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やさしさを渡したり、受け取ったり。そんな関係性を増やしていきたい。 #soar応援

こちらの記事には、ウェブメディアsoarの5周年に向けて、soarメンバーやsoarライター・これまで記事に登場した方たちがsoarへの思いを綴ったコラムを掲載しています。

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「助けて」のインフレを起こしたいんです。

10月17日のsoarカンファレンス。そこでの認定NPO法人抱樸の奥田さんの言葉がとても印象に残った。

小さい頃から誰かを頼ることが苦手だった。思っていることが上手く伝えられない。失敗が続いて思うようにいかない。その度に悩んで、落ち込んで、一人でこっそり泣いて、困り果てると閉じこもる。弱音を吐いたり、弱い部分を人に見せたりすることは恥ずかしいことだとずっと思っていた。だから、「助けて」と言えないまま大学生になった。

そんな自分がある日、「辛いんだよね」とパートナーに伝えることができた。その時、パートナーは上手くまとまらない話をゆっくり聴いてくれた後、「辛いの辛いの飛んでこーい!」と笑いながら言った。「そんなのダメだよ...」と言うと「辛いことも分かち合って、そうやって生きていくんでしょ」と。その時、フッと心が軽くなったのを感じた。

辛い現実自体が変わったわけではないが、ネガティブな感情との向き合い方が変わった。本当は辛いのに、「辛くないんだ」と言い聞かせて葛藤することから、辛いと認めた上で「じゃあ、どうしようか」と考えられるようになった。「じゃあ、どうしようか」を一緒に考えてくれる人がいるということも心強かった。

これまでの自分はどうにもうまくいかない気持ちや辛い感情をギュッと押し殺していた。弱さを人に見せることは恥ずかしいと思っていた自分が弱さを吐き出せたのは、soarでの経験が大きい。soarには「弱さの共有」という組織文化がある。これは、北海道浦河町のべてるの家を参考にしたもので、ポジティブな感情だけでなく、ネガティブな感情も一人で背負い込まずに分かち合うというもの。soarではSlackのチェックインチャンネルで日々の体調や気分を報告したり、会議の冒頭はプライベートのことや最近考えていること、好きなものなど自由に話せる時間がある。会議の冒頭と書いたが、毎回会議の半分近くを使って行う。自分のこと(プライベートな部分も)を伝えることが、文化として土壌にある。

soarに入った当初からこの文化に馴染んでいたわけではなく、最初は戸惑いのほうが大きかった。プライベートでの困りごとは仕事をともにする中で、ポジティブに作用することよりも妨げになることのほうが多いだろうと思っていた。大事なのは、生産性や効率といった、いかに仕事のパフォーマンスを上げるかということ。そのためには、感情よりも論理が優先されるべきだと思っていたし、そう教えられてきた。だからこそ、雑談だけではなく会議時間の半分ほどを一見仕事には関係のないプライベートな自分の状態などを話すチェックインに使うsoarの環境が最初は少し異様なものに映った。

ある日の会議でリーダースタッフが「弱さ」を共有してくれたことがあった。自分の奥にしまってあった感情を伝えてもらった時に思ったのは、なにか力になりたいということだった。また、伝えることに勇気が必要なことを伝えてもらえたことや頼ってもらえたことは少し嬉しくもあった。他のメンバーも同じように感じたんじゃないかということは「なにか力になれることがあれば遠慮なく言ってください」という言葉からも伝わってきた。

弱さを共有したり、されたりする中で、弱さを共有することは恥ずかしいことでも悪いことでもないのかもしれないと思うようになった。共有するためには、弱さや辛さを認めることが必要で、辛くない・弱い自分は認めたくないという思いはかえって自分を苦しめることになる。だからこそ、弱さを認めて共有することは同時に自分自身に優しくなるスタートのようにも思う。これが僕にとってすごく難しいことでもあるが(笑)

また、弱さを共有することで「誰かのやさしさ」が引き出される。それは、僕自身が弱さを共有できた時に受け取った相手からやさしさでもあるし、誰かの弱さを受け止めた時に引き出されたものでもあった。「助ける・助けられる」の関係という言葉をよく聞くが、弱さを起点にやさしさを「渡す・受け取る」といった関係のほうがしっくりくる。弱さを共有することでそんな関係が生まれたように思う。

soarの記事に高次脳機能障害になったルポライターの鈴木大介さんが「なんでも一人でやろうとしないで」とパートナーに言われた物語がある。

妻が一番最初に僕にした指導が、「なんでも一人でやろうとする習慣をなくせ」ということ。これまで、僕はなんでも一人でやろうとすることで削られてきたんだなぁ、と改めて気付かされましたね。<中略>お互いに困りごとがあって、依存しあいながらも一緒に解決していくという姿勢だと、すごく楽になります。記事より引用)

soarのインターンに応募した時に、「やさしさが循環する社会」をつくりたいとエントリーに書いた。なんでも一人でやろうとしないで、頼ってみる。そうすることで人との距離感や関係性が少しずつ変わり、やさしさを「渡す・受け取る」豊かな関係が増えていくのだと思う。やさしさが循環するというのはそういうことなのかもしれない。

同じようにsoarもたくさんのやさしさを受け取っている。それは、必要とする人にsoarの記事が届くようにと無料で読めるにも関わらずサポーターとしてsoarを支えてくださっているみなさんの想いやsoarの記事を大切に読んでくださっている方、イベントに参加して場を一緒に作ってくださる方などのやさしさである。反対にsoarも多くの人にメディアや場を通じて、たくさんのやさしさを渡していけたらと思う。

これからもsoarを通じてやさしさを「渡す・受け取る」関係性が増えていくといいな。

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ここまでコラムを読んでいただきありがとうございます。やさしさを「渡す・受け取る」関係性や「誰もが自分の可能性を活かして生きる未来」を一緒につくっていきたいなと思った方は、ぜひサポーターとしてsoarを応援していただけると嬉しいです。

サポーターだけでなく、soarの記事を読んでみる・イベントに参加してみるなどsoarとの関わりがこのコラムをきっかけに生まれればとても嬉しいです。

(written by 齊藤湧太/soar事務局)

soarはNPO法人soarが運営するウェブメディア。「人の持つ可能性が広がる瞬間を捉え、伝えていく」ことを目指し、障害者や高齢者、LGBTなど様々な人の生き方やサポート事例について紹介しています。2020年12月22日に迎えるメディアオープン5周年に向けて、サポーター会員850名を目指しています。(現在810名のサポーターのみなさんに支えてもらっています!)より多くの人にsoarを知ってもらうため、今年もハッシュタグキャンペーン「#soar応援」 を実施します。

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