夏の香水
本当はçanomaとしてリリースする4本の香水の説明をしたいのだが、イマイチ良い説明の仕方が見つからない。よって最近は、関係のない記事を書いて“お茶を濁して”いた。
各香水の説明については、今週末か来週あたりに書きたいと思う。ということで、今日もお茶を濁す。
夏の香水について今日は書く。
「夏の暑い日に、どんな香水をつければ良いか?」
最近この手の質問をよく受ける。暑いしね。この8月に預かっている3匹の猫もだいたい溶けて床に落ちている。
きっと模範解答は「サッパリした軽めの香水」なのだろう。男性モノの香水だったら、DiorのEau Sauvageなんかがうってつけだと思う(少しクラシックすぎるかもしれないが)。この手のサッパリした香水には、シトラス系の香りが多く使われている。レモンやマンダリン、ベルガモットあたりだ。
ところで、こういったシトラス系の香りは、本当に夏の暑い日向けだろうか?
私はどこか、暑い日にはこの手の香りに“ベタベタ”した印象を受けることがある。もしかしたら中高時代の夏の体育の後の、教室中に充満する制汗剤の香りを思い出させるからかもしれない。または全然違う理由からかもしれない。いずれにしても、どことなくベタベタしているのだ。
そこで、暑い日の香水に対する模範解答がシトラス系であることは重々承知の上で、私なりの全く違う回答をしたい。
それは、「オリエンタル・スパイシー系」だ。
今回私がリリースする香水4本のうち、1本この系統に該当するものがある。暑い日はなぜかその香水についつい手が伸びてしまうし、実際に暑さの中でフッと香るその香水はとても素敵だ。
なぜそういった系統の香りが暑い日に良いのかきちんと説明できるわけではないのだが、やはりオリエンタル調というだけあって、暑い気候に適しているのかもしれない。また、スパイスには、重たさのあるオリエンタル調の香りを引き締める効果があるように感じている。この2つが合わさることで、夏の暑い日に食べるカレーのように、汗をかきながらも気持ち良くなる効果を生み出しているのではないか、と思料している。
注意すべき点は、甘さの少ないものを選ぶことだと思う。“こってり”とした印象があると、途端に暑苦しくなってしまう。
DiorのSpice Blendや、ByredoのBlack Saffronなんかは、上記の夏向けの香水に該当するだろう。あとGuerlainのShalimarも良いかもしれないが、甘さがどれくらい気になるか次第だ。
だいぶ昔の話になるが、暑い夏の夜、外に出る際に、L'Artisan Parfumeurの“Amour Nocturne”という香水を使っていた時期がある。火薬のような匂いに、甘いキャラメルやミルクの香り…とても夏向けの香水とは言えないものだった。香水のテーマも、冬の寒い日に、愛し合う2人が、暖炉の前で毛布にくるまって温まる…といったようなものだったと記憶している。
なぜあえてこの香りを夏の夜に纏っていたかというと、火薬の匂いが花火を、甘い香りが夏祭りを想起させたからだ。夏の夜の、本当はとても楽しいはずなのに、どこか切ない時間…そんなことを思わせてくれるこの香水が好きだった。
もしこれを読んでいる方で、夏の香水に思い悩んでいる人がいたら、あえて“夏っぽい”香水を選ぶことなく、もっと自由に考えてみてはいかがだろうか?きっとあなただけの、面白い夏香水が見つかるはず。見つかったら、ぜひ私にもそっと教えて欲しい。
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