1周年記念
登記上の話だが、10月17日で会社設立1周年となる。
「登記上の話」とあえて書いたのは、会社設立のずいぶん前からこのプロジェクトは動き出していたし、商業裁判所から登記完了の連絡を受けたのは実際の登記日から1ヶ月ほど経ってからだったからだ。
とは言っても、一応紙の上では10月17日が会社の誕生日となるわけだ。
めでたい。
おめでとう、会社。
ブランド名はçanoma(サノマ)だが、会社名はSaji Parfumである。元々はSajiをブランド名にしようと考えていたのだが、日本での商標登録に問題があり断念した経緯がある。ただ、会社名にSajiは残っている。
Sajiには、様々なメタファーを込めた。
まずは、中勘助の小説『銀の匙』。抽斗の奥から見つけた銀の匙が、幼少期の思い出へとつながっていくというのが、プルーストのマドレーヌのようで素敵だと思った。
次に、こちらもスプーンという意味合いで、パウロ・コエーリョの『アルケミスト』に出てくるワンシーン。引用したいのだが、手元に本がないので、簡単に要約する(最後の部分だけ引用)。
幸福になる秘密を見つける旅の途中、ある宮殿にたどり着いた。そこには幸福になる秘密を知っている賢者がいるとのこと。
旅人が賢者に謁見した際、賢者は「今忙しいので、2時間ほど宮殿の中を回ってまた戻ってきてほしい。ただし、宮殿の中を歩いている間は、これをこぼさないように」と言って、油の入ったスプーンを渡した。
旅人が油の入ったスプーンに注意しながら、2時間後に賢者の前に戻ってくると、賢者は「この素晴らしい宮殿は見たか?」と旅人に尋ねた。当然スプーンに集中していた旅人にそんな余裕はなく、そのことを伝えると、賢者は「それではもう一度見て回って、2時間後にまた戻ってきてほしい」と伝えた。
今度は旅人は、この素晴らしい宮殿を堪能するが、2時間後に戻ってくると、賢者は彼に「スプーンの中の油はどうした?」と尋ねる。もちろん、油は全てこぼれている。
そこで賢者は旅人に言う。
「では、たった一つだけ教えてあげよう」とその世界で一番賢い男は言った。「幸福の秘密とは、世界のすべてのすばらしさを味わい、しかもスプーンの油のことを忘れないことだよ」
この寓話をどのように解釈するかは人それぞれだろうが、私にはシンプルに、「やりたいこと」と「やるべきこと」の関係性のように感じた。要するに、「どっちも大事」ということ。私は私自身の仕事に限っていうと、そのようにあるべきだと感じている。
さらに、Sajiは「些事」とも読める。些細なことにもきちんと目を向けていきたいという気持ちもそこには込められている。
Sajiに込めた思いはçanomaにも引き継がれている。様々なメタファーのファセットを持ちながらも、1つのブランドとしてアコードを構成しているところは、çanomaの香水のようだ。
これからも、Saji Parfumとçanomaをどうぞよろしくお願いいたします。
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