【遊山箱の想い出】浜遊山と秘密基地(阿南)
こんにちは。遊山箱文化保存協会です。
私たちは、徳島県に伝わる遊山箱を守り、伝え、つなげるために活動する遊山箱愛好家団体です。遊山箱文化の伝承を目的とし、遊山箱を使ったテーブルコーディネートの提案、交流イベントの開催など、暮らしの中で楽しみながらその魅力を体験する機会を設けております。
3月3日(日)イベントの告知をさせていただきました。
イベント当日までnoteで遊山箱のお話をしていきたいと思います。
https://note.com/yusyanbako/n/ne596c06a0862
どうぞ、お耳からも遊山箱のお話を聞いてください。
月が満天まで上がるまで待っちょった
わしは阿南出身やけんど、淡島海岸で浜節句しよったな。あっちからもこっちからも人がきてな。
お巻き寿司やきつね寿司、それから海部で作った寒天が色とりどり詰まっとったわ。 あと、お月見にも使いよった。二十六夜待ちというてな。何やったんやらな、あれは。夕方から浜へ行って、月が満天まで上がるまで待っちょったんかいね。
浜ではいろんな催しがあって、その時に同じように遊山箱を持って行くんよ。海から月が出る感じやな。 また兄弟や近所の子ども5人ぐらいで、毎年遊山山に遊びに行ったんやけんどな。年によって違う山にも行きよった。
万国旗持って登って、陣地を作るんよ。わしらだけの秘密基地やな。シダかき分けて尾根登ったり、木登りしたり、冒険しょうみたいだったわ。山の上から足元見たら、いつもの通学路が細そうに見えてな。高いところにきたんやなーって気持ちようなったもんよ。
谷挟んだ向かいの小山にも、別の一団がおるんよ。わしらが攻めて行くぞって言うたら、向こうからも返事が返ってきてな。何やら陣取り合戦みたいでな。 万国旗、張っとったわ。
遊んで遊んで、遊山箱の中身食べたら家に走って帰って、詰めてもろうて、また仲間のところにもんてな。ほの行き帰りに、桜の咲いとう森や、れんげ畑、青もみじのきれいな谷やらあってな。気持ちよかったわ。
そうじゃ、わしの連れが徳島の小松海岸の近くにおってな。小松海岸の松林に遊山に行って、食べて済んだら海岸に下りて、「こんぼ」ってゆう小さな巻貝を取って、空いた遊山箱に入れて持って帰って、お母さんが茹でてくれて。楊枝やなかったけん、縫い針で突き刺して食べたんやって。松林の下に生える「はったけ(ハツタケ)」っていう、きのこを取って帰ったって、言よったわ。
地域ごとに遊びに行く場所が違うのですね。山に近い人は山へ、海の近い人は海へ。二十六夜待ちで月が満天になるまで待っていたと言う、浜遊山。素敵な言葉ですね。
次回も遊山箱の周りのお話をお伝えします。
【イベントのお知らせ3月3日は遊山の日】
私たち、遊山箱文化保存協会はこれからも遊山箱の文化を伝えていきたいと考えております。どうぞ、遊山箱を懐かしく思い出される方も、遊山箱を初めて知る方も、3月3日は阿波十郎兵衛屋敷イベントにお越しください。
イベントの詳しいご案内はチラシからもご覧いただけます。この日のためにアレンジした遊山箱セット(お茶付き)はご予約が必要です(50名様まで)
予約はこちらから。
https://docs.google.com/forms/d/1gi9VxXmFZYUSUmdLDaMgyftlLzfNPAMT-m7oD290tbo/edit
文責:遊山箱文化保存協会 事務局