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夢の叶え方

まだブランドローンチ前の私が何かを語ったところで、説得力があるとは思えない。しかし、私のブランドが成功しても、あるいは失敗しても、その時点では今考えていることとは全く違うことを語るだろう。

それ故、成功も失敗もしていない今、ある種フラットな状態で、どのようにしてここまで至ったかについて書き記しておきたいと思った。

それにある意味では、私はやりたいと思っていたことの重要な部分である、「香水のクリエーション」を実現することができた。これからブランドを成功させたいという気持ちは当然強いが、まずはどうやって香水のクリエーションをするという夢を実現させたかについて書くことには、それなりに意味があると考えたのだ。

私はどのようにして“夢”を叶えたか

以前どこかで書いた気がするが、フランスに来て5年弱で、紆余曲折あったものの、香水ブランドをローンチするに至ったことを説明すると、多くの人が「努力したんだね」という言葉を口にする。それはどこか私を居心地悪くさせる。自分自身では、そこまで努力したと感じていないからだ。

私自身は、ここまで来れたことは、「運」の力によるところがほとんどだと思っている。

何かを成し遂げるために必要なものが仮に「運」と「努力」だけだとしよう。成し遂げる対象によってそれぞれが必要とされる割合は変わってくるが、私のように不確定要素が多いようなケースは、それを達成するために必要な運の割合は、努力のそれに比べて格段に大きいだろう。逆に努力の割合が大きいのは、テストである点数以上を取らなければいけないといったような、達成するべきものが明確である場合だ。

どのようにしたら運は味方をしてくれるのか?運は“運”である以上、黙って待つ以外に手にする方法はないのではないか?そう思う方も多いだろう。私もそう思っていた。

運を味方につけるには

以下の記事で書いた通り、今私がこの場所にいれるのは、“パリマジック”のおかげだ。パリで成功するには、パリマジックが訪れるまで我慢できるかどうかが重要なのだと考えていた。いつ自分に訪れるかわからない運を、その時までじっと待っていられることが、パリで成功するための条件だと思っていたのだ。

最近になって、「フランスに来て5年で香水ブランドを作れるのは早い」や、「まさか本当に香水のクリエーターになるとは思ってなかった、ごめんなさい」などと言われることが多くなった。

そこでふと気がついた。私はここ5年以上、「香水に関わる仕事がしたい」と誰彼構わずに言い続けていたのだ。渡仏する際は「調香師になることを目標にしている」と言っていたので、そこからは若干の変化はあったが、香水のクリエーションという一貫した目標を、周囲に語り続けていた。

今になって思うと、周りの人に夢を語るというのは、ここまでたどり着くのに非常に大事な要素だった。語っている中で自分自身がどういう方向に向かっているかということを明確にできたし、思わぬ人を紹介してもらうことも多くあった。

また、「語り続けられる」ということが、私の本気度を表していた。もしそこまで本気でなかったら、どこかで語るのをやめて、また違う夢を語っていたと思う。

このように夢について語り続けた結果、自分が向かうべき方向が明確になった。明確になると、必要なものや自分に足りないものがわかってきた。何が自分に必要かがわかっているので、目の前にチャンスが訪れた時に、その重要度が瞬時に理解できた。また、「○○がなくて困ってるんだよねぇ」なんて口に漏らすと、思ってもみなかったところから助け舟がきた。私はそのような形で何度助け舟に乗ったかわからない。知らぬ間に運を味方につけていたのだ。

夢を叶えたい人へ

夢をぼんやりと心の中に抱いている人は多いと思う。そして、それを誰にも言えずにいる人も多いのではないだろうか。そういった夢は、とにかく誰かに語ってみるのが一番良い。その行為はきっと、その夢を自分自身に語り聞かせることと同じなのだ。語りながら、「どうしてその夢を叶えたいんだっけ?」という自問自答を繰り返すことになる。その繰り返しで、一歩ずつ夢に近づいていく。そして、そうすることで運を呼び寄せることになる。

もし夢が変わったらどうすれば良いか?その夢のことは忘れて、また違う夢を語れば良い。語っていた夢が変わってしまったところで、誰にも迷惑はかけないだろう。

私の経験では、夢を語った時に、それに反対したり、疑問を呈したりする人はほとんどいなかった。「なんかよくわかんないけど、その夢叶えられそうだね!」というポジティブなフィードバックばかりだった。そのようにおだてられて私はここまで来れた。豚もおだてりゃ空を飛ぶし、飛ばない豚はただの豚なのだ。

まとめ

もしあなたが、ささやかでも夢を持っていて、それを叶えたいと思ったら、とにかく誰かに語ってみるのが良い。知らぬ間に夢への一歩を踏み出している。
もしあなたが、友達から夢を打ち明けられたら、「素敵な夢だね、絶対叶えられるよ」と伝えてあげると良い。根拠なんていらない。その一言が、夢への一歩の力強い後押しになるのだから。

これから私も、まだまだ夢を語ることになるが、皆さん、笑顔で聞いてくれると嬉しい限り。私が叶えたものは、まだ夢のかけらでしかないのだから。これから良い香水、そして良いブランドを作るために、誰彼構わずに夢を語り続けようと思う。

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