海外移住の思わぬ落とし穴
住めば都
ドイツに移住しもうすぐ3年になる。新しいことばかりだった海外生活にもだいぶ慣れ、ドイツ生活もすっかり普通のものとなった。
日本とドイツには、地理的にも文化的にも大きな違いがある。食事もマナーも、仕事文化も家族付き合いも、全てが異なるフレームワークで稼働しているといっていいのではないか。そのくらい丸ごと違っているように感じるのだ。
海外生活で気づいたのは、「住めば都」はマジだということ。常識や文化が丸ごと違った社会でも、ものの2、3年で自分の感覚がアップデートされた感覚がある。
今では日本に帰ると、街の綺麗さや人々の静かさに感心しつつも、それを乱してはいけないという無言の圧力も感じてしまう。日本に住んでいた時はそれが当たり前だったのに、今ではすっかりドイツ側の感覚に切り替わったのだろう。
そんな私でもまだまだ慣れないものがある。それはパソコンのキーボードだ。
ドイツ語キーボードとは
皆さんはドイツ語のキーボードを見たことがあるだろうか?また英語のキーボードとは違うんだこれが。
ドイツ語には英語にはない文字がある。まずウムラウトと呼ばれる上にチョンチョンがついた ä ü ö のような文字のことだ。このウムラウト文字はドイツ語では頻出なので、日本語キーボードでいう @ や + がある位置にキーがある。
次にエスツェットと呼ばれる文字だ。これは ß で小文字しかない。というかこれから始まる単語がないのだと思う。これは日本語キーボードの - の位置にある。
当然、ウムラウトとエスツェットが置かれている @ や + 、- はドイツ語キーボードでは別の位置に置かれている。というか、全ての記号の配置が日本語キーボードと違う気がする。
またドイツ語キーボードの Y と Z の配置は、日本語キーボードとは逆になっている。ドイツ語では Z は頻繁に使われ、逆に Y は外来語などにしか使われないため、より頻繁に使われる Z が押しやすい位置に置かれているのだろう。
こいつらがもっぱら仕事上での大きなストレスとなっている。
仕事柄、キーボードは四六時中使っている。ドイツ語の文章を書く際にはドイツ語キーボードを、日本語でググる際には日本語キーボードを、というようにPC上でキーボード設定を切り替えながら仕事をしている。
ちなみにWindowsでキーボードを切り替えたい時は [Windows] + [Space] のショートカットキーを使えば一瞬で切り替わるのでおすすめだ。これは多言語キーボーダーしかあまり知らないのではないだろうか。
とにかく、私の場合ドイツ語キーボードと日本語キーボードの英字入力、日本語入力という3種類のキーボードを毎日500回くらい切り替えながら仕事をしているのだ。こんなの混乱しないわけがない。
ドイツ語キーボードと格闘する毎日
まず第一の問題が記号である。@ や - 、. など日常でもよく使われる記号の位置が、ドイツ語キーボードでは全く見慣れない位置にあるのだ。そして日本語キーボードに切り替えると記号の位置はまるっきり変わりキーの印字と一致しなくなる。
なので毎日、@を打とうとしてüを入力したり、. をキーボード上で探し、やっと見つけて打つと日本語キーボードになっていて全く違った文字が入力されたりする。
第二の問題が私の名前にYが含まれることだ。名前やメールアドレスを記入する際に、いつもどのキーボードを使っているかに注意しなければならない。
もうだめだ。めんどくさすぎる。かといってキーボードレイアウトを一つに絞ることもできない。ドイツ語キーボードでは日本語入力ができないし、日本語キーボードではウムラウト文字などが打ちづらい。
解決策はない
というわけでここ3年ほどこの問題に悩まされてきたのだが、解決策は見つからないままである。どうしようもない対策として、日本語キーボードのレイアウトを印刷しデスクに貼ってあるのだが、そんなもの根本的な解決には全くなっていない。
もし良い解決案のある方はお教えいただけないだろうか。
海外に移住する前は全く予期しなかった問題。そんなことに気付けるのもまたエキサイティングなのだ!