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【AISTS #29】 24週目 外出自粛3週目/持続可能なスポーツイベント (2020/3/30-4/5)

外出自粛となり3週間が経ちました。
引き続きオンラインで、前半はプレゼンテーション、後半はスポーツイベントの持続可能性についての講義でした。

スイスでの新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、4月5日午後の時点で感染者数は2万人、死亡者数は600人を超えました。総人口が857万人なので、かなりのインパクトです。
外出禁止令は出ていないので、食料品の買い物やジョギングなどは可能です。

プレゼンテーションの講義

(異文化環境で)効果的なプレゼンをするための技術についての講義でした。ポイントは以下の通り。

- Basic skills (concept-message, aim, audience, structuring, attention curve, storytelling & rhetorical techniques)
- Using your Voice, Body language, and Eye contact
- Skills for predicting and preempting Questions & Challenges
- The influence of culture

詳細は割愛しますが、この手の講義はオンラインだと臨場感がなくて難しいですね。

最後に、講義の内容を踏まえて3分のプレゼン動画を講師に送り、個別にフィードバックを受ける予定でしたが、"technical issues" で延期になってしまいました。
とはいえ、時間を作って準備をして話してみて、その自分の動画を見るというのは、自分だけではなかなかやらないのでいい機会でした。

スポーツイベントの持続可能性 ― Sustainable Sport & Event

最近のホットトピックの一つである 持続可能性 Sustainability について、外部講師を招いての2日間のセッションでした。この2日間は外部からも有料で受講可能でした。
外部の受講者は数人でしたが、積極的に質問やコメントをしているのを見て、毎日講義を受けている僕らは(悪い意味で)慣れてきてしまっている面があると感じました。

トピックと講師の所属は以下の通りです。

Reducing Use and Waste - Independent Consultant
The Ocean Race
Sustainable Football - FIFA
Olympic Games: Sustainability Now and in the Future - IOC
Youth and active Living as a Base of Sustainable Sport & Events - insPoweredBy
Ice Hockey in the Desert - NHL

Sustainability という言葉を聞くと、環境を連想する方が多いと思いますが、Environment, Economic, Social の3つが重要な要素です。
IOCはもう少し細かく定義していて、以下の5つの観点で戦略を立てています。

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(出典:IOC Sustainable Strategy より抜粋)

NHLの取り組み

個人的にはNHL(National Hockey League)の講義が面白かったので整理してみます。
北米で4大プロスポーツの一つとされる、アイスホッケーのリーグです(最近はサッカーのMLSが台頭していますが)。

NHLは、アイスリンクの維持にかかる電気代を中心に、最もエネルギー消費の多いプロスポーツと言われています。
それを認識した上で、積極的に Sustainability に関する取り組みを進めています。

早くから年次の Sustainability Report を発行していることに加え、食品廃棄、水源保全、リサイクルなどの活動を継続的に実施していて、各クラブを通して社会に浸透しています。
リーグのスポンサーも、CSRで Sustainability(特に Environment)に力を入れている企業を選別して契約しています。
それはファンの活動にも波及していて、環境意識が4大リーグの中で抜きん出て高いという調査結果が出ています。
「環境にいいことをしている」と「好きなリーグ/クラブの活動に参加/支援している」が、うまく結びついている結果かと思います。

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とはいえ、やはり大きなインパクトがあるのはアイスリンクの維持管理、つまりアリーナの問題です。
全30クラブのうち約20チームが、ホームアリーナを(実質的に)所有していて、クラブが主導権を持って設計できる状況とのことです。
また、1990年代に建設されたアリーナが多いので、これから新設や改修が進んでいくタイミングです。

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2021年には、シアトル(KeyArena)とニューヨーク(Belmont Park Arena)で新アリーナが開業予定です。
先端技術を積極的に導入することで事例を作り普及を促すこともリーグの役割と認識しているという話もありました。

講義のタイトルになっていた "Ice Hockey in the Desert" は、4大リーグで初めてラスベガスをホームタウンとするNHLクラブ Vegas Golden Knights のことです(2020年1月にNFLのレイダースが移転して2チーム目となりました)。
ホームアリーナは T-Mobile Arena で、高温の砂漠気候の中で厳しい環境基準をクリアする技術が導入されています。
話題性も含めて、リーグとしてのメッセージがよく伝わってきますね。

リーグとして新技術の導入や環境保全の取り組みを進めることで、ファンはもちろん、社会に大きな影響を与えていることが分かりました。
エネルギー消費が大きいスポーツということを逆手に取って、社会に強いメッセージを発信しているのは興味深かったです。
改めて、競技に関する活動にとどまらず、広告、インフラ、教育など、様々な側面から社会への接点を持つスポーツの力を認識しました。

週末のZoom会議

今週末は日本にいる友人も含めて、何件かZoomでの会議や雑談をしました。
もう新しいことをやっている感じではなくなってきましたね。
特に海外にいる身としては、こういう状況にならなかったら話していなかったであろう人もいたので、お互いに誘う「言い訳」ができるというか、いいこともありますね。気が向いたらお気軽にお声がけください。

スイスでは3月末からサマータイムになり、日本との時差は7時間です。
日本時間で土日の夕方以降は結構暇にしています。一緒に飲みましょう。

読書 ― AI関連

この前の記事に書いた通り、松尾先生の「人工知能は人間を超えるか」に始まりAI関連の本を何冊か読んでますが、まとめて読むと全体像が見えてきます。
ここからはちょっと英語の本も読んでみようと思います。

AI絡みでたまたま知って、久しぶりにSF小説を読んでみたら面白かったです。少し前に話題になっていたようですね。
短編集ですが、特に最後の2編「シンギュラリティ・ソヴィエト」「ひかりより速く、ゆるやかに」は引き込まれました。

来週の予定

月曜日に法律の試験があります。法律のモジュールはこの試験一発で成績が決まるので、結構大事な試験です。
ただ、新型コロナウイルスの影響で自宅でオンライン受験となって、講義資料やメモを参照することができるので、それはよかったです。

火曜日から木曜日は、分野横断的にドーピングについての講義を受けて、金曜日はスイスの祝日、そのままイースター休暇に突入します。

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