ひらめき☆マンガ教室第5期 課題1 感想(ネーム)
こんにちは、荒井祐太です。ツイッターIDならびにシラスではyutaaraiです。テキストサイト時代のHNはあらいゆ烏た、もしくはちんぽ汁です。
ひらめき☆マンガ教室(通称:ひら教)の第5期が始まりました。ご存知のない方は「それはなんだ、食えんのか。白くてモチモチで、食した人間の95%が命を落とすアレか。天使の肛門から時々出てくるアレのことなのか」とお思いでしょうが、概略は以下のリンク(公式サイト)をご覧ください。
今期は各課題の提出作品について感想っぽい短文を書いていこうと思っています。感想を書く→界隈の人だと認識され受講者からフォローされる→ネット上に存在するあらゆる出会い厨テクを駆使して受講者を抱く(男女問わず)→(男女問わず)妊娠が発覚したので逃げる、という流れを意図しています。
今回は課題1「自己紹介を『物語』にして描いてください」の提出作品への感想です。
主任講師であり出題者であるさやわかさんによる課題についての長文は以下のリンクから読めます。
ちなみにリンク先の課題文ですが、死ぬほど「親切」に書かれています。こんなに親切にしなくてもいいのでは、と思うレベルで親切です。
ですので、受講生の方々は、じっくりよく読むことをおすすめします。今までの人生で漫画以外の本は『ごんぎつね』『たけしくん、ハイ!』『存在と時間』くらいしか読んだことないから、こんな文章読んでもよくわからないよぉ……という方々は、この文章を書いた主任講師さやわかさんのシラスチャンネル「カルチャーお白州(通称:ルチ洲)」のアーカイブを見ることをおすすめします。そうすれば読めるようになりますし、ひらマン攻略のヒントが満載です。こんな感想ページを読むひまあったらカルチャーお白州を見てください。はやく閉じろ、このページを! そして見ろ、カルチャーお白州を! とりあえずこのページは閉じろ!
さて、各作品の感想ですが、今回の課題はネーム(漫画の設計図)での提出のため、いわゆる完成原稿とは違います。島本和彦の『吼えろペン』では「漫画家と編集者はネームを完成原稿と同じように読むことができる」とされていますが、僕はそのどちらでもありません。ですので、ネームを読む能力がほんとうに低いです。スーパーロボット大戦でいえば、五飛が乗るアルトロンガンダムくらいの能力しかないです。なので、僕が各ネーム作品を適切に読めているのかは大変あやしいことをあらかじめご了承ください。
以下、課題の感想文。読んだ順です。ちなみに、タイトルをクリックしていただければ作品ページにとびます。実際の作品も読んでみろりん。
nonakaさん「入り船に良い風」
絵が上手いんだろうなと思ったら、アニメーターでしたか。
7ページ目の電線を見上げるコマがなんのためにあるのかわからない、と思いました。
また10ページ目の空だけのコマも、なにかの時間経過や空気感を表現しようとしていると感じたけれども、僕のネームを読む能力でははっきりわかりませんでした。
たぶんネームだけじゃなくって、絵がしっかり入ればいい漫画になりそうな気がしました。
ただし、いい漫画にはなりそうだけど、得体の知れないパワーで殴られるような力のある作品にはならないだろうなーとも。
ネームに関するアピールを読んで、「あれ、アニメーターの人かと思ったけど、そうでもないの? よくわからない」と思ってしまいました。
aokiさん「ショータイム」
「特撮ヒーローよりも年齢が上になったら大人の始まり」とは僕の言葉ですが、「エヴァンゲリオンの加持リョウジより年上になったらおっさんの始まり」というのは、やはり僕の言葉です。
aokiさんは僕と同世代の方みたいですね。大型のTSUTAYAとか行きましたよ、赤羽の。
内容的にはプロレスラーが語るそのままなんでしょう。そういう意味では自己紹介としてはわかりやすいですが、「そっすか」くらいしか感想を抱けませんでした。
とりあえず、カフェで受講する際はプロレスラーの覆面をしての参加を期待したいところです。
あさかたこれ太郎さん「みなそこにねむれ」
まずお名前とアイコンが良いです。可愛いし、団長ことホロライブ3期生白銀ノエルの語録である「太郎」を含んでいるし。
絵がうまい! 絵柄も可愛いし、絵を構成する線も絵に合っていて、ひとつの世界を作れる水準になっていると思いました。連載が決まりかけたことも納得の力がありますね。
ネーム課題で完成原稿、あるいはそれに準じたものを提出してきているのも、どんな絵を描く方なのかもよくわかりましたし、存在を覚えさせるインパクトがあると思いました。
ただ、ネーム課題でこれを描いてしまうと、どんなネームを描く人なのかが分からず、ネーム段階での描き加減が見る人にわからないと指導もしにくいだろうとも思いました。
また、アピール文を読むまで何がどう自己紹介になっているのかはよく分からなかったです。途中まで、感染症の隠喩かと思いながら読んでいたので、あさかたこれ太郎さんの周囲に陽性で重症化した人でもいたのかと思いました。
あと気になったのはアピール文の「ですが、過去に思いを巡らせるなかで、昔では面白かったものが楽しめなくなってしまっていることが多いように感じていた事にべつの考えがふつふつとしてきたのです。」の1文。
これは日本語としてどうなのか。今期のひらマンテーマは「対話」なのだがこれでいいのか、とも思いました。提出課題のみならず文章も推敲してほしいところです。さやわかさんの課題文の6を再度読んでみてください。
大久保とんぶりさん「夕方スペクトラム」
最初はよく分からなかったのですが(ネームの絵が簡素で僕に読み取れなかった)、アピール文を読んでどんな経験を元にしているかようやくわかりました。
このおじいちゃん、縮地仮面全盛期以降で夕方症候群になる前の期間はどんな人だったのでしょうねかね。なんで急にこうなったんですかね。前触れもなくこうなるものかもしれませんが、物語にするならこの辺が知りたかったです。
あと縮地仮面という言葉が出てくるのがいきなり過ぎて。3ページ目に一瞬過去の写真らしきものも出てきますが、星の方かと思ってしまいました、説明がないので。できればうまく序盤のセリフに織り込んで欲しかったです。
俗人ちんさん「むっつり風紀委員の特別分析」
4期にも参加なさっていたため、前に俗人さんの漫画は読んだことあります。感想も書きました。
この漫画のような、女子がエロいものを見る展開は好きです。女性キャラが自分の薄い本を見てしまう系のファンアートとかたまにツイッターで見かけるじゃないですか。あれ好きなんすよ。
僕ならこの少女相手なら股間を見せることは可能ですね。
特別分析といいながらも、あまり分析感がなかったです。造語でいいので専門用語や特殊な用語が出てくるとか、あるいは分析機器が出てくると分析っぼくなるしキャラ立ちもするような気がしました。素人意見ですが。
アピール文は経験者って感じでした。でも設計の意図以外のことも書いてほしかったです。
降原さん「カノンノさんがくる」
名前の読み方がわかりませんでした。ツイッターIDから推察した通りでいいんですかね。アイコン可愛い。
メイドが好きなんだろうな、というのが最大の感想です。あとは絵を描くの好きそうだし、描くのが楽しそうな漫画だと思いました。
はねむらさん「おひっこし退去費用バトル」
これは良い作品なんじゃないでしょうか。すごく小さい範囲で物事が起こるため、自己紹介感ありました。
顔芸も2コマ(1か所)にとどまっていたので、悪い意味での引っ掛かりにもなりませんでした。
業者の人がずらーっとたくさん来たことが、絵としてはあの1コマのインパクトにとどまったので、これを使った何か1ネタあってもよかったのでは、と感じました。たぶん実際の体験としてはこんな感じだったのだろうと思いますが。
葉野赤さん「こころのもののけ」
今回の課題で個人的に1番良いかもしれない、と思いました。
ご本人が作品の向こうにいることがはっきり見えるし共感を呼ぶ内容でした。
御園ほけさん「制作理由」
7ページ目のコマ構成はこれでいいのでしょうか。バンドマンのセリフ「今度ライブ見にきてくださいよ」を2つ3つ前のコマに入れてくれないと、モノローグがスムーズに読めないと感じました。
ネームに関するアピールの1文目の「初めてちゃんとしたネームを書きました。」と4文目の「忘れかけていた作り始めた理由を思い出していく。」にかけての文体が統一されてなくて、なんか後者が自分に酔っているかのように感じ、なるほどそういう方なのかなーと思いました。
かわじろうさん「よりみち」
乗り物やマシンに乗るという行為は自分を世界の中心に置く行為ですが、その感じが短い中で出ていると思いました。マルコのデザインも奇抜すぎずいいとこついてると思いました。
柿谷孟さん「雨正月」
正直言って、まったくよくわかりませんでした。ほんとすいません。
アピール文も書いて欲しかったです。
泉ころろんさん「繊細だけど、優しい君へ。」
まず、タイトルの日本語がおかしいと思いました。と思ったらネームのセリフもネームに関するアピールも文章書き慣れてない感じでしたね。これは気になる人は気になると思います。
ネームじゃなくってちゃんと描けば可愛い絵面になると思いました。イメージ的には猫十字社の『小さなお茶会』みたいな。
レターセットのシール(?)が猫型なのも細かいけど可愛いなと思いました。
「「彼は優しい人だ」と、具体的な描写がなく、いきなり他者による説明から入って、その前提で進めるのは、すごく、表現として、ズルをしている感じがしたのですが」とありますが、むしろまったく問題がなくわかりやすい1コマ目だと、僕は感じました。
小林煌さん「おばあさんを助けたら、ウォンバットになっていました。」
この人の漫画は初めて読みますが、聴講生として参加していた4期の同人誌に収録された文章は読みました。
22時過ぎに赤信号を渡る老婆が気になるっちゃ気になります。
ウォンバットについて勉強になりました。ウォンバットの存在を今まで気にしたことなかったのですが、今後はこの漫画のことを思い出すような気がします。
楓さん「未来のサナギ」
まず思ったのが、ネームの線の濃度が薄くて読みにくいってことでした。さすがにこれは厳しい……。小説の新人賞でも「誤字脱字が多いと内容以前に読む気が失せる。本気度が疑わしい」ということがありますが、ほんっとにキツかったです。それでも2度読みました。
絵が上手いんだろうな、と思いました。
占い師の「イマのあなたはどこに在るの?」とかリアルに対面で言われたらウザくてしょうがないと思いますが、実際に占い師に占ってもらった経験からいうと、彼ら占い師は観察が鋭く人を見る目があると思います。なのでこれでいいんでしょう。
森紗はるきさん「愛川さんはアートディレクター」
カルチャーお白州民のこの方。コメント欄で何度もお見かけしたことありますが、漫画は初めて読みます。
今回の課題に対してもっともしっかり答えている作品のひとつだと思いました。コマ運び的にも見やすかったし、人物の数も少なく、目立つべき愛川さんのキャラもいいし、自己紹介としても機能していて、それでいてお仕事モノとしてどんな仕事かもざっくり知ることができるという。
ネームに関するアピールも必要な情報がしっかり整理されて書かれており、さすがカルチャーお白州民だと思いました。
次もぜひ読みたいです。
qjinさん「海外逃亡日記」
バックパッカー経験を元にした漫画ということで、面白いネタがありそうな人生の方だなーと思いました。今回の自己紹介というお題には有利な経験だと思います。
くたくたさん「見失いガチ」
これもめっちゃいいじゃないですか。ネームの時点で女子高生の等身大の可愛さが伝わってきて、これ完成したものを読みたいと思いました。
2人のキャラの対話で話が進むのも、何か悩んで考えている最中っていうのが作品を通して理解できるし。
完成版も読みたいし、次の課題提出作も楽しみにしています。
中西ゆかりさん「ヤクザから出世を約束された男」
アイコンがプロの漫画家っぽいなーと思いました。作品へのリンクをクリックしてもらえそうです。
読みながら先が気になる引き込まれる漫画でした。ただ物語やネット上の体験談を読み慣れた人なら、根性や度胸を怖い人に評価されるというのはありきたりと感じてしまうかも。僕はどちらかというと嘘でもいいから出世を約束された理由を面白くしてほしかったです。
あとこれもネームというより完成原稿に近い……。
滑川王手さん「わたしという沼」
なんか面白かった。
鷹鯛ひさしさん「汚い犬」
去年の今頃、入ったばかりの会社でおっさん上司にパワハラを受けていた僕は、この主人公になんとなく共感してしまいました。
アピール文を読むと、物語にするために工夫をしていたり、まずは完成させたことで良しとしていて、ひとつめの提出作としてはこれでいいと思いました。
いとしろたかやさん「大人になったら」
けっこういい漫画だと思います。おそらく好きな漫画やジャンルが明確にあり、参照して作られているだろう漫画だと思いました。
違うタイプのイケメンが2人出てくるのもいいと思います。
4ページ目のモノローグが気になりました。「惚れた弱みというやつでしょうか。」というモノローグは前後のコマから文字を読んでいくと、言葉選びとして不自然だと思います(意味自体は伝わってます)。
6ページ目の左下のコマ(腕組みしてるやつ)はその位置でいいのか、というのも疑問です。
短編だからまだいいけど、主人公のキャラが薄いというかテンプレになにも盛り付けなかったかのようだと思いました。
谷なすびさん「大盛り or DEAD」
まずお名前とアイコンとプロフィールがいい感じです。まるで現役の商業作家のようです。ひらマン作品が並んでいたときに「これは読まなくても良さそう…」と思われなさそうです。クリックしてもらえると思います。
漫画としては、描いてる内容はわかるのですが、「このコマの演出なに?」みたいに意図を推測しにくいところがありました。
とみたさん「幸運こわい」
これはひらマンの歴史を語る上で欠かせない有名なあのエピソードですね。
【気になっているところ】
・主人公の思考が最終ページに向かって矛盾せず一直線になっているか気になっています。削ぎ落すべき箇所、ブレている箇所があれば教えて頂きたいです。
ブレているとは感じませんでした。違和感をおぼえずに読み通せました。
・実話型エッセイなのか物語なのかハッキリ示すことが出来ませんでした。読みづらいでしょうか?
エピソードを知らない人が読めば物語だと思う気がします。僕は東浩紀さんたちが語ってる範囲では知ってますが、何も気になりませんでした。
・P9~11あたりで中だるみしているのではないかと危惧しています。改善方法がわかりません…。
特に気にはなりませんでしたけど、ベッドから見上げる絵ばかり続いてるな、とは思いました。ただここを変えてしまうと主人公の主観から絵的に外れてしまうような気もします。
・全体を通してのテンポがトレンドに沿っているか心配です。
トレンドに疎い僕には何も言えませんが、テンポが悪いとは感じませんでした。
たにかわつかささん「リベンジヒーロー」
漫画を描いた経験のある方の作品だろうとおもったらその通りでした。
表現がわかりやすかったです。
漫画家目指して頑張ってください。次の提出作品も読みます。
千住ちはるさん「寝ない子誰だ」
こちらもカルチャーお白州民であり、コメント欄でお馴染みの方。
おそらく作者の意図通りでしょうけど、前半の子供には正直言ってイラっときました。リアルな子育てはそうした瞬間的な苛立ちが日常にあふれてるんでしょうね。
黒と白での表現はしりあがり寿『弥次喜多 in DEEP』に似たような箇所があったような記憶。
よこうたださん「空にすむ」
こちらの方も4期聴講生で、小林煌さんとおなじ同人誌で文章を読んだことがあります。
発揮しうる画力で描けそうなSFという点はいいと思いますが、意味を掴みにくく、何度も読み返してしまいました。率直にいっていまだによくわかってませんが、これは僕の知的なレベルが低いせいな気もするので、これでいいのかもしれません。
KenTaさん「甘ちゃん」
僕と年齢の近い方だと思いますが、気持ちはよくわかる。僕も甘やかされて育ち、何かになれず燻り続けてます。87歳くらいまでは燻り続ける予定です。
完成していて良かったです。最初の一歩おめでとうございます。がんばって課題出してください。次もぜったいに読みます。
晃てるお「その仕事を続ける理由」
正直言って、今見ている登場人物が誰なのかわからなくなるネームでした。さすがにもう少し情報量を多くしてほしかったですが、これは僕がネームを読む素人だからかもしれません。内容を把握できないことはないのですが、読みにくさのせいか、内容への感想を抱けませんでした。
個別の感想とはべつに思ったいくつかのこと。
・読み切り短編漫画がたくさん載っている雑誌感覚で読みました。なので、他の人の作品と自然と比較してしまったり、読んだ順序が感想に影響しました。もし頭一つ抜け出たいと思ったら、そうした無意識の比較も考慮に入れた戦略が必要かもしれません。
・次回は優先的に読みたいと感じた人は明確にいました。おそらく、がんばっていいものを描けば、次の課題も読まれやすいことでしょう。
・プロフィールはちゃんと設定してほしいです。ひらマン公式サイトには各講師陣のアイコンとプロフィールが掲載されているので、それらを参考にすると良いでしょう。先生方ほど立派な経歴がない、という人は、過去の受講生で受賞とかしてる人のを参考にするのもありです。今回の課題文に「もちろん、急に物語を描くなんて無理、マンガや物語の描き方が分からない、という人もいるでしょうね。そういう人は、他のマンガを読んで、そのやり方をマネしましょう」という2文が書かれていますが、参考にすべきは漫画の描き方のみにあらず、ということです。
・アピールの文章ももっとがんばって書いて欲しいです。漫画原稿以外でのコミュニケーションも大事なんだからここもがんばってほしいし、なんなら漫画を書きながらアピール文も同時に書くと、アピール文執筆が頭の中の整理となり、描いてる最中の漫画もより良いものにできるかもしれません。今回の課題文の6を再読してみてください。
・ひらマン公式サイトの過去のページも見てほしいです。とくに冒頭に「about」としてさやわかさんによるひらマンという教室自体の説明文がありますが、これは過去のモノも読んでおくと良いでしょう。
以上です。
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