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【マネジメント】主体的に動く部下はどこにいる?
「部下が主体性を持ってくれない」
多くの管理職が悩むポイントです。
「私はいつでも話を聞く体制になっているのに、まったく来ないじゃないか」
憤る方も少なくありません。
「あれだけ”主体性が大切”と言ったのに、まったく聞いてないな・・・」
残念がる方もたくさんいらっしゃいます。
ただ、これはなんとも身勝手な主張だとは思いませんか?。
上司が主体性を理解して主体的になれる土台を準備していないにもかかわらず、一方的に自分の希望を押し付けている、典型的パワハラです。
もしかして、お子さんにも「なんで勉強しないんだ!」なんて言っていませんか?
『人間は楽をしたい生き物』という前提を踏まえると、主体的に動くなんでことはしません。
主体的は疲れるからです。
「仕事だからちゃんとやれ!」は勝手な言い分。
インセンティブも成果報酬もない月給制の仕組みなら、決められた時間に出社することが労働契約だからです。
今の若者をなめてはいけません。
スマホという情報量が膨大なデバイスを体の延長のように使う世代は賢いんです。
なぜなら、情報は武器であり盾であり情報を取りに行けない人は淘汰されてしまう時代に、彼らはたくさんのSNSを基にして情報の海を泳ぐことが日常になっているからです。
今までは手に入らなかった会社の裏側も誰かが発信する中で、あなたよりも情報の取得は長けていると思ったほうがよいでしょう。
では、若者に主体性を持ってもらうためにはどうしたら良いか。
ひとつだけ実践しましょう。
主体性と自主性
「主体性が欲しい、主体的に動いて欲しい」と言いますが、主体的とはなんですか?
自主的・自主性という言葉もありますが、主体的とどう違うのでしょうか?
◆「自主的」とは
他人の干渉や保護を受けず、自分から進んで行動するさま。
◆「主体的」とは
自分の意志・判断によって行動するさま。
引用:『大辞林』三省堂
「自主性は自ら行動する様子であり、主体性は自ら決定する様子」と読めますね。
つまり、自主性があってからこその主体性が正解です。
若手・新人に対して「主体的に動け」というのは、やっと歩きはじめた幼児に「走れ」と言っているようなものなのです。
では、自主性・主体性を発揮してもらうにはどうした良いのか、を解説します。
【ひたすら認める】
認めるといっても、すべてを許容することではありません。
承認するのです。
これは鴨頭嘉人さんの教えです。
承認の土台ができていれば、叱ろうが褒めようがすべて心に届く。
逆に承認の土台がなければ、過剰にほめても懇切丁寧に叱咤してもまったく響かない。
普段から目をかけてくれていると感じる上司先輩から、なかなか出なかった成果が出たときに
「良かったな。お前ならやると思ってたよ」
と言われたらどうですか?
反対に普段からほとんど接点がなく、会ったとしても二言三言しか会話をしない経営者に
「おめでとう。君には日頃から期待してたんですよ」
と言われて、響きますか?
日本人は古来より主人に尽くす思想を持っています。
江戸幕府においては藩主に尽くし人生を全うすることが美徳でしたが、それでも『脱藩』することもありました。
基本的には生まれた藩で生きていくことが当たり前の時代でしたから、他の藩へ移るなんてことはあり得ないことでした。
しかし、現代はどうでしょうか?
転職は普通という風潮が浸透してきて、ひとつの会社に身を捧げることはレアになってきています。
では、働く人はどういう基準で判断するのか。
人は人との関係性で働く場所を決めているんです。
「口では給与待遇面・他にやりたい仕事ができた」と言いますが、実態は人間関係が大きいパーセンテージを占めています。
『転職理由の1位は人間関係』というデータが出ていることが裏付けです。
1位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位:労働時間・環境が不満だった(14%)
3位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位:給与が低かった(12%)
5位:仕事内容が面白くなかった(9%)
6位:社長がワンマンだった(7%)
7位:社風が合わなかった(6%)
7位:会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位:キャリアアップしたかった(6%)
10位:昇進・評価が不満だった(4%)
引用:リクナビNEXT
人と合わないから会社を変える
=働く場所を去る理由は人間である
=人間関係が良好であれば所属し続け積極的に働く
つまり、主体的な部下がいないのは管理職が尊敬されていないからです。
『認める・承認する』の具体的実践
部下を認め、承認し、主体的に活動してもらうための実践法です。
1、マウントを取らない
不思議なもので、尊敬される人間は自分を小さく見せられるものです。
多くの尊敬を集めるイチローさんがこんなこと言っているのを聞いたことありますか?
「私以上の選手なんていない、打率だって高い。高校時代は投手もやってたから今でも速い球が投げられますよ!当たり前のこと」
謙虚さのかけらもありません。
こういう方は、上司だろうが部下だろうが人として尊敬されません。
イチローさんはこういうことをおっしゃっています。
そりゃ、僕だって勉強や野球の練習は嫌いですよ。
誰だってそうじゃないですか。
つらいし、大抵はつまらないことの繰り返し。
でも、僕は子供のころから、目標を持って努力するのが好きなんです。
だってその努力が結果として出るのはうれしいじゃないですか。
自分の弱い部分やイヤな部分を前面に出せる人間だからこそ、野球ファンはもちろん国民からも尊敬を集めるスターになったんだと思います。
つまり、必要以上に誇大に見せないことがもっとも尊敬を集める行為なんです。
誇大に見せる行為は、相手より優位に立ってコントロールしたいために行われます。
「オレは○○県では名前が知れてて、✕✕って会社の社長は後輩なんだけど、あいつはオレに頭下げて挨拶するんだ。」
誰も得をしないマウントはやめましょう。
2、任せる
世の中には
「この仕事は任せた!」
と言いながら、逐一状況を確認したがる上司がいます。
なぜこんな行動を取るんでしょう?
それは上司が自分自身を守るためです。
もっと簡単に言うと、部下に任せきる勇気がないんです。
任せきるということは、成功も失敗も受け取ることを意味します。
相手に任せることで自分がやったときの品質が出るとは限りませんし、もしかしたら大失敗しているかもしれません。
ただ、そこで心配だからといってずーーーっとそばで見ていると、部下が単なる手を動かす人間にしかなりません。
「1ページ目の5行目・・違う!5行目、そうそう。そこをこのフォントに変えて文字大きく・・大きすぎ!ちょっと小さくして・・・」
めちゃくちゃ鬱陶しいですよね。
「ここまでしてないよ!」という上司も、部下から見たら同じくらい鬱陶しいんです。
部下だってやる気もプライドもある人間です。
「任せるって言ったなら任せろよ」
と思っていることでしょう。
あなたが誰かの部下だった頃、どうでしたか?
3、丸投げしない
「これ、やっといて」で指示が終わり。
そのくせ出てきたモノに文句をつける。
これでは何も生産されません。
2番で申し上げた「任せる」とのバランスが重要です。
部下に何かを頼む時、必ず「ゴールの形」を共有しましょう。
同じ目的を持てれば、第三者とも二人三脚して物作りができます。
反対に目的が違ったまま進むと、思っていることが何も実現しません。
サッカーは、同じゴールに向かうからパスを出して協力できるんです。
改めて自分が依頼しているやり方を見直してください。
4、待つ
ゴールを共有して、任せて、あとは待つことです。
当然ゴールまでは納期があるので、時間は厳守が前提です。
途中報告がほしければ、一次納期・二次納期と決めても良いでしょう。
ただ、あとはひたすら待ちましょう。
いちいち
「あの資料どうなった?」
と聞いてはいけません。
結局、その質問も状況を知って安心したいだけです。
部下からすると
「あ~、やっぱりオレがやると心配なんじゃん。もうできませんって言っちゃおう」
とマイナスに考えてしまいます。
待つことも上司のミッションです。
まとめ
主体的な部下が存在する部門は、上司・リーダーが主体性を理解して行動しています。
結果、いきいきと働くメンバーが多い活気あるチームになるんです。
認める=見留める
見て留まってください。
恐怖政治は論外、マウントも今すぐやめて、部下を承認しましょう。