【AISTS #33】 28週目 外出自粛8週目/サッカービジネスの講義と国際スキー連盟のプレゼン (2020/5/4-10)
スイスでは、明日5月11日からロックダウン緩和の第2弾で、義務教育やレストランの営業が再開します。
新規の感染者数はだいぶ落ち着いていますが、第1弾の緩和が4月27日から始まり、街中の人出が増えています。
最近は暖かくなってきて気持ちのいい天気の日が多いので、街から見える美しい山にも遊びに行きたい気持ちは募りますが、もう少し我慢ですね。
ここからまた感染者が大きく増えないことを祈るばかりです。
講義は、Business of Footballのモジュールが始まりました。
これから2週間半の講義の最後に、グループで1つのクラブを選んでプレゼンします。
火曜日には国際スキー連盟(FIS)からのプレゼン、金曜日にはiWorkinSportという、スポーツ界の合同説明会のようなオンラインイベントに参加しました。
Business of Football の講義
AISTSはサッカーがメインのコースではありませんが、ヨーロッパでは最大のスポーツであり、特化したモジュールが唯一あるのがサッカーです。
トピックは以下の通りです。
- The business and economics of football
- UEFA and FIFA
- The strategic and financial health of a football club
- Valuation techniques
- Financial Fair Play of UEFA
- Club Affairs
- Business of Pro Team Sports
- Revenues streams
- Wage costs and the Player’s Labour Market
- Analyzing Financial Performance
- Valuing Future Performance
- Leagues and Competitive Balance
- Sport Analytics
最後に、4〜5人のグループで1つのクラブを選んで、戦略/財務分析の結果と投資の是非をプレゼンします。うちのグループはユベントスです。
今週の講義では、FIFAとUEFAの財務状況についての話は面白かったです。
直近の4年間で比べると、売上高はFIFAが64億ドル、UEFAが120億ドルと2倍近く。
FIFAは4年に1回のW杯イヤーで稼いで他の3年は赤字、UEFAは毎年のチャンピオンズリーグで収益が安定しています。
一方で、FIFAは利益を内部留保として貯めていますが、UEFAは運営経費以外のほとんどを加盟国/クラブに分配しており純資産が薄いです。
先日、FIFAが財政難のクラブへの支援を検討しているとの報道がありましたが、このような背景もあるのですね。UEFAは違う形で毎年支援しているわけです。
今回、オンライン講義が2ヶ月近く続く中で、講師の方針で使用するプラットフォームが変更、一部の講義は事前録画の動画視聴、といったことが重なり、全体的にモチベーションを保つのが難しくなっているように感じます。
AISTSのスタッフは頑張ってくれていますが、各講師はこのプログラムがメインではないため、難しいところなのだと思います。
国際スキー連盟のプレゼン
国際スキー連盟(FIS)から Secretary General(事務総長)が、新型コロナウイルスへの対応を中心にプレゼンしてくれました。
3月からほぼ休みなしで寝る間もなく働いているという中で、事務総長自ら話してくれるのはありがたいことです。
こういう講義はAISTSの魅力の一つですね。
1月末からの3ヶ月間の大まかな流れは以下の通りだったそうです。
シーズンのクライマックスを迎えるタイミングで、苦渋の判断と膨大な調整作業が発生していたことが窺えます。
Stage 1: Outbreak in China
・2月中旬に北京で開催予定だったW杯の中止を決定
・2022北京五輪に向けた最初のテストイベントでもあった
・現地政府との連携も含めて重要な位置づけだったがやむ無し
Stage 2: Global Spread
・イタリアでの感染拡大
・3月中旬にコルティナで開催予定だったW杯ファイナルの中止を決定
・2021年世界選手権のテストイベントでもあった
Stage 3: Shutdown Days
・大会運営チームの中で初の陽性患者が確認
・各国政府によるロックダウン、出入国制限が強化
・無観客での開催準備をしていた大会もあったが、急遽中止に
Stage 4: Leading & Action
・内外での迅速なコミュニケーション
・業務体制の整備(Business as "Un"usual)
・前向きな取り組みの開始
Stage 5: Opportunity
・アスリート支援
・ファンエンゲージメント
・中止になったワールドカップファイナルの代わりにeFinal
・コレクションやスキー用品のチャリティーオークション
・過去の名勝負のファン投票
Stage 6: Assess Impact
・20%の大会中止に伴いスポンサー収入が減少
・主要大会の放映権収入の減少(各国連盟に直接の影響)
・シナリオ策定、予算の組み直し
・今年の後半(北半球の冬)からの大会実施を見込む
大会の中止や延期に伴う対応の速さには関心しました。
スキーは平時でも天候に左右されることが多いため、大会直前の意思決定プロセスやコミュニケーションのノウハウがあったそうです。
また、eSportなどのオンラインでの企画は、今後の重要な戦略の一つとしてコロナ前から取り組んでいたもので、しっかりと先を見て運営されている印象です。
各国際競技連盟(IF)によるとは思いますが、これだけの対応ができるとIFとしての存在意義が大きいですね。
事務総長は女性で、非常に力強い口調で、僕らからの質問に対してもポイントを抑えて自信を持って答えていたのが印象的でした。
この時点でこれだけ整理して伝えられることもすごいと思います。
ちなみにFISは、日本人が要職についている数少ないIFの一つです。村里敏彰さんが副会長を務めます。
就活イベント - iWorkinSport
スポーツ界では毎年恒例の大きなイベントでローザンヌで開かれていたのですが、今年は新型コロナの影響でバーチャルになってしまいました。
出展企業/組織は以下の20社。この環境下で採用を絞っているところも多いようで、具体的なポストの募集は少なかったです。
このイベントで具体的な進捗はありませんでしたが、これをきっかけに準備したり周りの人と話したりしたことはよかったです。
今回に限らず、これからも例年のようにはいかないことが多くあるかと思いますが、「去年は」とか「あの人は」とかあまり気にせずに、いま自分にできることに集中してやっていこうと思います。
来週の予定
Business of Footballの講義が続きます。
チームプロジェクト、卒業研究、就職活動は自分でバランスを取りながら進めていきます。
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