世界の中心で叫ぶこと
「ソーシャルディスタンス!」
と彼女はマスクもつけずに叫んだ
川沿いの児童公園
真夜中である
辺りには誰もいない
耳の後ろが
熱くなるのを感じて
彼女はマスクをつけた
そして
早足で
家までの道を急いだ
川沿いの道を少し行き
橋を渡ったちょっと先に
彼女の住むマンションがある
逃げ込むように
家に駆け込んだ彼女は
昼間のことを思い出した
苦手な上司が
彼女との間合いを詰めて
話かけてきた
話の内容は
業務の事で
そんなに
間合いを詰めて
話すような内容ではない
背筋がゾワッとするのを感じながら
冒頭の言葉を
心の中で叫んだのだ
家の扉を閉めた彼女は
ふふふ
と
思わず笑ってしまった
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ソーシャルディスタンス
をテーマで
小文を書いてよ
と友人に頼まれた
こんな感じかな