「トゲアリトゲナシトゲトゲ」「オンラインオフ会」
オフ会の「オフ」は、本来オフラインのオフだから、「オンラインオフ会」というのは、「トゲアリトゲナシトゲトゲ」程度には自己矛盾を孕んだ言葉であるが、かの有名な「オンラインオフ会」に初めて参加してみた。
今回は、香水好きの人たちのオンラインオフ会だった。
実は私、外出禁止令が出ている間もZoom飲み会等に一度も参加しなかった。そんな私が、今回オンラインオフ会などに参加したのには、Twitter上であることをきっかけに私が作った、
#こんなフレグランスIQテストは嫌だ
というハッシュタグで、知らない人と大喜利をひとしきり楽しんだ、ちょうどそのタイミングでオンラインオフ会の告知を見たことで、流れで参加を決めた、という経緯があった。また、日本の香水好きがどのようにして香水を楽しんでいるのか、どういうところに不満があるのか、ということを聞いてみたい気持ちもあった。
結果的に大変楽しめたし、ブランドに対する要望等もよく理解することができた、とても有意義な時間となった。朝5時半に起きたかいがあった(その後夜8時に寝落ちし、気がついたら深夜3時。今慌てて記事を書いている)。
このように、オンラインで香水について話すのは、香りがない状態でも非常に楽しい、というのは面白い発見だった。
香水はご存知の通り、オンラインではなかなか購買が進まない商品である。日本に入荷されているブランドが少ないことを背景に、日本未入荷品を、香りを試すことなく“ブラインドで”購入している香水マニアも少なくない。ムエットやテスターで予め香りを試した上で購入する方もいるが、そもそもそれらをわざわざ注文する一手間や、そこにかかるちょっとしたコストは、ブランド側から見れば購買に至るまでの大きなハードルとなる。
そこでこんなことを考えた。オンラインで購入するプロセスに、「オンラインオフ会」を組み込むのはどうか、と。
つまり、予めムエットやテスターを参加者に郵送しておいて、私とオンライン通話をしながら、香りを試してもらう。私は香りの説明と参加者からの質問への対応をし、参加者はもし気に入った香りがあればそのままオンラインで購入、という流れだ。
私の側からすると、時間はかなり取られるし、きっと効率は悪い。参加者はオンラインオフ会に参加する、というさらなる一手間を強いられることとなる。
一方で、クリエーターの私が説明することは、参加者にとって1つの付加価値になりうる。また、クリエーターにとっては、なかなか顔が見えない最終消費者と直接コミュニケーションをとる絶好の機会となる。
こちらの記事の冒頭部分に書いたが、ブランドにとっての本当の顧客は小売店やディストリビューターである。そうすると当然のことながら、ブランドは小売店やディストリビューターが喜ぶブランドコンセプトや商品作りをすることになる。
小売店やディストリビューターが求めているものと、最終的に商品を使用する消費者が求めているものが同じならば何の問題もないのだが、今日においては、そこに多かれ少なかれ乖離があるように思う。この乖離によって、ブランドは消費者が本当に欲しているものを提供しにくくなっている傾向にあることは否めないと私は考えている。
こういったギャップを埋める方法はないか、と考えていたタイミングでの、このオンラインオフ会だったので、上記のような考えが浮かんだ。
オンラインでの香水販売をしようとすると、どうしてもオンラインで完結するように努めがちだが、実はそこにオフライン的な要素を一部組み込んだ方がうまくいくのかもしれない。
今日実際にオンラインオフ会に参加して思ったのだが、外出自粛があるから「仕方がなく」人々はオンラインオフ会で飲んでいたわけではなく、オンラインオフ会が、オンラインとオフラインの“いいとこ取り”であることに気づき、それがオンラインオフ会の急速な発展に繋がったのではないだろうか。
オールドスクールな私だが、流行りに乗っかるのもたまには大切なのね、と改めて思わされた。少しミーハーになります。