もともと香水は消毒薬だった
香水はお好きですか?猫は香水が好き、とか聞くのですが本当なのでしょうか?
ノルウェーに住んでいた時も猫を飼っていたのですが、近所の子供たちがよく猫の世話をしたいと借りに来ていました。そして、帰ってくるとあらゆる種類の香水の匂いをさせていました。猫にとってははなはだ迷惑なことだったのでしょうか。香水だけでなくアイシャドーとかも付けてきれいになって帰ってきていました。
香水はperfume と言いますが、この語はかって衣服で用いるある種の消毒薬につけられていた名称だったそうです。したがって、funigate香をたく、いぶすということと関連があるし、 fume(蒸気ガス、香気)とも関係がある。ローマ人は煙のように空中を漂う香気を表現しようとして、ラテン語の per(~と通じて)と fumus(煙)をむすびつけて perfumeと言う言葉を生んだのです。
さて、eau de cologneの方ですが、これはもともとは「ケルンの水」の意味です。
ケルンとはご存じのようにライン川のほとりにある町です。厳かなケルン大聖堂で有名な町ですよね。
Cologne、ドイツ語で Kolon は起源50年にローマ皇帝クラウディウスの植民地と言う意味のColonia Claudiaと名付けられたという歴史があります。
それを初めて知った時、ドイツのその地方がローマ帝国の植民地だったとは、と意外に思ったのを覚えています。したがって、Cologneは colonyと同根の語です。
この記事を書こうと思ったのは、実は、先日、母の法事がありまして、岡山に里帰りをしたのですが、その時、形見分けもいただいてきました。母もよくもまあこれだけため込んだものだと思うくらい衣服やらありましたが、意外なものがあってもらい受けてきました。香水です。そんなものつける人とは思っていなかったのですが。
その香水の中に懐かしいものがありました。妹がドイツから持って帰りお土産としてあげていたのでしょうか。
ケルンのオーデコロンでトルコ石色の瓶に入っている4711と数字が入っているもの・・・ご存じですか。かなり歴史のあるもののようです。
オーデコロンという製品は1709年にここの町でイタリア人のColovanni Maria Farinna が製造して世に出しました。
ベルゴモット、レモン、オレンジなどを主成分にして作ったと言われますが、現在では90度のアルコールに香料を10%ほど混ぜて作られているそうです。
香水の発達は日本人と異なり、西洋人が風呂に入らなかったことも手伝って、自分たちの大衆に悩まされてしまい、これを何とか消そうとしたことと無関係ではなかったようです。
しかし、もうひとつ忘れてはならないことは皮革製品の悪臭を消すこと。今のような美しい皮革製品は作られていなかったというえてこと、想像は付きますよね。
良い事例としては、12世紀ごろまでの皮革製品の発信地であった南仏のグラースは16世紀以降は香水のメッカになっていたということです。
やはり、人間は何かの必要に迫られるとそれに対するものを作り出してしまうようです。