日本と核兵器禁止条約【高橋悠太の核廃絶速報】
廃絶ネゴシエーターの高橋悠太(KNOW NUKES TOKYO 共同代表)です。世界や国内の核廃絶の動きを、「速報」できればと思い、メッセージを書いています(10月29日)。
「核兵器禁止条約への賛同を求める国連決議」に、日本はまた反対です。
NATO国はこぞって反対。オブザーバー参加したドイツやノルウェーも反対)オーストラリアは、アルバニージー新政権の下で、2017年の採択以降、初めて反対ではなく棄権に転じたとのこと!(124ヶ国が賛同したとのこと。包囲網がさらに広がれば。)以下が投票結果の写真です。(写真引用・川崎哲さん)
日本が毎年提出している「核廃絶決議」をご存知ですか?
なお、この決議は、先日から報道されている日本政府が中心になって提出している、いわゆる「核廃絶決議」とは別物です。
少し補足すると、この「核廃絶決議」は、「核兵器のない世界」全般の実現を求めるもので、毎年提出されています。10月15日に、共同通信外信部が最初に報じました。その後、NGO「Reaching Critical Will」10月23日に全文が掲載されました。
なお、国連総会は毎年9月に召集され、首相などの一般討論演説の後、テーマごとに6つの委員会に分かれます。「軍縮・国際安全保障」を扱うのは、第一委員会で、2022年10月3日~11月4日の日程で、まさに現在進行中です。日本のいわゆる「核廃絶決議」はまずこの中に諮られ、その後12月上旬に、総会の本会議で正式に採択される、というのが例年の流れです。(先ほど入ってきた情報だと、核廃絶決議も数時間前に投票があったようです。おそらく「採択」でしょうが、どこの国が反対したかなど、詳細はまだ情報が入っていません。この情報が大切です)
日本と核兵器禁止条約
そして、話を戻すと、この核廃絶決議の中では、初めて「核兵器禁止条約の発効と締約国会議の開催を認める」文言が入りました(アメリカも共同提案国になっています。)これは確実な進展ではあります。
ただ注意が必要だと私は思っていて、これは例年、NPT会議の最終文書(案)に沿って作られます。つまりある種の既定路線なんです。そして上記の「核兵器禁止条約に関する決議」に反対していることを鑑みると、日本の核禁条約への姿勢は何ら変化しておらず、改めて、さらに一歩踏み込んで「意義を認める」というステップに持っていく必要があるんだと思います。
日本の核廃絶決議について、核兵器廃絶日本NGO連絡会の詳細な受け止めはこちら。
余談ですが、10月29日に長崎で開催されたシンポジウム では、駐日ジャマイカ特命全権大使・リチャーズさんが「長崎の新たな市民外交に向けて」をテーマに講演。NPT会議の文脈で、「核保有国は核軍縮義務を何にも果たしていないし、それを同盟国が支持している。そのうちの一つが日本だ」というような発言をされていたようです。大使が特定の国を名指しするのは異例のことですが、それくらい熱い思いをもって動いておられる国・大使もいるということです。なお、リチャーズ大使は、核兵器禁止条約採択にも大きく貢献された方です。
高橋悠太
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