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『蒼炎の舞台』 あらすじ
神奈川県某市、ある高校にて。
クラスの人気者・白瀬は、休み時間もずっとキャンパスノートに一心不乱になにかを書き込む目黒に興味本位で声をかけた。
「それってなに書いてるの?」
すると目黒は端的に答える。
「漫才の台本」
これをきっかけに、人気者と日陰者、対極にいた二人はコンビを組むことに。
目黒は文化祭で漫才を披露し、ゲストの人気漫才師に目をつけてもらうことを目標としていた。目黒の夢に魅せられた
『蒼炎の舞台』 本編
神奈川県にある某高校、とある教室では休み時間なのか生徒たちがガヤガヤとして賑わっている。進級に伴いクラス替えが行われて数ヶ月。
楽しそうに話す生徒が多い中、目黒は一人机に向かい一心不乱にノートに何かを書いている。
会話の中心にいながらもその目黒の様子が目に入り気になった白瀬はスッと輪を抜け目黒の前に現れる。
「それ、いっつもなに書いてんの?」
答えるまでの3秒がやけに長く感じる。目黒は何でもないこ
『グッバイ日常譚』第三話 執着(後編)
机の上に置かれたストラップ、横には黒く無機質な盗聴器が置かれている。
さらによく目をこらしてみるとそれは一枚の紙切れであることがわかった。あ、と思った時には住職が既に手を伸ばし袈裟の中にしまうのが見えた。Cは気付いていない。自分のプレゼントに盗聴器が仕掛けられていたなんて現実をまだ受け止められていないのだろう。
小動物のように体を震わすCに宥めるように穏やかな口調で住職は話しかける。
「Cさん、も
『グッバイ日常譚』第二話 執着(前編)
暗い部屋の中パソコンの画面に照らされる一人の女性。年は20かそこらだろうか、彼女が一つため息をつく。悩ましげな顔。彼女の後ろに置かれた鞄につけられた、少し大きなぬいぐるみのようなストラップの口角は他より少し上がっているように見えた。
13:20、N寺。
応接間には若い女性が緊張した面持ちで所在なさげに座っている。服装やメイクを見るに、いわゆる白ギャルと呼ばれるタイプだろう。
八谷はそんな彼女にお
『グッバイ日常譚』第一話 はじまり
[注意]本編に登場する人物たちは全て仮名あるいは伏せ字にて表されています
秋の青空が好きだ。透き通っていて、冬よりも青色が優しい気がする。
私がこんなに晴れやかな気持ちで青空を見られるようになったのも、転職をしてやっと今の職に慣れてきたからだろう。管理事務スタッフ。そう呼ばれる職に就いている。職場は地元にあるN寺だ。
転職活動に難航していた夏、母の知人がここを紹介してくれた。お給料は決して高くな
『グッバイ日常譚』あらすじ
【あらすじ】
とある事情からOLを辞めた八谷(ハチヤ)は転職活動が難航していた。
そんなとき知人の紹介を受け近所のN寺に雑用係、正式には「管理事務スタッフ」として就職をする。
仕事にも慣れてきたある日、どうしても住職に聞いてほしい相談があると駆け込んできた少年Aと出会う。寺を空けていた住職に代わり話を聞くと、どうやら友人のBくんの様子が肝試しに行ってからおかしいらしい。八谷は子どもの思い込みだろう