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ひらめき☆マンガ教室第5期 課題2 感想(ネーム)

まんがらりんたら おもしろりん

こんにちは、荒井祐太です。ツイッターIDならびにシラスではyutaaraiです。

ひらめき☆マンガ教室第5期も、はやくも課題2のネーム提出締切となりました。

と言っても、「えーっとえーっと……徳川幕府の3代目将軍は……アガサ・クリスティーだっけ……?」とナチュラルに間違えてしまうくらい不勉強なみなさんは、ひらめき☆マンガ教室なんていわれてもご存知ないでしょう。概略は以下のリンク(公式サイト)をご覧ください。

というわけで、2回目の今回も感想を書いていこうと思います。ちなみに課題1の感想も投稿してありますので、興味がおありの方は読んでみてください。

さて、今回の課題は「自分の今一番描きたいもの」

出題者である武富健治先生による課題についての長文は以下のリンクから読めます。

前回の課題文もそうだったのですが、今回もとても親切に書かれています。武富先生がひらマンに情熱を注いでくれているのがよくわかるとともに、彼自身がすでに過去4回ゲスト講師をしていることで、ひらマンについてよく理解していることも同時に意味していると思います。

なので、受講者のみなさんはたんに第2回のゲスト講師が提示した課題文だとだけとらえるのではなく、ひらマンというスクールの先輩がひらマンについて教えてくれている文章として読んでみてはどうでしょうか。さらにいえば、さやわかさんによる課題1の課題文と併せて読み、共通して述べていることをさがしてみるのも良いかもしれません。

「課題文で意図されていることを十全に引き出すような読みができないよぉ……」とお嘆きの方には、前回の繰り返しになりますが、主任講師さやわかさんのシラスチャンネル「カルチャーお白州」のアーカイブを見ることをおすすめします。そうすれば読めるようになりますし、ひらマン攻略のヒントが満載です。

といってもカルチャーお白州のアーカイブもすでに膨大な数にのぼっており、どれを見ればいいのかよく分からないかもしれません。その場合は、ひらマンを受講しているカルチャーお白州民に、「ふーん、で、カルチャーお白州のアーカイブでどれ見ればいいの?」と聞いてみると良いでしょう。「オウフwwwいわゆるストレートな質問キタコレですねwwwおっとっとwww拙者『キタコレ』などとついネット用語がwww」と前置きしつつ、オタク特有の早口で教えてくれると思います。

さて、各作品の感想ですが、今回の課題はネーム(漫画の設計図)での提出のため、いわゆる完成原稿とは違います。島本和彦の『吼えろペン』では「漫画家と編集者はネームを完成原稿と同じように読むことができる」とされていますが、僕はそのどちらでもありません。ですので、ネームを読む能力がほんとうに低いです。なので、僕が各ネーム作品を適切に読めているのかは大変あやしいことをあらかじめご了承ください。

以下、課題の感想文。読んだ順です。ちなみに、タイトルをクリックしていただければ作品ページにとびます。実際の作品も読んでみろりん。

中西ゆかりさん「子うさぎから逃げられない」
素直に良いと思いました。

ネームに関するアピールで「さすがに歌舞伎町の話ばかり書いても広がりがないので」とおっしゃっていますが、歌舞伎町が連続して舞台になることも問題あるように感じませんでした。むしろ得意とする舞台として認識されそうに思います。とはいえ、1年の受講期間を通してレベルアップを図っていくためには、むろん歌舞伎町以外も描いたほうが良いとは思います。

罠にかける話という着想も良く、面白いです。

解決の方法が単純な物理的暴力なのは、これが続くなら(連載作品なら)飽きて見限られそうなので、別の角度から話を進められるキャラが欲しいと思いました。先生が意外と頭脳派で知略方面を担当するバディものとかでもいいのかもしれません。

冒頭は漫画制作がうまくいっていないシーンから始まりますが、この16ページだけで見るなら、漫画家の先生が最近漫画がうまくいっていないという設定は導入を作るためにしか機能していないため、1ページ使って描くほどのものには思えませんでした。読み始めたときには「漫画家の悩みを描いた私小説漫画なのかな?」と考えてしまいました。これが連載で中心人物のひとりである漫画家のドラマが重要な位置を徐々に占めていくような構成だったら、これでもいい気がしますが、単発の作品としては適切だとは思えませんでした。犯人側が薄いので、凶行シーンをここに持ってきても良いかもしれません。

あと、アクションシーンでセリフがやたらと説明的で(犯人の「しめた、少し緩んだぞ これなら振り払って一撃食らわせることができる」など)、分かりやすいんだけど違和感もありました。

次回も読みます。

森紗はるきさん「いちれいチャンネル」
前回課題もそうですが、今回もいい作品だと思いました。

コマの運びもキャラを可愛く見せるのにふさわしい作りになっていると思います。

「「そういちと」「れいの」「いちれいチャンネルでーす!!」」という動画チャンネルのタイトルコール場面が序盤と終盤の2回あり、その変化も短編として効果的だと思いました。

あと、「かわいいキャラが今一番描きたい。なのでラブコメだ」というのも、たいへんメジャー感のある欲望で、とても有望だと思います。

次回も読みます。

滑川王手さん「低級霊 羽衣びわゆきの恋」
課題1のときもそうだったのですが、すでにかなり面白いです。

モノローグのある視点人物がお兄ちゃんで始まったのにもかかわらず、すぐ弟に移行するので一瞬とまどいましたが、そんなことどうでもいいくらい既に面白いです。

もはやこれだけ面白ければ受講をする必要もないのではないか、と漫画素人の僕なんかは思ってしまうくらい面白いです。

次回も読みます。

葉野赤さん「サマーギャンブライブラリー」
タイトルが西尾維新の『クビキリサイクル』みたいだなぁ、ってまず思いました。『サマー/タイム/トラベラー』だとか『ハローサマー、グッドバイ』だとか色々とありますが、「サマー」って単語がタイトルに含まれていると、それだけで何かを期待してしまいます。

図書館という舞台や学生と司書という設定のみならず、「観念的には「こしょっとしているが、そこに世界の全てが詰まっているかのような錯覚をもたらすもの」=『小さなドラマ』」という点でも差し替え前の作品と一貫していて、やりたいことが明確でとても良いと思いました。

ご自身が気にされている、「4p冒頭のセリフ」は僕も違和感がありますが、直前を弄るだけでなんとかなりそうな気もします。直前での教科書や『ごんぎつね』に変更を加えて1コマの情報量が多くなってしまいそうなら、読みのテンポを重視した方がいいような気がします。

あと、後半は大学の夏休みで、前半は制服の冬服を着る季節(春?)ですが、前半の出会いの頃も夏にしてもいいかもしれません。

次回も読みます。

差し替え前の「閉架開花」についての感想も書いてしまったので、いちおう載せておきます。もし葉野赤さんがここをお読みで、不都合があるようなら削除しますので、おっしゃってください。

葉野赤さん「閉架開花」
とても読みやすいと感じました。キャラクターのデザイン的な造形、言葉の選び方、1コマの情報量が読みやすさを作っていると思います。ネームに関するアピールにて「●観念的には~」「●大都市が舞台ではない~」「●読み味は、絵柄を含めてライトに~」との要諦をお書きになっていますが、後者2つに関しては実現できているように思いました。意外と舞台設定って重要で、大都市(東京)なのか、郊外や地方都市なのか、それとも田舎なのか、ここを作品を手に取る基準の一つにしている読者は一定数いるように思います。なので、明確に作品の舞台のイメージを持っていることは良い点なのではないでしょうか。

物語的には、ただ単に図書館で本を読むのではなく、スマホアプリとサイコロを組み合わせたゲームとして読んでいるというのも興味を惹く導入だと思いました。

とはいえ、その後の出来はあまり良いとは感じませんでした。

アピール文中で「構成や展開をかなり苦悩しながらいじり「結局ヤマが何なのかが見えにくい話になってしまった感」と書かれているとおり、当初の構想とは違ったものになってしまったのでしょう。その初期案がどのようなものだったのかは分かりかねますが、提出作は「閉架開花」というタイトルにふさわしい物語になっているとは思えませんでした。

タイトルにふさわしくない、と感じた理由をいくつか書いてみます。
まず「閉架」という言葉が出てきますが、作中に閉架が出てきていないと思います。もしかしたら『まんがでわかるヘーゲル』を閉架から持ってきてくれたのかもしれませんが、もしそうだとしても出てきていないも同然だと思います。

後半に出てくる花がタイトルに「開花」が含まれている理由なのだと思いますが、花が出てくる夢を見たから花を持ってきた、ということになってることはいいとしても「花を持ってくることがなにを意味しているのか」がまったくわかりませんでした。

もちろんいくつかの推測が可能です。

アピール文の「真の栄誉を隠し持つ人間を描きたい」の表現として「隠し持つ:閉架」「真の栄誉:開花(花)」と割り当て、図書館司書さんを「真の栄誉を隠し持つ人間」として描こうとしたのかもしれません。

あるいは、主人公が本を読んでいくことを成長につながることとしてとらえることで、彼女が「開花」していくという表現なのかもしれません。

もしくはそんなこと何も考えていなくて、ただなんとなく花なのかもしれません。

いずれにせよ、表現としてうまくいっているようには思えませんでした。

あと、フラワーショップで花を購入すると、「つぼみ→開花」という過程が存在しないため、ここでもタイトルとの乖離を感じます。
「ヤマが何なのか見えにくい」という問題も、この乖離の問題と関連していると思います。

これは憶測ですが、「閉架開花」というタイトルがけっこういい感じなので、そこに固執してしまったのではないかという気がします。なので作品とチグハグ感が出てしまったのかも。

このタイトルと内容の乖離の問題は、1.「初期の構想をおもいっきり変更して、タイトルにバシッとハマる内容を考える」2.「完成した作品にふさわしいタイトルをつける」というふたつの解決案があると思いますが、ページ数に物語をおさめつつヤマをはっきりさせるなら、当然前者を選ぶべきでしょう。たとえばですが、花を後半ではなく最初から登場させ、花が登場している意味の開陳や所有者の変化(司書→主人公)などによって物語に変化を与える。そして花にまつわる変化がキャラクターのちょっとした変化の比喩になっていて、司書と主人公の年齢や知識の落差を利用し、言葉においても比喩が明確に説明される、なんて構成が考えられるのではないでしょうか。あまりにも素人考えで恐縮ですが。

ちなみに花というアイテムをうまく使えば、図書館司書と読書する女の子というキャラで「とても小さなことで世の中の人があまり気にもとめないことでも、ちゃんと見て称えてくれる人がいる」という話はいい感じに作れると思います。

「字で説明しすぎ」な面については、僕はまったく気になりませんでした。

いとしろたかやさん「紺野くんは閉じ込めたい」
5ページ目の猿ぐつわを取るなりいきなり興奮気味に性癖を語るコマは、見開きの左ページでなく、めくった後の右ページにあるといいように思います(見開きの左という認識がそもそも間違っていたらすみません)。あと、そのコマの直前に猿ぐつわを外す小さなコマがあった方が、即まくし立て始めた感が出るように思いました。

【気になっている点】

・文字が多い
たしかに多いような気もしますが、読者が最初から短編だと分かっていて、なんとか5ページ目まで引っ張ってこれれば、最後まで読んでもらえそうな気もします。あと、要はオタクトークなので、言葉数が少なかったら意図したキャラにならないようにも思います。
・ずっと室内での会話なので、絵が短調になっている気がします
言われてみれば、単調に見えてきました。

・5~6p文字が多くて読みづらくないか
多いのかもしれませんが、ここは多くてもいいような気がします。

・12~13p展開が急じゃないか
ここの展開が急か否かはキャラで決まると思いますが、紺野くんなら急だとは感じないと思います。というか急でいいような気がします。ただ、せっかく押し倒したのに小さな1コマだけというのはもったいな気がしました。

柿谷孟さん「目覚まし」
前回と違い、アピール文をしっかり書いていていいな、と思いました。

柿谷孟さんが目指している方向性が対象とする読者に僕は含まれていないので、あまり内容についての感想はありません。

俗人ちんさん「変態教天使のエロナ!!」
俗人ちんさんは描きたいものがはっきりしていていいと思います。前回課題と方向性としては同じで、そういう意味ではいつもの芸風ですが、古賀亮一が『ゲノム』だろうが『ニニンがシノブ伝』だろうが『宇宙警察☆ミーティアわんわん』だろうが同じような面白さをお届けできる感じに近いと思いますのでポジティブな意味で言っています。

5ページ目のエロナさんの座ってる絵いいですよね。これ裸足ですかね。裸足がいいんですが。

気になったのはアピール文の「想定読者 むっつりな方、下ネタギャグが好きな方」。これって想定読者というより自己紹介というか作品紹介のように思えました。もっと細かくて具体的でも良いのではないでしょうか。

次回も読みます。

よこうたださん「MITORIYA」
正直言ってよくわかりませんでした。7、8、9ページ目が存在しない未完成の作品だからなのかもしれませんが。

この内容で7、8、9ページ目と3ページもバトルシーンが予定されているというのも、あまりピンときませんでした。

課題1もそうでしたが、ほんとうに人に読んでもらいたいのか疑わしいと思いました。

hiryuzuさん「むねん」
夜、眠るじゃないですか。独身オタク男性だから独り寂しく。犬のぬいぐるみの抱き枕をぎゅっとしつつ。

そうしたら、すべてのものに等しく朝がやってくるじゃないですか。で、起きるじゃないですか。

起きたら労働に行くわけじゃないですか、すき家で4店舗掛け持ちワンオペ、ピラミッドの建築などの。

で、いい大人なので遅刻をするわけにはいかないにもかかわらず、急に

「いま、オナニーすべきだ!!」

と、脳が直接、神からの天啓を受信することってあるじゃないですか、だいたい3週間に1度くらいの頻度であるじゃないですか。

そして、遅刻と射精を天秤にかけつつも手淫に突入。

己の怒張した男根に性的刺激を与え、なんとか遅刻せずに済む時間に射精完了……したはいいんですが……。

鼻セレブが女神のごとく優しく受け止めてくれた白濁液の量がおそろしく少ない。

そんなとき、

「寝てる間に搾り取られてる!?」

と、サキュバスの存在を疑うことありませんか?

で、搾精するサキュバスが映るかもしれないと思ってカメラを仕掛けて眠りにつくも、羽と尻尾の生えたエッチな美少女は一切映っておらず。

巨大な鎌を携えたローブ姿の骸骨は映っていたけれど、他には異常なし。

そんな日々を送っている僕も現状生きているので、向こう3~4日の間は生きていていいと思います。

1枚の絵としては、文字がいい感じに滲んでいて(?)結構好きです。

千住ちはるさん「ねむり姫と古の地図」
作品を構成している各要素をうまく使えていない、うまく見せることができていないという印象です。

たとえば、魔法の杖的な見た目のアイテムが、実際はシステムに介入してアドミン(システム管理者?)を消失させるところは、もっと絵をがんばれば世界観を表現できるのではないでしょうか。

たとえば、最後のページではナレーションだけで、主人公たちの目的が示されますが、コールドスリープの期間が千年だったこと以外はすでに知っていることをここで再確認する意味はあるのでしょうか。なにか、読後感に寄与しているとも思えませんでした。

タイトルは素敵ですが、ねむり姫要素がただの設定に過ぎず、タイトルに盛り込まれているだけに見えました。

SF設定にもかなり突っ込めると思いました。コールドスリープ技術が開発されて少なくとも千年後の世界でBARの描写や服装はこれでいいのか。衰退していった世界でコールドスリープのシステムが維持されてるのはなぜなんでしょうか。千年間の間世の中の「諦めてしまった人たち」は何をやっていたのか。諦めて千年もやっていけるならべつにいいのではないでしょうか。そしてBARのマスターが爺さんから聞いていたけど残存していると思っていなかったような存在としてアドミンが登場しますが、そんな希少な存在なら事故や災害なんかの方がよほど脅威だし、なんなら野生動物なんかの事故の方が発生件数が多そうです。

ひとつひとつの要素がちゃんと考え抜かれていないように思いました。

アピール文を読むと、ご自身の現状での課題を把握しているようなので、がんばって欲しいです。

小林煌さん「無限残機0(ゼロ)の勇者」
過不足がなく、平均点は取れている漫画という印象です。

タイトルの「無限残機0」は言ってることがおかしい気がします。残機ゼロなら次に待っているのは死であり、それが無限に可能ということを意味しているのだと受け取りましたが、残機3だろうが残機2だろうが死は死であり、残機0という言葉だけが死を表現していない以上は、選び抜かれた言葉ではないと思います。

小説の世界ではここ5~10年の間に異世界ファンタジーはニッチ過ぎるものまでやり尽くされていて、アイディアの新規性には乏しいと思いました。しかし、異世界モノを読むこと自体が心地良いタイプの読者には読んでもらえそうな気もします。

降原さん「Look at the Sky」
今回めっちゃいいじゃないですか。

ゲーマー少女という属性自体がいまどきっぽいし、キャラデも表情も魅力的でいいと思いました。

タイトルもsky=ソラでいいんじゃないでしょうか。

完成稿も真っ先に読ませていただきます! なんなら250円くらいなら課金してもいいです!

あさかたこれ太郎「異世界転生したらキンタマを蹴られに蹴られて奪われた件」
なんだかよくわからないけど、わちゃわちゃしてると思いました!

絵もうまいしキャラデも可愛いと思います!

かわじろうさん「ドライブ 2053」
自分はこうしたデフォルメはどちらかというと苦手だと思っていたのですが、かわじろうさんのおかげで意外と楽しく読めることに気がつきました。

作風に適した形で最初に設定が提示されるのもわかりやすいし、テンポも良くて楽しかったです。

面白いというよりも楽しいと感じる漫画でした。

とみたさん「約束と尊厳」
話の構造は理解できるし、絵も内容にふさわしく、雰囲気出てると思いました。

しかし、「約束」はともかく「尊厳」は前提があまりのも不明瞭なため、よく理解できず、読後の印象としては「作品の構造がそんな感じなのね」くらいになってしまいました。なんらかの蹂躙が存在したのだろうとは思いますが、ぜんぜんわからなかったです。

外国が舞台なのは問題ないと思います。ただ現状の能力で十分に可能だと自覚していることだけで描いていてレベルアップにつながらないと思うなら、日本にしてもいいかもしれません。

もし日本にするなら現代よりも少し古い時代にして、和服とか着てもいいと思いましたが、メジャー感はいずれにせよ出ないかも。

たにかわつかささん「冒険家 ライン・アイリード」
読んだ印象としては「ページ数が足りてないんだろうな……」というものでした。

ご自身で主人公のキャラを立てることができなかったとおっしゃっていますが、仕方がないようにも思えました。とはいえ、プロはノウハウを持っていてパパっとアドバイスしてくれて劇的に改善することができるかもしれないので、次に講義を受ける際には個人的に質問してもいいかもしれません。

話の筋は通っていると思うのですが、ページ数がほんとうにきつきつで、ワカナの心の変化が急に見えます。また、主人公が自分の正義を妄信しているヤバい活動家のように見えます。2人とも、ジャンルや物語の構成の要請にしたがって行動しているように見えてしまうからです。

ただ、これはページ制限上は仕方ない気もしますが……。とりあえず、プロの方に訊ねてみた方がいい点だと思います。

次回も読みます。

たにかわさんもネームを差し替えていますが、差し替え前の感想も書いてしまっているので、いちおう載せておきます。もしここをお読みで、不都合があればおっしゃってください。削除します。

たにかわつかささん「冒険家 ライン・アイリード」(差し替え前)
4度ほど読みましたが、作りが雑だと思いました。たぶんご自身でもそうお感じなのではないでしょうか。

たとえば、13ページ目で連行されるボスが主人公の名前を呼びますが、いつ名前を知ったのでしょうか。警察に名乗ったのを聞いていたのでしょうか。いずれにせよ、名前を呼ばなくても成立するシーンだし、「なら、次ぎ会う時までに~」のセリフの前後で名乗ることもできるでしょう。

細かい、どうでもいい点ではありますが、こうした細部に雑さがあらわれていると思いました。

KenTaさん「マゾの卓球部員」
まず、ネームが薄くて読みにくかったです。

マゾというよりは「ひたむき」という印象を抱きました。

絵のクオリティはともかくとして、内容は共感を呼びうると思いました。

泉ころろんさん「妖術師ヒカル」
アイコンが未設定のため、前回の提出作を読んだにもかかわらず、「誰だっけこいつ……」ってなっちゃいました。
前回と違って動きのある話。

アピール文をかなりたっぷりお書きになっていますが、それだけ作品制作過程に思考を重ねたということを意味していると思います。その思考過程もまっとうで、テンプレを使っても個性が出るだろうという認識はその通りだろうと思いました。

しかし、テンプレを使うことの弊害も残念ながら作品にあらわれていると思いました。

伝令ハトと会敵し、ヒカルはテレポート。ひとり残され奮闘するロックのもとにヒカルがリリース・キーを持って戻ってきますが、これなんで戻ってきたんですかね。「主人公と相棒が仲違いをして和解する」という構成上の理由で戻ってきたように見えます。ヒカルの内部で変化が起こる要因が描写されていないためです。

世界設定でも、統一感という観点でツメの甘さを感じました。敵の総称がバグだったり通信制限とかネットなんて言葉が出てきたりグーグルマップ的描写があり、他方には妖術や妖が出てくるのは対立する2系統(味方と敵)が登場しているからいいとして、「ビーム」とか「フラッシュ」ってのはなんなんでしょうか。「バグ」という言葉にうまく対応する言葉を日本(中国)系の魔術や呪術から持ってきたり、漢字を変えたりルビで合わせこんだりできなかったものでしょうか。

ついでに言葉に関して指摘しておくなら、1ページ目の左下のコマに「妖と交流し駆使できる者」というナレーションがありますが、こうした式神や眷属を自由に操ることを熟語で示すときは「使役」という言葉を使うのが一般的で、多くの漫画やアニメや小説やゲームでそうなっていると思います。

■気になる点
・ちゃんと、物語になっているかどうか。
なっていると思いますが、前述のとおり、不足があると思います。

・課題文の理解として、適切であるかどうか。
【自分が頑張らずに描けるもの】(=経験の総体としての「ど真ん中」)を【「導入、ヤマ(クライマックス)、オチ」があるような、「自分の思うテンプレ」】で作る。これが、課題文にもある、「自分の名刺代わりとなる作品」になる。

という理解をなさっているならば、そう間違ってもいないように思えます。

とはいえ、別の言葉に置きかえて頭の中に置いておく方が良いと思います。

【自分が頑張らずに描けるもの】(=経験の総体としての「ど真ん中」)を「1年間受講してパワーアップした後の自分が世の中のに提示し、たくさんの人に読んで楽しんで欲しい種類の漫画」と言い換えてみましょう。

【「導入、ヤマ(クライマックス)、オチ」があるような、「自分の思うテンプレ」】を「商業媒体に載っているプロががんばって描いたちゃんとしたレベルの漫画」とでも言い換えておきましょう。

「自分の名刺代わりとなる作品」を「媒体の編集者が自分を登用するかどうか判定できる作品」とでもしておきましょう。

上の3つをつなぎ合わせ、

1年間受講してパワーアップした後の自分が世の中のに提示し、たくさんの人に読んで楽しんで欲しい種類の漫画を、商業媒体に載っているプロががんばって描いたちゃんとしたレベルで描くことで、媒体の編集者が自分を登用するかどうか判定できる作品として提出可能にする。その第一歩。

という感じで課題文を理解するといいような気がします。

武富先生の課題文に「路線変更するチャンスはいくらでも来ます。」という1文がありますが、「1年間受講してパワーアップした後の自分が世の中のに提示し、たくさんの人に読んで楽しんで欲しい種類の漫画」は変更可能だと言っています。それでも「いったん」決めてみようと武富先生はおっしゃっている。つまりこれは、いったん決めた方が具体的な努力がしやすいということなのだと思います。

将来の目標があった方が大学選びもしやすいし、学部や学科が決まっていた方が受験勉強もやりがすいじゃないですか。

・「アピール文」を大量に書いたが、問題ないかどうか。
問題ないと思います。でも、今後16ページ以下の作品に適正な情報量に絞り込んでいくなら、むしろアピール文も短くなるべきかも?

・3ページ目と、5ページ目の、「Now Loading…」と、「go to the next point.」は、移動を省略した表現として入れたが、問題ないかどうか。
問題ないと思いますが、2種類登場するのはなぜなのでしょうか。特に世界設定がネット的ゲーム的なため、不要な解釈の余地を生んでしまう気がします。

・情報を詰め込む事を意識したため、駆け足すぎではないかどうか。
情報を詰め込んだ結果、本来描かなければならないところが描かれておらず、駆け足というよりも抜けがあるように見えます。あとは上限16ページなので、情報を詰め込まなければ自分が描きたいものをほんとうに描けないのかを検討してみてもいいと思います。

・かなり人による、微妙な部分である気はするが、11ページ目、5コマ目の最初の吹き出しで、「そうか、ヒカルがクルッポしたのは、…」となっているが、冒頭の「ヒカル」という名称も、「クルッポ」にした方が良いかどうか。
ここを気にするのはよくわかります。どちらが正しいかはわかりませんが、僕なら最終的に「クルッポ」にする気がします。

・4ページ目の、5コマ目で、ロックの表情を無理やり突っ込むために、吹き出しの中に、丸いコマを追加した感じの表現を入れたが、アリかどうか。
商業作品でいくらでも見かける表現だと思います。

・シナリオを大きく修正してしまったが、漫画を作るというのは、こんな感じなのだろうか。
漫画は描いたことありませんが、あらゆる創作はこんな感じだと思います。キャラクターが主張して、初期のプロットの変更を迫ってきたりとか。

御園ほけさん「キレイな爪」
ちょっと怖かったです。ホラーが描きたかったわけではないのでしょうが、ホラー的読みました。

プロフィールにもある「胸がヒリヒリ、ぐらぐらするような」といく言葉がアピール文にも出てきますが、自分独自の感覚をそのまま言葉に置き換えただけでは他人に伝わらないので、もう少し読む人に理解しやすい言葉をさがしてみると、自分の感覚と世の中の接点を見つけることにもつながるのではないかと思います。

qjinさん「にほんのあじ」
正直言って、引っかかりがなく読めてしまいました。

ただ、この作品は完成稿でこそ真価がわかると思うので、この段階で素人の僕が面白さを感じていなくても、それはそれで別にいい気がします。

はねむらさん「ハム部」
けっこういい作品だと思いました。10ページでそんなに長くないから読みやすいし。

これも薄くて本来なら読みにくいはずなのですが、ネタも絵も整理されていて、苦になりませんでした。

1コマ目の学校名も主張し過ぎず、「面白いこと考えてるでしょ」感がなくてよかったです。

商業にふさわしい掲載媒体があるなら、この方向で進んで欲しいし、ないなら修正して、描きたいものとのすり合わせを行ってほしいです。

アピール文の「※できれば実在しない~というのは、架空の部活モノの方が実際の経験や知識が無くても描ける点が都合が良いと考えたからです。」というのは、実際は逆だと思いますが、ハムスターの飼育に特化した部活がなかろうとハムスターの飼育自体はありふれたことなので、描きやすかったのではないかと。

「ある程度続き物として描くことが可能な題材」として挙げた連載案も期待を持たせる内容です。

次回も読みます。

鷹鯛ひさしさん「姉の帰省」
私小説的なというか、文学的な漫画としてはわるくない短編だと感じました。共感も得られそうに思います。

「当初はラストで姉も泣かせるつもりだったのですが、長くなるので削りました。削ってみると、姉の性格がわかりやすくなった気がします。」という手ごたえも、すごくまっとうな作劇上の達成を意味していると思います。

スマートフォンで読むことを想定しているのは正しい意識の持ち方だと思います。実際僕もスマホで読みました。

次回も読みます。

nonakaさん「私を忘れないで」
日本映画にありそうな話だな、と思いました。性的な要素は入れて問題ないし、登場人物を描くために必然的に性描写があるようにすら感じます。

谷なすびさん「絶望にグッドラック」
なんというか、作品の内容を大真面目に受け取るなら、やりたいことに対して圧倒的に実力が足りていないと思いました。

武富先生の課題文をもう一度じっくり読み返すことをおすすめします。

吉田屋敷さん「BOSS THE KJ -「CALL ME」【Official Video】」
タイトルから中身がまったく想像できなかったのですが、なるほど……。

冒頭が『雫』『終ノ空』的な昔懐かしい感じのダークな雰囲気だったので、意外にも電波ゲー的な話になるのかと思いきや、ラッパーの話。

ラッパーとかYouTubeとか競馬とか、道具立ては現代的ですが、人々の間で有名で人情があり人気もある人物の話なので『こち亀』に近い印象です。

「お話の中で個々の要素を上手く繋げられているとは言いづらいところが反省点です。」とありますが、その結果、物語が落着した感がいまひとつ感じられませんでした。あのお姉さんは女子高生時代になんで自殺しようとしてたんですかね。

長期連載の1話と言われるとしっくりきますが、1話だし増ページして描かれるべき内容だと思いました。

次回も読みます。

晃てるおさん「期待してしまうんです」
あまりにも薄くて見にくいし、キャラの見分けも困難でした。

これはヒゲを剃ったのは期待をした結果で、その期待は儚くも散ってまたヒゲを伸ばしたってことでいいんですかね。

とりあえず、あの女性を惚れるにたる人物として描いて欲しいと思いました。『機動戦士ガンダム』の富野由悠季監督の言葉でいうところの「おマンコが舐めたくなる」ってやつです。アピール文にてヒロインの容貌を「ショートヘア?」とはてなマークを付けていますが、髪型の適切な名称がわからなかったのかもしれませんが、ヒロインのイメージがはっきり固まっていないとしたら、そこをしっかり決めた方が良いのではないかと思いました。

aokiさん「爆光自衛隊」
アニメで見たいな、というのが率直な感想です。アニメのコンテのように見えました。あるいはフィルムブック。

漫画家でもアニメ演出家でもないので間違ったことをいうかもしれませんが、漫画とアニメは表現としてやはり別物なのではないでしょうか。押井守は漫画原作者としてアニメーターのもりやまゆうじ氏と組んで『とどのつまり… 』を作り、漫画家の大野安之氏と組んで『西武新宿戦線異状なし』を作りました。「爆光自衛隊」のコマ運びは前者に近いものだと感じました。

「好きな三要素「オカルト」「ミリタリー」「SF」の3つを組み合わせた作品を構想しました。」とありますが、その3つは僕も好きですし、他のオタクも好きだと思います。そういった点では今作の設定に魅力を感じる人は多いと思います。

いくつか疑問に思ったのは、百鬼夜行(妖怪)相手にどう戦えば物語が終結するのかまったくわかりませんでした。もちろん巨大な話の冒頭に過ぎないからわからなくて当然かもしれませんが。使徒やBETAなんかとは違う種類のやっかいさが妖怪(現象の名指しに形をあたえられたもの)にはあるように思います。『BLUE SEED』的解決でいくのでしょうか。

あと、カタストロフの説明として「一日に3度の大津波世界を襲った」とありますが、これは大丈夫なんでしょうか。たとえば海洋物理学的にはオッケーなのか。大津波のあとに敵が上陸したようですが、彼らは大津波の影響は受けないのでしょうか。この辺も疑問でした。

前回課題でも思ったことですが、セリフを背景に重ねて描いてしまうと、色を変えていてもやはり見にくいです。2019年の武富先生の課題文をご一読を。

「設定が情報過多にも関わらず、面白さの核を世界観設定に置きたかったので起承転結で完結する話ではなく、大きく広がる物語の序章として16ページを描きました。」とおっしゃっていますが、その欲望に即したものを描く自由はあると思いますけど、読者はどう評価するんですかね。

次回も読みます。

個別の感想とはべつに思ったこと。
・課題を1回こなしただけなのに、進歩している人が多いと感じました。

以上です。

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