ひそかに泣く
「男泣き」という言葉がある。
ピカソは「泣く女」という作品を描いた。
全米も泣く。
全米は結構泣く。
全米は泣き虫だ。
なぜ人は泣くのだろうか。
痛み、悲しみ、怒り、喜び…様々な感情が人を涙へと誘う。
泣くという行為は象徴的だ。感情が涙という具体性を持って表出している。またそれは、その感情が本物であることを自他ともに悟らせる上で非常に効果的でもある。自身も気付いていない心の動きを、涙と共に認識することもあるだろう。
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今日、ひそかに泣いた。
クラウドファンディングの支援者に送った香水のテスターが、大幅な遅れと共にようやく届いたそうだ。
2週間ほど前に、4種類のテスターを、100人に、つまり、合計400本を送った。
これら400本のテスター作成は、全て1人でやった。もちろん、その後の梱包作業も含めて、全部。
送った後、正直怖くなった。私が説明をしながら香水を試してもらうのとは話が違う。私がいないところで、100人に私の香水をジャッジされるのだ。
今日、断続的に、色々な人から連絡が届いた。わざわざ香水の感想を送ってくれたのだ。
ちょっと、感動してしまった。
もちろん、わざわざ感想を送ってくれるということは、基本的にはポジティブなフィードバックである。それももちろん嬉しかった。
しかしそれ以上に、香水という、実体を持った、使用可能な液体を、100人に届け、その100人が、それを使っている、ということを実感した際に、グッときてしまった。しかもそれは私が作ったのだ。
涙が目に溜まるまで、その感情に気がつかなかった。最初の一粒がこぼれそうになった時に、慌ててその感情を拾い上げた。
幸いなことに1人だったが、着ていたパーカーのフードで目元を隠した。
あと1ヶ月ほどで私の香水が発売される。あと1ヶ月。
それまでにどれだけの涙を準備しておけば良いのだろう。
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