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香川真司がドルトムントで初めてゴールを決めた試合と、レバンドフスキ【「心が震えるか、否か。」発売記念☆毎日更新!3日目】
前回はセレッソ時代(「心が震えるか、否か。」では第2章に収録)のチームメイトのお話を紹介したので、今回はドルトムント時代(第3章)のお話を。
2010年7月28日、香川選手がドルトムントに加入してまもない時期のことです。シーズン前の練習試合で、当時は3部リーグのディナモ・ドレスデンと対戦しました(結果は心が震えるか、否か。」では第2章に収録)のチームメイトのお話を紹介したので、今回はドルトムント時代(第3章)のお話を。
2010年7月28日、香川選手がドルトムントに加入してまもない時期のことです。シーズン前の練習試合で、当時は3部リーグのディナモ・ドレスデンと対戦しました(結果は2-1でドルトムントの勝利。香川選手は先発して、ハーフタイムに交代)。
実は、この試合は2つの意味で、ターニングポイントとなりました。
1,ドルトムントでは初めてトップ下のポジションでプレーした試合だから
それまでの練習試合では、左サイドのMFでの起用がメインでした。ときには、右サイドのMFとしてプレーすることも。
この試合では当時のクロップ監督のもとで初めて{4-2-3-1}のフォーメーションのトップ下で送り出されました。
2,ドルトムントのユニフォームを着て、初めてゴールを記録したから
やはり、攻撃的なポジションの選手にとってはゴールという結果を残すことが大切です。だから意味があったのですが……。
ドルトムントでの初めてのゴールは、ヘディングによるものでした。
しかも、アシストをしたのが現在はバイエルン・ミュンヘンで活躍するレバンドフスキです。今になってみると、感慨深いですね。
ところで、レバンドフスキといえば「9番」がトレードマークですが、香川選手と同じタイミングで加入したこのシーズンは「7番」を背負っていました(翌シーズンから「9番」に変更になりました)。
ちなみに、後の香川選手も2014-15シーズンの1年間だけドルトムントで「7番」を背負ったのはみなさん覚えているでしょうか? なお、現在のドルトムントの「7番」はサンチョのものです。
とにかく、これから紹介するのは、その試合の後の香川選手の言葉です。
クロップ監督がどうしてトップ下で起用しようと考えたのか?
なぜ、ここまでじっくりと香川選手の話が聞けたのか?
そのあたりの答えは「心が震えるか、否か。」の第3章のP89~の「ヨーロッパで生きる場所を見つける」というパートを読んでいただくとして、当時の貴重な言葉をご覧ください。
――ドルトムントでの初ゴール。どんな気分ですか?
「点を取ったことは一安心かな、と」
――あのシーンではどのようなイメージでゴール前に?
「センタリングのボールが入ってきそうな雰囲気があったので、タイミングを合わせ、上手くスペースを見つけて、ゴール前に入っていきました」
――初ゴールがヘ頭から生まれたというのは?
「ヘディングはすごく苦手なので……。打った直後には入らないと思ったら、すごくキレイに入っていたので。ビックリしました(笑)」
――これまでとの練習試合と比べると、ディフェンスラインの裏へ出てボールをもらおうとするプレーや、動きながらパスを受けようとするシーンが目立っていましたが?
「チームのテーマとして、今日は相手の両サイドバックの裏を狙っていこうとしていました。個人的にも、足元でもらう動きと、裏でもらう動きとで、もっとハッキリとした違いを作りたいです。まだ、まだ、タイミングが合わなかったり、ポジショニングが悪かったりすることがあるから。ドルトムントでの戦い方や、ドイツのサッカーにもっと慣れていかないと」
――ハーフタイムで交代する前に、監督から理由を説明されたのでしょうか?
「いや、何にも言われてないから……。僕自身、後半も出る気満々だったし。そういう意味では悔しいですね」
――チームメイトと素晴らしいコンビネーションを見せるシーンがあった一方で、上手く合わない場面もいくつかありました。ばらつきがあったのはなぜ?
「相手は3部でしたけど、しっかりブロックをしいて、プレスをかけてきて。守備の組織が結構しっかりしていました。相手を背負って受けるときの球離れをもっと早くしていかないと。そういうところで、相手選手の身体の強さは感じましたね。
あとは、シュートを打つためのファーストタッチで切り返してしまった場面があったのですが、このレベルではああいうプレーでは厳しい。ああいうところで、相手をかわして、シュートまで持っていく形をイメージしてやっていかないといけないなと思いました」
――本当は切り返したくはなかったと?
「足元に入りすぎていたから、もう1回切り返そうと思ったら……それではやっぱり遅くて。相手に詰められてしまったので。ああいうところでは、早めにシュート打ったり、もっと、もっと、シュートの意識をもたないとダメだなと思いますね」
――球離れを早くしたいということですか?
「いや、全般的に球離れを早くしたいという意識はあまりなくて。ただ、相手を背負っているときには球離れを早くしないといけない、ということです。3部のチームであってもすごくあたりは激しかったし。前向きにボールを持ったときには視野が狭くなっちゃっていたから。
もうちょっと余裕を持ってやれればいいんですけどね! 今日は焦るというか、空回りしたところがあったので。だから、もっともっとアイデアを増やしていったり、連携をもっと増やして生きたいなと思いますけど」
――ドイツに来てから、激しいあたりにも慣れてきましたか?
「今日の相手のことをナメているわけではないですけど、『3部のチームでもこれくらいやるんだ』とビックリしました。3部でもこれくらいフィジカル的には強いというのを考えると、1部とやったときはさらに強くなるので。やっぱり、そこは課題だし。そのあたりは試合をやるごとに慣れていかないといけないので。3部の相手でも、こういう立派なスタジアムがあって、お客さんもたくさん入っていましたよね」
――今日はレバンドフスキと縦関係に並んでの出場でしたが、エースのバリオスについてはベンチからどう見ていましたか?
「中央でボール受ける感じやポストプレーをみても、すごく体が強いので。僕が起用されるのはサイドなのか、今日のように中央になるのか……。どちらなのかはわからないけど、中央に彼のような選手がいたほうが僕としてもどんどん仕かけていけるので。
例えば、日本だとどうしても、普通にセンタリングを上げても中の選手が簡単に競り合いに勝てないけど、彼は少し違っていて。『適当に』と言ったら語弊がありますけど、シンプルにセンタリングをいれてもヘディングで競り勝つだけの力はあるわけですから。そういう意味では、僕がサイドに流れたときに勝負していく価値はすごく高まるのですごく楽しみです」
いかがでしたか?
この時点ではまだ、サイドで起用されるのか、トップ下で起用されるのか、全くわからない状況でした。
そこからトップ下での起用がメインになる理由については、本のなかでクロップ監督の言葉を引用して説明してあります。
なお、このシーズンで香川選手がトップ下以外のポジションで先発した試合はわずか1試合だけ。それもテストの意味合いが強い、2010年10月27日のドイツ杯2回戦。当時は3部にいたキッカーズ・オッフェンバッハとのアウェーゲームでした(試合は0-0のまま迎えたPK戦でドルトムントが敗戦)。
以下は、ちょっとした小ネタです。トリビアのつもりで興味ある方はどうぞ。
当時の記録を確認するために資料をあさっていて出てきたのが、以下の写真。ドルトムントにとって9年ぶりのリーグ優勝を決めたシーズン最終節の後のキッカー誌の表紙です。
香川選手を肩車しているバリオスに、バイエルンでひそかに得点王になったゴメス。当時の絶対的中心だった、レアル・マドリー移籍前のシャヒン。今季限りでの引退を決めたL・ベンダー。
この表紙を見て、”違和感”を覚えた方いらっしゃいますか?
もし、いたら、めちゃくちゃスゴイです!
このシーズンの本来のキャプテンはケールであるにもかかわらず、ヴァイデンフェラーがマイスターシャーレを掲げているんですよね。
通常であれば、シャーレを掲げるのはキャプテンの特権であり、大切な仕事なわけですが。
実は、そこには裏事情があって。
当時のキャプテンはケールだったのですが、このシーズンはケガに苦しみ、リーグ戦ではわずか6試合の出場に終わりました。マイスターシャーレが贈呈される最終戦もベンチ外でした。
そんな状況だったため、本来はキャプテンに与えられるマイスターシャーレを掲げる役割をケールは辞退したのです。
そこで、ケール不在にキャプテンマークを巻いていたヴァイデンフェラーが、クラブにかかわる人たちみんなが熱望していた9年ぶりのシャーレを掲げることになったのです。
なお、ケールはその悔しさを励みに、翌年はシーズンを通してチームに貢献。最終節にはきちんとマイスターシャーレを掲げて(チームが2連覇したからです)、個人的なリベンジも晴らしたのでした。
そんなケールは2022-23シーズンから、現在のツォルクSDの後継者として新SDになることが決定済。人事部門の責任者となります。クラブのOBを大切にするクラブらしい決定ですよね。
では、今回はこれにて終了! 次回もお楽しみに☆
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