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【遊山箱の想い出】子どもだらけの段々畑

こんにちは。遊山箱文化保存協会です。

私たちは、徳島県に伝わる遊山箱を守り、伝え、つなげるために活動する遊山箱愛好家団体です。遊山箱文化の伝承を目的とし、遊山箱を使ったテーブルコーディネートの提案、交流イベントの開催など、暮らしの中で楽しみながらその魅力を体験する機会を設けております。

3月3日(日)イベントの告知をさせていただきました。
イベント当日までnoteで遊山箱のお話をしていきたいと思います。

どうぞ、お耳からも遊山箱のお話を聞いてください。

家族や地域に愛された子どもの頃の想い出


もう今から50年以上前のことでな。私が幼稚園くらいから5年生ぐらいまでだったかな。 母の里が神山、広野の辺りなんよ。そこでいつも遊山して楽しかったな。家の裏が鮎喰川、前が段々畑になっとってな。いつも川で泳いだり、寄井座に来る芝居や映画が楽しみだったわ。

4月3日は遊山の日いうて、姉妹3人と従妹3人やら8人ぐらいで、10個ぐらい遊山箱を持って。ござ担いで自分の家の山の畑に上がってな、広場でござ広げて座るんよ。その山には近所の子全員がそれぞれの段に座っとったけん、山は子どもだらけじゃわ。

その日はその辺の子全員が山に登ってな。麓の家にはじぃばぁがおって、何でか母が作ってくれたワンピースやらよそゆき着て、山に登りよった。

遊山箱には巻き寿司、あられいり、ういろうが入っとった。食べ終わったら、だーっと一番近い家に走りよりて、遊山箱におかわりを入れてもらいに行くんよ。家によって入れてくれるもんはそれぞれだったわ。駄菓子やういろう、いりおかき、いろいろあったな。ある家ではういろう、ある家では色付き寒天を、もろぶたいっぱいに作って待ってくれとんよ。

子どもが来たらな、それを切って入れてくれよったわ。 巻き寿司やな、ほんな時でないと食べれんかったけん、巻き寿司が楽しみで楽しみでな。

食べることが楽しみやったな。 食べては遊び、食べては遊びしよった。 何も買うたもんやないんよ。小豆は山からとってくるし、石臼できなこを引いて、はったい粉作ってな。

あるもんでお遍路さんを接待しよったけん、ほれは当然のことやった。 意地悪な人は誰一人おらんかったな。みんな優しかった。いつの間にか子どもが家の中に入ってきたって、にこにこして優しいしてくれたわ。 数珠玉の草を投げおうて遊んだり、イタドリをとってかじったり。そんな楽しい思い出しかないな。

地域の人たちに愛されて育った子どもたちの笑顔が目に浮かぶようです。昔の話を聞かせていただきながら、どの家もよその子どもを招き入れてお菓子をあげる。まるでハロウィンです。遊山箱は地域コミュニティの形成にも一役買ってたんではないかと思います。

次回も遊山箱の周りのお話をお伝えします。

【イベントのお知らせ3月3日は遊山の日】

私たち、遊山箱文化保存協会はこれからも遊山箱の文化を伝えていきたいと考えております。どうぞ、遊山箱を懐かしく思い出される方も、遊山箱を初めて知る方も、3月3日は阿波十郎兵衛屋敷イベントにお越しください。

イベントの詳しいご案内はチラシからもご覧いただけます。この日のためにアレンジした遊山箱セット(お茶付き)はご予約が必要です(50名様まで)

予約はこちらから。

https://docs.google.com/forms/d/1gi9VxXmFZYUSUmdLDaMgyftlLzfNPAMT-m7oD290tbo/edit



文責:遊山箱文化保存協会 事務局


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