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エヴァ直撃世代のおっさんが若いオタクに聴いて欲しい90年代アニソン④
30代既婚のおっさんって、女子アナを愛でるツイートする人おおくないですか?
なんですかあれは、もしかして、女子アナがエゴサでそのツイートを発見して「あ、わたしのこと可愛いって言ってくれてる……うれしい。この人とワンナイトラブしたい……そうだ、DMしよ」みたいな展開を期待してるんですかね?
なら僕も鈴木史郎子ちゃんとバイオハザードなワンナイトラブをしたいですよ!
さて、90年代に13歳でオタクとなった僕が、今に至るも聞き続けている90年代のアニソンを紹介し、若いおまえらにも聞いてもらおうじゃねぇかというこのシリーズ。
その第4弾です。
90年代にはまだ物心ついていなかったキミも
90年代はまだ冷凍睡眠から目覚めていなかったSFなキミも
つい3ヶ月前に誕生したばかりの電子ネットワーク上を漂う人工生命なキミも
みんなまとめて、90年代アニソンライフ、いってみよう!
4、下成佐登子「Save My Love」(作詞:芹沢類/作曲:松原みき/編曲:根岸貴幸)1995年
クリスタニアというシリーズをご存知でしょうか。
いわゆる剣と魔法の異世界ファンタジーです。電撃文庫から小説のシリーズと、T-RPGリプレイも出ていました。
クリスタニアは、ラノベの古典ロードス島戦記と同一の世界「フォーセリア」を舞台としています。というかロードス島戦記に出てきた人物や武器も登場します。
が、両者はかなり毛色が違っています。
「クリスタニア」というのは、獣の体に魂を移した神様と、その神様に特殊能力と役割を与えられた直属の種族がいっぱいいる特殊世界のことで、基本的には人間の侵入を結界で防いでいます。
いってみれば「異世界の中の異世界」です。そこに冒険者が入っていくところから物語が始まります。
この本は、浅井君という運動会ではリレーの選手であり、バスケ部のエースでもあるモテ男から教わりました。出席番号の都合で席が近かったので。
浅井君はモテ系でありながらラノベやアニラジに精通している変り種で、作品世界や登場人物の細かい設定を説明してくれました。
帰宅部だった僕はその日のうちに人生初ラノベとして『はじまりの冒険者たち レジェンド・オブ・クリスタニア』をゲットしました。
この瞬間をもって、帰宅部からキモオタ部へと転部したのです。
続編である『神王伝説クリスタニア』、さらに10年後の世界を描いた『漂流伝説クリスタニア』と立て続けに読みました。
クリスタニアは「○○伝説」とお話ごとにタイトルが変わり、執筆も数人がかりで行われていました。
「英雄伝説」「蟻帝伝説」「黄金伝説」「封印伝説」「傭兵伝説」などなど。
そんなクリスタニアシリーズの数少ないアニメ、しかも劇場用作品である「はじまりの冒険者たち レジェンド・オブ・クリスタニア」のクライマックスで流れる挿入歌がこの曲です。
このアニメ、あまり原作に忠実ではないのですが、80分という尺の都合を考えると、そこそこがんばっている作品です。
で、がんばっているのはけっこうなのですが、冒頭に謎の実写パートがあります。
同人誌のオンリーイベントとかやりそうな規模のイベントスペースで、たくさんのオタクたちがT-RPGに興じている様子が実写でおさめられてるんですね。
それだけならまだいいんですが、T-RPG大会後、6人くらいの選ばれしオタクが薄暗くなった会場に、真剣な顔で居残ります。
彼らは異世界ファンタジーの各職業の装備をしていて、剣を振るったりなどのアクションをします。
しかるのちに全員が召喚されて会場から消え去る、そんな実写パートなんですが……
「日本人の顔で異世界装備はしょうじきキツい」という現実をまざまざと見せつけてくれます。
ある意味では大変批評性の高いメタ異世界召喚モノです。
人類補完計画発動直後の唐突な実写パートでおなじみ「THE END OF EVANGELION」よりも2年早い作品です。きっと監督は、庵野秀明よりも2年早く狂ってしまっていたのでしょう。
異世界転生モノが全盛の昨今、あらためて評価されるべき実写パートなのかもしれません。
歌っているのは下成佐登子さんという方なんですが、この方のお名前を知ったのは10年近く前。
初めてのやる夫スレの書き溜めなんぞをしている最中でした。
というのも、そのやる夫スレの原作が「クリスタニア」だったので、気分を盛り上げるために曲を聴きまくっていたのです。
すでに、大学のレポート課題をググってWikiって書いたら先生に「おまえこれ検索しただろ」って見抜かれる程度にはWikipedia全盛の時代をむかえて久しかったので、ただちに検索してみると。
なんと、子供のころに衛星アニメ劇場で見ていた「ロビンフッドの大冒険」のOPとEDを歌っていた方ではないですか。
だからなんだということもないのですが、オタクになった記念碑的作品と、小さいころに好きだった作品がリンクするのは、なかなか嬉しいものでした。
で、曲なんですけど。
歌詞は内容とリンクしまくっています。
この映画はまず、悪い宰相に殺された地方領主の息子が主人公で、刺客から逃れるようにクリスタニアへとやってきて、仇を討つための力を欲する、という青年の物語があります。
他方で、神に肉体を差し出して300年の眠りについている男と、長寿をいかしてその男と寄り添い続けているダークエルフの女の愛の物語が進行します。
映画の物語は後者の決着で始末をつけており、よってこの歌も、後者について歌ったものとなっています。
後者の男はアシュラム。ロードス島戦記の1巻から出てる敵キャラです。ダークエルフはピロテースといって、こちらもロードス島戦記に登場しています。
ロードス島戦記の終盤に、呪われた島を船で脱出したアシュラムと部下たちがクリスタニアに漂着したのが300年前。
水も食料も尽きたころにようやく辿り着いたというのに、神の城壁という絶壁が人々の上陸を拒みます。
そこにバルバスという、虎の肉体に魂を移した神が声をかけます。
バルバス的には自分の魂を虎から移し変える人間の肉体を欲している。クリスタニアへの道を開ける代償として、アシュラムの肉体を寄越せというのです。
体が目当て、というやつです。
が、さすがに別作品で主人公とライバル関係にあったアシュラム。交渉に応じたものの、ただちに契約を履行することなく、魂をのっとられないよう抵抗し、そのまま眠りにつきます。
本来なら人間でしかないので80年程度で老衰死していたであろうアシュラムが、神の魂により肉体の時間を止め、300年にわたり、その存在をとどめることになったのです。
ロードス島時代から片腕として寄り添ってきたピロテース。ダークエルフゆえ長寿の彼女は、眠り続けるアシュラムの傍に居続けることができました。
ある日、アシュラムが目覚めます。
その口ぶりから魂の勝者はバルバスとなったようで、ピロテースはあくまでアシュラムを奪回すべく、いちどその場を逃げ去ります。
バルバスの魂だけを倒すための特殊アイテムを持って。
で、クライマックスの挿入歌が流れるシーンなのですが。
アシュラムの強靭な魂は完全に駆逐されることなく、バルバスへの抵抗を続けています。
しかし、勝ちきることはあまりにも困難。
なので、アシュラムが腰に挿している黒い大剣を用いて、自分を討つことをピロテースに頼みます。
その大剣は「魂砕き(ソウルクラッシュ)」といって、ロードス島戦記の1巻で、アシュラムが仕える王が戦死した際に回収したものでした。
魂を砕く特殊効果のある魔剣でもって、バルバスの魂を、アシュラムの肉体ごと倒す。
泣ける構図と設定であり、別作品が伏線となっていて、なかなか壮大です。
ピロテースはもちろん、片腕として服従しながらも恋心めいたものをもっており、「愛するものを手にかける」系の切ない系シーンとなっています。
その一連の300年越しラブストーリーが濃縮というか要約というかダイジェストになった歌詞で、まぁ(もしアニメの出来がもっと良かったなら)泣けること泣けること。
クリスタニアを物語を知っていればほんとに良い曲ですが、知らなくても、下成さんの歌唱力を堪能するだけでも楽しめるのではないでしょうか。
エルフ美少女とのロマンティックな恋に興味がある方にオススメです。
んじゃ、また。