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財務担当から見た「会社の情報公開」

「会社の情報はなるべく全て公開すべき」という話が多いですよね。
特に会社へのエンゲージメントの観点で。

これについて、財務・経営企画を担当している立場から、「財務情報は公開して問題ないのか」考えてみたいと思います。
※個人の意見であり、所属する団体とは関係ありません。

なお、当然考えられる情報の社外流出リスクについては
「会社の情報はなるべく全て公開すべき」論で語られているのでそちらに譲るとして、
社員への影響という意味合いで考えてみたいと思います。
ですので、ここからは「社員には公開」という意味で、情報公開を使います。

また、上場企業は多くの情報が公開されますので、下記の前提とします。

ベンチャー企業
社員100人
VCから出資を受けている
まだ利益は出ておらず、投資期間

BS

預金 >公開OK

公開しない理由としてあがるのは「現金が減っていくことで不安になる」だと思います。
ですが、ベンチャーで投資期間の場合、当然毎月預金は減っていきます。
VCから資金調達していて、投資期間の会社で働く以上、「現金が減っていく」とうことには、そもそも当たり前であると認識すべきでしょう。
預金残高を公表すれば「あれ?●ヶ月後にお金なくならない?」という疑問もみんな抱くので、どのように乗り切るか(黒字化を見込んでるのか、追加資金調達を準備しているのか)もセットで説明することは財務担当の役割だと思います。

その他資産・負債 >公開OK

預金を公開するくらいなので、当然公開ですね。
私的な資産(車など)を購入していない限り、隠す必要はないかと。。

PL

売上 >公開OK

これはすでに公開してる企業も多いと思いますし、目標認識を合わせる上で当然公開すべき事項ですね。

人件費 >工夫して公開

人件費は会社の情報でありつつも、個人の情報でもあるので、個人の給料が特定できることは問題です。
ただし完全非公開にするのではく、例えば部門別合計の人件費を示すなど、個人の給料がわからないようにして公開することはOKではないでしょうか。
部門ごとに平均の給料が違うことは露見しますが、それは本人の能力だけでなく、社会の需要と供給も影響していることを社員としては認識をすべきと思います。

売上原価、販売費及び一般管理費 >公開OK

他部門の費用に対してもどんどん質問をすればいいし、それに答えられるだけの説明をするべきだと思います。
ただし、

コストのかけ方を否定してはいけない

と思います。
例えば、広告戦略の成果が思わしくなかったとします。
その場合、「なぜそのコストを投下すると判断したのか」のプロセスに対して意見することはあっていいと思いますが、結果ありきでコストをかけたことを否定していたら、前には進めません。
前提として投資期間の会社な訳ですから、必要な費用投下をためらっていたらジリ貧です。

また、部署ごとにより費用の大小は当然あって、
公開することで、「あーここに会社としては力入れてんのね」というのを社員にも伝えることができます。

利益 >公開OK

売上も費用も公開してるので、自身でも計算できますね。
預金公開と同じで、単に「赤字である」で慌てるようでは、このフェーズの企業の社員はいけないかと思います。

まとめ

以上のように考えてきましたが、私としては財務情報もフルオープンでいいと思っています。

顧客満足や収益は会社の実力を示す情報であり、経営者が公開することをためらうのは自然だ。(中略)
しかし、「経営者として恥ずかしい」という個人的な問題以外はないという結論だった。

社員の力で最高のチームをつくる――〈新版〉1分間エンパワーメント

この本で星野リゾートの星野代表がこのように言っていました。

経営者というのは何も、社長個人を示すものではなくて、経営チームという意味合いだと思ってます。
財務という経営情報の一端を担う立場としては、恥ずかしくない意思決定をサポートしないといけないですね。

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