使って、講師の映像(基本的にはスライド表示)と音声を視聴し、学生はチャット機能で質問やコメントする、という形式です。
通常は1コマ90分(休憩30分)でしたが、オンラインでは1コマ45分(休憩15分)、全体の講義時間も短縮されています。

チャット機能があるとはいえ双方向性が損なわれることに加え、自宅で一人で受けていると、どうしても緊張感と集中力が続きづらいですね。
まだ1週間ですが、これが4月末まで少なくともあと6週間続くと考えると、モチベーションを維持するのが難しくなっていきそうです。

今週はグローバリゼーションを軸に、以下の6つのトピックが取り上げられました。

- Media Sport and the Olympics
- Sport, Diplomacy, Development and Migration
- Development of and through Sport
- Foreign Policy and Cultural Diplomacy
- Peace Building and Conflict Resolution
- Soft Power, Global Sport and New Future

なんとなく想像がつくと思いますが、スポーツを通してグローバル社会にどのような影響を与えているか/与えることができるか、という内容について、事例を交えた説明がありました。

移民の問題は日本では実感しづらいかもしれませんが、ラグビー日本代表の外国籍/帰化選手がいい例ですね。彼らは日本で好意的に受け入れらていたと思いますが、例えば、他国で帰化している中国出身の卓球選手はどうでしょうか。
国を代表して競うという枠組み自体が、近い将来崩れていくかもしれませんね。

スポーツを通した経済発展、外交、平和実現といったところはイメージがつきやすいかと思います。
サッカー好きの方には、Amazonプライムのこのシリーズがまさにこのあたりのテーマです。
なでしこの2011年ワールドカップ優勝も一つのエピソードになっています。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B07VMTPR27

ソフトパワーについては、Portland というコンサルティング会社が発表するランキングがあり、面白いので興味がある方はどうぞ。
2019年の1位はフランス。日本は前年の5位から下がって8位。高評価は文化(スポーツ含む)、低評価は政治と教育でした。深刻ですね。


社会学とは ― 自分なりの解釈

社会学の講義を3週間にわたって受けてみて、一番の正直な印象は「掴みどころがなく、分かったような分からないような」という感じでした。
ある現象についての講師の説明を聞くと「たしかにそうですね」とは思うのですが、再現性が低いというか、違う説明も成り立つのではないか、と感じることが多くありました。
取り扱う現象に関わる変数が多くかつ定性的なので、そうなりがちなのでしょうが、学問としてしっくりこない部分が残りました。

そんなもやもやを抱えながら、論文やオンライン記事も含めていろいろ読んでみましたが、この本は面白かったです。

12人の社会学者と著者の対談形式で、彼らにとっても「社会学とは?」という問いに答えることは難しく、それぞれの視点で定義や意義が語られています。
中でも、上野千鶴子先生の以下の表現は、上に書いたもやもやをいくらか解消してくれるものでした。

そもそも社会学というものは、自己言及的な学問。つまり、自分の言説そのものが現実の一部を構成していくという言説活動
(「古市くん、社会学を学び直しなさい!!」より抜粋)

社会学者それぞれに発信したいメッセージがあり、それに基づいて現象を説明して、それに同意する人が増えることで説得力が高まることを目指しているわけで、「正しい説明」などというものはないと理解すると、整理がつきます。

講義の中身から離れた内容が多くなってしまいましたが、スポーツというフィルターを通して馴染みの薄い学問に触れることも一つの意義だと感じました。


外出自粛による生活の変化

オンライン化に伴い講義時間が短縮され、通学時間がゼロになり、飲みに行ったり旅行に行ったりする時間も無くなったので、ひとりで過ごす時間が増えました。
これまで以上に、自分でやるべきことを見極めて、自分を律して、行動していかなければなりません。

まず、AISTSのプログラムとしては、チームプロジェクトと個人の研究は変わらずに進めていく必要があります。
チームメイトやクライアントとの打ち合わせはビデオ会議で問題ないのですが、新しい人には会いづらくなるのがネックです。
いくつかインタビューをしたいので、6月くらいには動けるようになるといいのですが。それまではしっかりと準備を進めるのみですね。

次は、卒業要件となるインターンとその後の就職に向けた準備。
7月にポーランドで開催予定のフットサルの World University Championship(旧ユニバーシアード)でのボランティアに申し込んでいたのですが、現時点では開催可否の判断ができないため保留されてしまいました。
スポーツイベントは先行きが不透明なので、インターンは通常業務でのポジションを意識して探していきます。
コロナが収束したあとの雇用市場がどうなるか分かりませんが、本就職についても同様ですね。
まだ応募には早いですが、時間がある時にしっかりと下調べと準備を進めます。

加えて、個人的には、どこかで時間を取らなければと思っていた「AIとビジネス」について勉強する時間を作ろうと思います。
AISTSの講義でも少し触れられましたが、時間が短く消化不良だったので、自分なりに書籍とMOOCでやってみます。
まずは、AIと括られる技術の全体像と、ビジネスへの活用から。おすすめがあれば教えてください。
積ん読になっていたシン・ニホンを読んだのも良い刺激となりました。少し長い目で人生を考えるにはおすすめの本です。

生活面では、ジョギングと筋トレは、この期間で完全に日課にしたいですね。既に、今の生活では気分転換のために必須になってきています。
あと、毎食家で食べていると飽きてきますね。大学に通っている時は昼は学食で、夜は時々飲みに行っていたので、ちょうどいい頻度だったのですが、レパートリーを増やす必要が出てきました。


来週の予定

引き続きオンラインで、前半は法律、後半はリーダーシップの講義です。
これで法律のモジュールは終わり、4月6日に筆記試験の予定ですが、この状況でどのような形式になるかはまだ不明です。

スイスを含むヨーロッパでは感染が拡大している状況ではありますが、少しでも早い収束を祈りながら、今できることを前向きにやっていこうと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます! 皆さんのスキやコメント、SNSでのシェアが、何よりのモチベーションです。 サポートいただけましたら、スイスでの活動費に充てさせていただきます。スポーツ観戦やイベント参加など、体験の機会にはお金を惜しまず、情報発信していきます。