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香水は帽子から眼鏡にならなければならない

5月1日と2日は、終日トゥモローランド渋谷本店の店頭にて接客をした。多くの方にお越しいただいて、大変嬉しく思っている。

また5月8日と9日も店頭にいるので、ぜひお越しいただきたい。


二日間、ニッチフレグランスとの出会いを作ってくれたお店に立てて、とても感慨深かった(そうなのだ、私が20歳の頃、トゥモローランド渋谷本店でニッチフレグランスに出会わなかったら、çanomaは生まれていなかったのだ)。


色々と感じたことがあるが、特に印象に残ったのは、「香水飛ばし」である。

ライフスタイル商品が並ぶ売り場で、香水以外のプロダクトのみを見ていくお客様が多かったのだ。

そのスルーの仕方たるや、まぁナチュラルなことナチュラルなこと。

まるで「この世に香水なんてものは存在しません」と言わんばかりのスルーっぷりなのである。


こういった方の辞書にはきっと、そもそも「香水を身に纏う」という言葉が収録されていない。そして、こういう方は、きっと思いの外多い(断っておくが、私はそういった「香水飛ばし」を一切否定していない。この問題は、そういう状況を作り出してしまった日本の香水業界の問題だと捉えている)。


昔ある帽子のクリエーターから帽子の市場規模の話を聞いたことがある。正確な数字は忘れたが、市場規模としてはとても小さい数字だった、ということだけ覚えている。

その方が「帽子をかぶるという選択肢がそもそも普通の人にはない」と言っていたのが印象的だった。確かに私自身も、コーディネートの中に帽子は取り入れないし、そもそも「帽子をかぶる」という選択肢はない。

香水も、市場規模の大小はあれど、現状は帽子とあまり変わらない状況だろう。


香水や帽子のこの状況は、15年ほど前の眼鏡の立ち位置を思い起こさせる。昔は今ほど眼鏡がおしゃれなアイテムとして認知されておらず、黒縁眼鏡をかけたらもれなくあだ名が「メガネ野郎」になった(というのはちょっと言い過ぎ?)。

それが今や、眼鏡は一般的なアイテムとなった。「あえてかける」ものではなく、「普通にかけるもの」の地位を獲得したのだ。


私は常々、日本の香水マーケットは、眼鏡のような進化を遂げるべきだ、と考えている。つまり、当初それを身につけることが選択肢にないプロダクト(あるいは“あえて”身につけるプロダクト)が、マーケットの成長とともに、身につけることが一般的となるものへと発展していく、ということだ。

ただ、今回トゥモローランドで接客をしてみて、このままだと帽子のように、いつまで経っても「あえて身に纏うもの」になりかねない、と危惧している。


香水は、帽子から眼鏡にならなければならない。

そのためにçanomaは、新しいことにしっかり取り組んでいこう…そう決意を新たにした、そんな1日だった。


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