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1週間ゲームジャム「正」の開発を振り返る

Unity1周間ゲームジャム「正」が開催されました。ゲームを作るときはこういう事を考えながら作ってます。という感じで勝手に語っています。

今回作ったのはこういうゲーム。

アイデア検討

テーマが発表されたので方向性を絞っていく作業を行います。 今回は初めに「正」を含む単語で検索して気になるものを集める作業を行いました。

単語+どういうゲーム?というのを軽く考えます。ここで明らかにゲームにならないものや、特徴を出せないものを除外していきます。

・正月:お年玉をかけたバトルロワイヤル。
・正面衝突:作ったものを正面からぶつける。スロー。爆発が美しい。
・正当防衛:パリィしかないゲーム
・不正:時間がとまる。ルールを変更する。不正ゲームをクリアする。イカサマ。武装ポーカーみたいな。あるいは司会が面倒くさくなったらルール変わっちゃう水曜どうでしょうみたいなゲーム。
・正午なり:正午に何かが起きるゲーム (ループもの)
・正しいxx:例えば正しい距離だったら正しい長さを図るゲームになる。逆に間違ったものに対してこのタイトルを付ける方法もある。 正しいパンの焼き方とか言って変な方法でパンを作るゲームとか(シュール)
・正体:正体を隠す 正体をみやぶる。画面を真っ暗にする。
・正夢:夢パートでやったことが本当になる。夢で起きたことを回避する
・正東風(まごち) :東から吹く春の訪れを告げる風。オチで春になる。

色々と案が出ましたがここで深追いすると「時間なくなる」→「できることが減る」なので秒で決めて駄目なら方向転換する戦略でいきます。

最近遊んだ「メトロイド ドレッド」のパリィ要素メレーカウンターが面白かったのでパリィだけで敵を倒していく「正当防衛ゲーム」としました。

元になったメトロイドは横スクロールアクションゲームですが、ジャンプを入れた操作を作る余裕がなさそうなので2Dゼルダのような見下ろし型のアクションゲームとしました。

ちなみにUnity1週間ゲームジャムとか言いながら、自分の場合は最初から遅刻することがわかってるので10日から2週間程度かけるつもりで作っています。駄目な大人でごめん。

開発

心の赴くままに実装していきます。さらさらっと書いていきましょう。今回は勉強も兼ねてUniTask, UniRxなどを使用しました。特にUniTask+DOTweenの組み合わせは便利すぎなので今後ずっとお世話になることでしょう。(Zenjectも使えばよかったと後悔) 

敵の行動をつくる
プレイヤーには敵の行動を学習してパリィを狙う体験をしてもらいたかったので、敵に行動にパターンを設定できるようにしました。行動A→行動B→行動B→最初に戻るみたいな動作をします。(昔のゲームではよくありますよね) こちらはinterfaceを使うと比較的スッキリ実装できました。

敵(緑色)が左右に動く -> 攻撃する。というパターンを繰り返しているのが判ると思います。

パリィを作る

敵の動きが出来たので次は肝心のパリィを作っていくのですが。もうこれが全然駄目でした。全然面白くならないのでボツにしました。

作ったものが面白くない 
自分には才能がないのでしょうか。否。足りていないのはスキルです。いい武器手に入れてもまだ使いこなせるレベルに到達してないと考えましょう。(パリィだけのゲームは未来の自分に託す。あるいはこれを読んだ貴方が作ってくれる。)

方向転換する

アクションゲームのベースはあるので敵を攻撃できるゲームにします。ただ普通に攻撃出来るゲームを作っても面白くないので一捻りします。

いろいろ試してみると、攻撃の当たり判定をプレイヤーからちょっとだけ離すと独特の操作感が出ることに気が付きました。

敵から離れすぎても駄目、近づきすぎても駄目。これはもともと作っていた敵の体当たり攻撃と相性が良く、攻撃速度を上げても見てから避けれるギリギリの体験が作れそうでした。なにより当たり判定をズラすだけなので低コストで作れる良さがあります。

ちょっと離れたところを攻撃する武器なので「歯ブラシ」という設定にしました。「歯ブラシを武器に虫歯と戦う騎士 Dental Knight」なにやら独特でカッコいい気がするし「口内環境正常化」という事でテーマ回収もできそう。(龍の歯医者とかあったしファンタジーに寄せると面白くなるモチーフかも)

要素を増やしていく

という事で無事に方向転換できたので敵キャラやステージのギミックを実装して、ゲーム全体のボリュームやシチュエーションを増やしていきます。

回転のこぎり
トゲトゲはゲーム開発のロマン。 回転だけで動きが作れるので低コストで作れます。見た瞬間に当たってはいけないものだと理解できます。移動しても違和感ない。回転ノコギリは敵キャラクターの優等生。カッコいいし。

弾を打つ敵
弾はばら撒くだけで派手さが出る。良いと思います。

今回は行動パターンを設定できるので体当たりをした後にプレイヤーに弾を発射するいやらしい敵もつくれます。

プレイヤーの後をつけてくる敵
「マリオギャラクシー」とか「Celeste」とかで見たことあるやつです。数秒前のプレイヤーと同じ動きをします。作ってみたかったので作りました。

パフォーマンスを気にしなければ実装簡単なので今後も登場させたい。

操作周り

とにかくシンプルな操作を目指すためにWASD + ワンボタンを死守します。

この手のゲームでよくある WASDで移動+マウスで向きを操作+クリックで攻撃な操作ですが、自分はこの操作方法が操作できないレベルで苦手なので別の方法を検討します。(みんなも苦手だよね..?)

まずマウス使いたくないので狙う操作を自動化します。攻撃対象として一番近い敵の方向を向くようにします。移動で間合いをとりつつ攻撃するだけのシンプルな操作でもゲームが成り立つと思います。ここらへんは大ヒットゲーム「アーチャー伝説」の影響を受けています。

操作は内容に合わせてアレンジしよう
操作を拝借する場合でもゲームの内容に合わせて遊びやすくなるように調整したほうが良いでしょう。例えば今回のゲームには間合いの要素があるので、近くの敵を向くという仕組みでターゲットが頻繁に切り替わると攻撃がしづらいのです。(アーチャー伝説のように弾を撃つゲームだと間合いが関係ないので問題にならない) 混戦したシチュエーションをあまり作らないとか、攻撃操作後の一定時間はターゲットが切り替わらない等の仕組みを入れて自然と遊んでもらえるように調整しています。

u1wにおけるアクションゲームの評価
アクションゲームは操作性の項目が減点されやすく、総合評価の順位が下がりがちだと思っています。またプレイヤーは自身のスキル不足を操作性のせいにする生き物なので、ゲームの難易度が高いだけで操作性に低い評価をつけます。アクションゲームは総合評価の面で比較的不利なジャンルなのかなと個人的には思います。

それでもアクションゲームが作りたい
ですよね。不利なジャンルだから作らないのであれば何のために個人でゲーム作ってんだって感じです。乗り越えればいいのです。アクションゲームを作るのであれば操作性の部分しっかり対策して「謎解きゲーム」や「パズルゲーム」といった強ジャンルとも、総合評価で互角に戦えるゲームにしたいなと思います。

絵作り/ 雰囲気作り

画作りは Stylizer - Extended を使いました。プリミティブなモデルでもちょっとだけ良い感じにしてくれます。Post Processing もColor GradingやLens Distortionの組み合わせて好みの雰囲気にしていきます。

左:効果なし。右:効果あり。自分好みの色にします。Lens Distortionの効果で床の単なる四角が、色気のある四角になるのもGOODです。

プレゼンテーション9__自動保存済み_

泡のエフェクトとかも足していきます。

音楽テーマはジャズです。淡々としたアクションゲームと相性が良いと感じています。ダウナーなんだけど心に熱い炎を隠し持ってるような雰囲気?が好きです。他のゲームとの差別化も出来るような気がしました。(ジャズ使ってるゲームはスーパードンキーコングかApe Outしか知らない)

エンディング

今回はエンディングを用意します。クリアしたときにペライチの画像を出すだけじゃなくて、それなりのエンディングが用意されたゲームには良い印象があります。半分憧れの気持ちで作ってみました。

結果的にキャラクターや世界観の魅力を伝える効果や、最後までプレイしてもらうためのご褒美として機能したかなと思います。(ゲームの説明にエンディングあるからクリアまで遊んで!と書いてみた)

エンディング用のイラスト素材を発注します。

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今回エンディングを入れて気がついた事として。

操作できないシーンをゲームの最初に持ってくると不快感を与える可能性が高いが、エンディングだと歓迎されるみたいです。

世界観やキャラクターの魅力を伝えるのに時間を使いたいならこのタイミングでしょう。(クリアしないと見てもらえないので、作り込むならクリア率を高めるよう意識すべし)

バランス調整

今回のゲームは多くのプレイヤーがクリア出来る難易度を目指します。エンディングを見た後の「楽しい」でゲームを終えてほしいのです。

人間は最後の感情しか憶えていない生き物なのです。ゲームを辞めるときの感情がどうなっているかは、このゲームがどんな思い出として残るかに強く影響するのかなと思います。(いい思い出になってほしいよね)

難易度は簡単すぎるくらいで
開発者はテストの過程で何度も遊んでいるので既に上達している場合が多いです。簡単すぎると思うくらいの難易度が丁度良いような気がしています。また今回はクリア率が上昇するようにゲーム全体の尺を半分に調整しました。大規模なリストラを敢行しています。ダメ押しとして最初の部屋からボスの部屋の前まで移動できる大胆なショートカットも用意します。

評価

総合評価8位。今までで一番良い評価を得られました。(やったね)評価していただけるということは楽しんで頂けたわけで素直に嬉しいです。プレイありがとうございました。

各評価項目を見るとやはり操作性が足を引っ張る形になっています。

DentalKnight___フリーゲーム投稿サイト_unityroom

ただ、操作感が独特な割には受け入れられた数値かなのかなと思います。難易度を思い切って下げた事も影響していると思います。斬新さが思ったより高かったのは嬉しい誤算でした。当たり判定をちょっとズラしただけなんですが操作感がガラッと変わるのはゲーム開発の醍醐味ですね。

昔作ったゲームの評価って潰れた大福みたいな形状が多かったので少し成長したかなという気持ちです。

ふえる飛空艇パズル___フリーゲーム投稿サイト_unityroom

反省点

色々惜しいというか。操作感は悪くないんですが。アクションゲームとしては一方的に殴って終わりの単調なゲームになってるかなと思います。せっかく行動パターンを設定できのに活用出来てないかなと思います。一部の敵の難易度を体力で補ったことで硬い敵を作ってしまったの駄目ですね。難易度に関しては下手っぴでもクリアできて、上手い人にも手応えを感じてもらえるような物が作れると良いのですが、今後の課題ですね。

自己評価としては方向性は悪くないので「もう一回作り直してきてね」という感じです。10倍は面白く出来るだろこれ。

今後

次回作があれば。操作性をはさらに洗練させつつ、ちゃんとチャンバラ出来る面白さや、ジレンマや手応えをしっかり感じられる面白さが作りたいなと思います。もっと面白く出来ると思います。

Unity1週間ゲームジャムに関しては、総合評価10位前後を常に取れるようにスキルを伸ばしていこうかなと思います。もちろん評価が全てではないのですが。評価項目を伸ばしていくことは、ゲームの品質を高めることに直結するかなと思っています。楽しんでくれる人も増えますしね。評価を伸ばしつつ自分の作りたいものが作れるように成長できたらいいなと思います。

2022年も相変わらずゲームを作っていると思います。

今年はモデリングやアニメーションに挑戦してゲームの魅力をもっと高めていきたいと思います。かわいくてカッコいいキャラクター達が画面の中で生き生きと動いている様子を皆様にお届けできるの楽しみです。


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