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大掃除前の先生の掃除機がけPart1

 保育園では毎学期末に大掃除が行われていました。保育園で、大掃除と言えど、清掃業者を呼ぶわけではなく、もっぱら年長クラスの園児と先生達がやるような感じでした。
 ただ、この時の自分はまだ年少だったので、特に関わることはありません。
その分、たっぷりと先生の掃除機がけが見れたのです。

 ただ、今回の話はその前の日の話です。
なぜなら、こっちの方が掃除機がけで印象的なシーンが多かったからなのですが、、、

 この日の大掃除でも、掃除機がけの役目は大好きだった先生でした。
 以前先生に、
「掃除機がけって好き?」
と聞いた時に、
「好きだよー!」
と笑って答えていたことがあったので、もしかしたら、この先生が自ら掃除機がけをしたいと名乗り出していたのかもしれません。

 なんせ、保育園なんて、掃除機の餌食になるものの宝庫で、吸いがいがあるのですから。

 その日の掃除は玄関から始めたようで、玄関先から「キュイーーン」という音と共に掃除機がけが始まります。

大掃除らしく、いつも隅々まで掃除機がけをする先生も、それ以上に丁寧に、あらゆるものを吸い込んでいきます。

 掃除機のスイッチを押した先生は、いつもの「標準」を押した後、直ぐに「強」に変えて吸い始めました。
 大掃除前ということ、夏で外遊びも多かったため、園内にも多くの埃などが溜まっていたのだと思いますが、それでも玄関にはいつも以上に「ギュイーーン」という音が響きます。

 自分が階段のところから掃除機をかけている先生を見ていると、
「ゆうくん、いたの!」
と、自分に気付くと、一旦掃除機の電源を切り、
「今日、先生ちょっとだけ真面目に掃除機がけしなきゃいけないの。いろんなところ吸って、掃除機暴れちゃうかもしれないし、危ないから教室戻ってて!」
と、怒られてしまいました。

 仕方なくすごすごと階段を上がって戻ろうとしますが、その途中でまた掃除機の始動する音が聞こえました。
 今度は最初から「強」にしたのか、いつもよりすごい「ギュイーーン」が耳に響きました。

 自分が戻ってみようかうずうずしているうちに、いつもの下駄箱を吸う音が聞こえます。
「ズォーー」という下駄箱を親子ノズルでなぞる音が聞こえたかと思えば、「チャリチャリ」という砂や小石を吸う音が聞こえます。

 そして、一旦掃除機を置くと、今度は下駄箱をずらさ音が聞こえ、今度は「シューー」という隙間ノズルの音が聞こえます。

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