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特別支援学級の掃除機がけ③


 小学校シリーズ続きます。

 僕がその後大きくなってからですが、このお姉さんがかけていた掃除機にどうしても出会いたかった僕は、6年生になった時に劇的な出会い方をします。 

 僕の掃除場所が特別支援学級になったこともあって、「もしかしたらあるのでは!?」という淡い期待を抱いてその場所へと赴きました。
 しかし、結局僕の割り振られた場所は、僕が一年生の時にはなかった、一つ増えた特別支援学級のクラスでした。

(しまった!隣のクラスだった!)

とは思いましたが、それでもそこにいる先生やその学級の子たちが優しい子ばかりだったので、気持ちを切り替えて教室に入りました。
 そして、教室に入って掃除用具の説明を先生から受けていた瞬間でした。

「あっ!」

 思わず声を出してしまった僕の目線の先には、あの色褪せたエメラルドの掃除機が、さらに色褪せた状態でそこにあったのです。
 先生からは「どうしたの?」と聞かれましたが、それは何とか誤魔化し、その日以降今度は僕がその掃除機を使って掃除することになりました。
 しかし、教室中をそれで掃除できた時代は終わっており、木目調のタイルの床の部分はホウキで掃除するため、掃除機で添字していい場所はタイルカーペットだけになっていましたが、それでもあの掃除機の電源を付けた瞬間は、まだ記憶が薄れません。

 そんな思い出がある掃除機をまだ眺めているだけだった時代の話の続きをここで書こうと思います。

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