待ち時間の過ごし方
オーディションの待ち時間。
オーディションには大きく分けて2種類ある。
それは、
待ち時間が長いオーディションと
待ち時間が短いオーディションである。
近ごろ後者ばかりが続いていた僕は、
早く帰りたい今日に限って圧倒的な前者を引き当ててしまうこととなった。
「長い」に「うんと」とつけたくなるような体感。
遠くでうっすら漏れてくる先人たちのハリのある声と重い空気を掻き混ぜる換気扇の鈍い音。
先に集められていたモデルの方々も皆同様に少し萎れているように感じるのは気のせいではないだろう、30人弱が詰まった空間はこの先の長い「待ち」を分かりやすく教えてくれる。
あぁー、本を持ってくればよかった。
荷物を軽くしたい一心で置いてきてしまったのだ、
読書においてこんなに最適な空間も、時間もないのに。
読むものや浸るものがないのならこっちから生み出してしまえ!ということでこの文章を打っている。
別に愚痴をぶちまけている訳ではない、
これは時間の有効活用というやつだ。
いよいよ、文章を考える脳みそまでも靄がかり始めてきた。欠伸も止まらない。マスクサンキュー。
心の鳩時計の鳩も出たくて出たくて扉をつつきまくっている、そんなどうしようもない板挟み。
今日の日暮れ間際の話であった。
おわり